先日、安倍晋三首相がモンゴルを訪問しました。
モンゴルは台湾やブータンやトルコやインド、パラオ、ASEAN(東南アジア諸国連合)らと並ぶ大の親日国。
外交的にも大成功を納めたようで何よりです。
このモンゴル訪問、(日本のテレビ局等マスコミはあまり報じませんが)狙いは明らかに「対中国包囲網」でした。
先の衆議院選挙で民主党政権に終止符が打たれ、安倍晋三首相率いる自民党政権になってから、対中国の包囲網が着々と築き上げられています。
まずは麻生太郎副総理兼財務相のミャンマー訪問。
安倍新政権の閣僚の最初の訪問先がASEAN加盟国のミャンマーであることは、外交的に大きなメッセージとなりました。
3年4ヵ月に渡った民主党政権下ではまず期待出来なかった、外交の劇的な変化です。
続いて岸田文雄外相が1月9日から14日までに訪問したフィリピン、シンガポール、ブルネイ、オーストラリアの4ヶ国(フィリピン、シンガポール、ブルネイはASEAN加盟国)。
1月8日の会見では「アジア太平洋地域の平和と安定を維持、確保していく上で、ASEAN諸国、豪州との連携が重要だ」と語りました。
これは明らかに中国を牽制したもので、アジア太平洋地域には平和と安定を脅かす国があり(中国のこと)、ASEANやオーストラリアと連携して横暴の限りを尽くす覇権主義国家・中国を押さえ込むという旨の発言です。
そして安倍晋三首相が1月16日から19日までに訪問したベトナム、タイ、インドネシアの三ヶ国(いずれもASEAN加盟国)。
麻生太郎副総理兼財務相のミャンマー訪問から始まり、岸田文雄外務大臣、安倍晋三首相へと繋がっていった、見事なまでの「対中国包囲網」の系譜。
民主党政権時代には全く期待出来なかった外交の活発化。
この三人によるASEANの国々との関係を強化する外交は、「自由と繁栄の弧」とも呼ばれる、「対中国包囲網」を形成する外交です。
これらのASEANの国々が中国を包囲する「弧」の形になっていることからこのように呼ばれています(世界地図で見るとよく分かります)。
TPP(環太平洋経済連携協定)への交渉参加表明は、中国共産党の新体制である「習近平国家首席、李克強首相」の布陣がスタートしたその日にぶつけてきました。
TPPの外交的な注目点は中国がこの協定から除外されていることです。
中国共産党新体制スタートに間髪入れずにTPP交渉参加をぶつけてきたところにも対中国を見据えた外交戦略的意図を感じました。
そして今回の安倍晋三首相のモンゴル訪問。
上記に挙げた国々とともに世界地図を見てもらうと分かるのですが、完全に中国を包囲する形になっています。
モンゴルは中国の真上に位置しているし、「自由と繁栄の弧」の国々は中国の下側を取り囲んでいます。
私は未だかつてここまで親日国との連携を強固にする外交を見たことがないし、こういう外交をずっと待っていました。
表向きは「中国は大事な隣国」と言いつつも、実際には着々と包囲網を築いていく、これこそが「外交」です。
悪夢のような民主党政権によって壊滅してしまった日本外交がこんなに早く立て直せるとは思わなかったし、これだけ積極的な外交が展開されていることを嬉しく思います。
日本のマスコミは相変わらず「偏向報道(偏った報道のこと)」によってこういった外交戦略の意図を隠したり、もしくはかつてのような報道の公平性を無視した大バッシング報道を仕掛けてくるかも知れませんが、それに負けずに頑張っていってほしいと思います。