読書日和

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「太平洋の奇跡 -フォックスと呼ばれた男-」

2011-02-16 23:51:52 | 音楽・映画
先日、「太平洋の奇跡 -フォックスと呼ばれた男-」を観ました。

-----内容-----
1944年、太平洋戦争末期のサイパン島。
圧倒的な戦力を誇るアメリカ軍に対し、日本軍守備隊は最後の突撃を敢行し、玉砕する。
しかしその日から、アメリカ軍の恐怖の日々が始まった。
残存兵力を組織した大場栄大尉による抵抗が開始されたのだ。
大場は47人の兵士たちと共に、512日もの間敵に立ち向かい、多くの民間人を守っていく。
やがて彼の不屈の戦いぶりは、敵軍の将校ハーマン・ルイス大尉に畏敬の念を抱かせる。

-----感想-----
この映画は実話をもとに作られています。
太平洋戦争末期のサイパン島で、「バンザイアタック」と呼ばれる最後の総攻撃に打って出た日本軍。
映画の冒頭から激しい戦闘が繰り広げられました。
アメリカ軍に気付かれることなく敵陣近くまで接近した日本軍は、一斉に銃撃を開始。
不意を突かれアメリカ軍が怯んだとき、「突撃ー!!」の号令が鳴り響く。
一斉に敵陣に向かって走り出す日本軍。
アメリカ軍の激しい銃撃の前に、次々と倒れていく日本の兵士たち。
それでも銃撃をかいくぐり、敵陣に到達した兵士たちは、殴りあったり刀で刺したりの白兵戦を展開。
最終的にアメリカ軍2000人、日本軍4000人が死亡する壮絶な戦いになりました。
この戦いでサイパンの日本軍は壊滅。
アメリカはサイパンの完全占領を宣言します。

この戦いで奇跡的に生き残ったのが、大場栄大尉でした。
目が覚めたとき、辺りは死体の山になっていました。
生き残った大場栄大尉は当初、「一人でも多くのアメリカ兵を倒す」ことを自身の使命としていましたが、民間人が襲撃されたのを見て心境が変わり、「彼らを守る」ことを使命とするようになっていきます。
わずか47人の兵士を率い、アメリカ軍に対しゲリラ戦を展開していく大場大尉。
当時の日本では「投降すると拷問されて殺される」ということが信じられていたため、投降するという選択肢はありませんでした。
大場大尉は知略を巡らせて少ない兵士でアメリカ軍を翻弄したり、アメリカ軍が日本軍残党の掃討作戦に出たときは地形を利用して追撃をかわしたりと、知将ぶりを発揮していきます。

また、印象的だったのが日本軍が最後の総攻撃を仕掛ける前夜、軍の司令官たちが「天皇陛下万歳」と叫んだ後、一斉に切腹したこと。
「命を捨てて最後まで戦え」という覚悟のお手本を部下たちに見せるため、切腹したとのことです。
これにより最後の総攻撃は玉砕を覚悟した凄まじいものになり、ゆえにアメリカからは「バンザイアタック」と呼ばれたようです。

そんな中、玉砕ではなく民間人を守ることに重きを置いた大場大尉の決断は、当時ではかなり珍しいものだったのではと思います。
生き残るより戦って死ぬことが美徳とされた時代でしたし。
部下たちからは時折「玉砕」の命令を出してくれとの声が上がったりもしましたが、大場大尉は最後まで玉砕はさせませんでした。
しかしその決断により、多くの民間人と兵士の命が救われました。
戦争映画を劇場で観るのは今回が初めてでしたが、涙ぐむ場面もあり、とても心に響く映画だったなと思います。