今回ご紹介するのは「バイバイ、ブラックバード」(著:伊坂幸太郎)です。
-----内容-----
星野一彦の最後の願いは何者かに〈あのバス〉で連れていかれる前に、五人の恋人たちに別れを告げること。
そんな彼の見張り役は「常識」「愛想」「悩み」「色気」「上品」―これらの単語を黒く塗り潰したマイ辞書を持つ粗暴な大女、繭美。
なんとも不思議な数週間を描く、おかしみに彩られた「グッド・バイ」ストーリー。
〈特別収録〉伊坂幸太郎ロングインタビュー。
-----感想-----
合計6編からなる、連作短編集。
そのうちの5編は「郵便小説」といって、毎回抽選で当選した50人の人だけに小説が郵便で送られてくるという珍しい形態をとっていたようです。
なので一つの本として出版されるまでは各短編を読めた人は毎回その50人ずつだけとなります。
見事当選し、ある日家のポストに伊坂さんの短編小説が送られてくるのはワクワクしそうな気がしますね
そして内容ですが、これはとても伊坂さんらしい作品だったなと思います。
何気なく出てきた人の名前が実は伏線になっていて、後半の重要な場面でまさかの登場を果たしたり。
何だか「ゴールデンスランバー」でのある場面を彷彿とさせるものがありました。
それが短編の中で繰り広げられるので非常にスピード感のある物語でした。
物語の中心人物は、星野一彦という男と、繭美という身長190cm、体重200kg超という謎の大女。
星野一彦がある失敗をして、その制裁として〈あのバス〉に乗せて連行するまでの間、星野を監視する存在です。
〈あのバス〉がどこへ向かうのか、そして繭美が所属しているのはどんな組織なのかも謎のまま物語は進んでいきます。
ただ〈あのバス〉に乗せられたら最後、二度と帰ってこれないという恐ろしいことが繭美の口から語られていました。
星野の最後の願いは、付き合っている五人の恋人たちに別れを告げること。
…要するに五股というわけで、この星野というのもろくな男ではないです
ただその星野と比べ物にならないくらい規格外なのが繭美で、前述した大女ぶりに加え性格は粗暴、口も悪く、どの短編でも周囲のことなどお構い無しにやりたい放題好き放題の振る舞いを見せています(笑)
まさに「傍若無人」という言葉がピッタリな大女で、「私の辞書に○○という言葉はない」が口癖でもあります。
その大女ぶりと悪辣ぶりから、星野は繭美のことをプロレスの名悪役、「アブドーラ・ザ・ブッチャー」に例えていました。
しかもこの繭美、実際に辞書を持ち歩いていて、会話の中で何か特定の言葉が出るとおもむろに辞書を取り出し、実際にその言葉が塗り潰されているのを見せて「見ろ、私の辞書に○○という言葉はない」と言い放つ特徴ありまくりのキャラクターです。
この強烈なキャラの繭美が星野の付き合っている五人の女性への別れ話に同行していくわけですが…
やはりこんな人がいたのではまともな別れ話になるはずもなく、どの短編でも繭美のハチャメチャぶりが際立っていました。
そしてそのおかげで物語が予測不可能な面白さを帯びていたと思います。
短編が進むにつれて、やがて近付いてくる〈あのバス〉で連行される日。
本来絶対絶命の状況のはずなのに、繭美という強烈なキャラのおかげで何とも面白おかしい内容になっていました。
会話も軽妙で、段々繭美の粗暴さに慣れてきた星野と繭美のやり取りはなかなか笑えました。
実に伊坂さんらしい、テンポの良い面白い作品だったと思います
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-----内容-----
星野一彦の最後の願いは何者かに〈あのバス〉で連れていかれる前に、五人の恋人たちに別れを告げること。
そんな彼の見張り役は「常識」「愛想」「悩み」「色気」「上品」―これらの単語を黒く塗り潰したマイ辞書を持つ粗暴な大女、繭美。
なんとも不思議な数週間を描く、おかしみに彩られた「グッド・バイ」ストーリー。
〈特別収録〉伊坂幸太郎ロングインタビュー。
-----感想-----
合計6編からなる、連作短編集。
そのうちの5編は「郵便小説」といって、毎回抽選で当選した50人の人だけに小説が郵便で送られてくるという珍しい形態をとっていたようです。
なので一つの本として出版されるまでは各短編を読めた人は毎回その50人ずつだけとなります。
見事当選し、ある日家のポストに伊坂さんの短編小説が送られてくるのはワクワクしそうな気がしますね
そして内容ですが、これはとても伊坂さんらしい作品だったなと思います。
何気なく出てきた人の名前が実は伏線になっていて、後半の重要な場面でまさかの登場を果たしたり。
何だか「ゴールデンスランバー」でのある場面を彷彿とさせるものがありました。
それが短編の中で繰り広げられるので非常にスピード感のある物語でした。
物語の中心人物は、星野一彦という男と、繭美という身長190cm、体重200kg超という謎の大女。
星野一彦がある失敗をして、その制裁として〈あのバス〉に乗せて連行するまでの間、星野を監視する存在です。
〈あのバス〉がどこへ向かうのか、そして繭美が所属しているのはどんな組織なのかも謎のまま物語は進んでいきます。
ただ〈あのバス〉に乗せられたら最後、二度と帰ってこれないという恐ろしいことが繭美の口から語られていました。
星野の最後の願いは、付き合っている五人の恋人たちに別れを告げること。
…要するに五股というわけで、この星野というのもろくな男ではないです
ただその星野と比べ物にならないくらい規格外なのが繭美で、前述した大女ぶりに加え性格は粗暴、口も悪く、どの短編でも周囲のことなどお構い無しにやりたい放題好き放題の振る舞いを見せています(笑)
まさに「傍若無人」という言葉がピッタリな大女で、「私の辞書に○○という言葉はない」が口癖でもあります。
その大女ぶりと悪辣ぶりから、星野は繭美のことをプロレスの名悪役、「アブドーラ・ザ・ブッチャー」に例えていました。
しかもこの繭美、実際に辞書を持ち歩いていて、会話の中で何か特定の言葉が出るとおもむろに辞書を取り出し、実際にその言葉が塗り潰されているのを見せて「見ろ、私の辞書に○○という言葉はない」と言い放つ特徴ありまくりのキャラクターです。
この強烈なキャラの繭美が星野の付き合っている五人の女性への別れ話に同行していくわけですが…
やはりこんな人がいたのではまともな別れ話になるはずもなく、どの短編でも繭美のハチャメチャぶりが際立っていました。
そしてそのおかげで物語が予測不可能な面白さを帯びていたと思います。
短編が進むにつれて、やがて近付いてくる〈あのバス〉で連行される日。
本来絶対絶命の状況のはずなのに、繭美という強烈なキャラのおかげで何とも面白おかしい内容になっていました。
会話も軽妙で、段々繭美の粗暴さに慣れてきた星野と繭美のやり取りはなかなか笑えました。
実に伊坂さんらしい、テンポの良い面白い作品だったと思います
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