西宮市議会議員 しぶや祐介の活動日記

「子育てするなら西宮」「文教住宅都市・西宮」「住み続けたいまち西宮」の実現を目指す西宮市会議員のブログ。

中学校での35人以下学級を求める意見書は、なぜ否決されたのか? ~厳しい財政状況の中、費用対効果を抜きにした議論はあり得ません~

2021-08-12 12:11:40 | 夢はぐくむ学びのまちを実現するために
本日、出席予定でいた戦没者慰霊祭は雨天のため中止。
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というわけで、やや時間が空きました。
なので、ちょっと気になっていた件についてブログの更新をば。

6月議会内容を報告する最新の「西宮市議会だより」が現在、絶賛・配布中。
その中で、6月定例会の主な内容が掲載されています。
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このうち、一番左下の「中学校における35人以下学級の着実な推進と義務教育費国庫負担制度の堅持・拡充に関する意見書」については、市議会だよりに掲載されているとおり反対多数で否決されました。
私と私が所属する「会派・ぜんしん」も、当該意見書には反対しています。
ただ「少人数学級って、子供たちの学びのためにもいいんじゃないの?なんで反対するの??」という思いをお持ちの方、少なからずいらっしゃると思うんですよね。
というわけで、今日はこれについて。

まず大前提として、私は、これからの次代を担っていく世代の支援に繋がる政策・施策は強力に推進していくべきだと考えています。
一方で、厳しい財政状況の中、財源は限られていることもあり、費用対効果の高い施策に集中していくべきだし、そうでない施策についてはむしろ見直していくべきとも考えています。
そういう観点から見たときに、少人数学級は極めて費用対効果の低い施策とされているんですよね、やや意外に感じる面もあるのですが。

この分野において、もはや古典的名著ともいうべき大ベストセラー『「学力」の経済学』では
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●1985年から89年にかけて、米国のテネシー州政府で行われた少人数学級に学力を上昇させる効果があるかを明らかにすることを目的とする実験
●開発途上国で500以上もの教育に関する実験を実施してきているマサチューセッツ工科大学の貧困アクションラボの研究成果
●横浜市の事例から行われた、少人数学級が子供の学力にもたらす因果効果の推計
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を紹介した上で、「国内外の研究蓄積をみる限り、少人数学級を積極的に推し進める理由は見当たりません。巨額の財政赤字を抱えている日本で、少人数学級になるときめ細かい指導ができるなどという根拠のない期待や思い込みで、財政支出を行うのは極めて危険だといわざるを得ないのです。」と断じています。
(ちなみに、同書の第4章「”少人数学級”には効果があるのか?」では、より費用対効果の高い施策として
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●教育の収益率に対する情報提供(←例えば「高校を卒業後すぐに働き始めた人と、大学を卒業してから働き始めた人との間では、生涯で稼げるお金に1億円の差がある」ことを知らせる)
●習熟度別学級
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等が紹介されています。)

なお、この内容に対し、予想される反論への事前説明的な内容として、この本の冒頭に近い部分で
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「教育の効果は数字では計れない」という指摘もあります。
しかし、私はそれには賛成できません。
もちろん、教育のすべての側面を数字で表せるわけではありませんが、最近の経済学や心理学の貢献によって、さまざまな過程を置きつつも、教育の効果は数値化が可能になってきています。

教育以外の政策では-地球温暖化対策も、高速道路建設も-それらにどのような効果があったのかを数字で示すことが定着しています。
そうしないと、税金を払っている国民の納得を得られないからです。
教育も、例外ではないでしょう。
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と述べられています。
こうした観点、きわめて重要であり、重視すべきだと私は考えています。

この本、とても面白く、興味深い内容だと思いますので、興味と関心おありの方は是非どうぞ。
言って頂ければ貸出もいたします。
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直感的に思うことと、厳密に検証した結果が異なるということは、残念ながらよくある話。
皆様の大切な税金を預かる立場である以上、どちらを重視すべきかはおのずと明らかですよね…
そうした原則を忘れず、今後も努めてまいります。

というわけで今日のブログは、このへんで。
それでは失礼いたします。

一番問題なのは、オンライン教育の推進に向けた取組が学校任せ・個々の教師任せになっていること。市全体で具体的な取組を進めていくべきです!

2021-08-11 09:40:17 | 夢はぐくむ学びのまちを実現するために

先週は、市役所に登庁するだけで汗だくになっていたのが、昨日・今日とずいぶんマシ。
台風一過の影響なんですかね???
このくらいで勘弁してもらえると助かるのですが、さて、どうなりますことやら...
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さて本題、一般質問のご報告の続きですよ。
本日はこれまでの西宮市でのオンライン教育の実情に関する質疑内容を踏まえての、私からの意見要望です。
それでは、どうぞ。

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教育委員会はこれまで、全ての学校が『学級閉鎖・休校が長期化した場合でも最低限、「オンラインで朝の会・終わりの会を行い、児童生徒と教職員の間でコミュニケーションを取るとともに課題を指示」するステップ1を実施できる状態にある』としていました。
しかしながら現実には、そうした状態には至っていないことが、今回の答弁から明らかになりました。
また、その要因として「学校全体が組織的に(ツールを)活用しようとする体制には至って」おらず「その背景には少なからず苦手意識を持った教員の存在もある」「校内での回線容量が不十分である」等の内容が明らかにされました。
答弁にあった通り、「組織的な取組みや活用が消極的な学校に対して、その要因をより詳細に把握し、ハード・ソフト両面から積極的かつ丁寧に支援して」頂きたい。
そのうえで、全校・全教師が最低限、ステップ1については対応できるように早急にしていただきたい。

改めて言うまでもないことですが、ステップ1はあくまで緊急事態宣言下での最低限の対応です。
巨額の予算を投じて購入した端末等が、この程度の活用さえできないのであれば論外です。
得意・不得意ではなく、全ての教師が最低限、機器を利用できるようにすることは教育委員会に課せられた絶対的な命題である。
そのことを強くご認識頂きたい。

そのうえで二点目の質問とまとめて申し上げます。
「児童生徒が、教育委員会が紹介するオンデマンドの動画視聴や、e-libraryを活用した学習を行い、放課後にteams を使って教師と顔を見ながらの質問を受け付けたり、補足説明するなど、コミュニケーションを図りながら理解度を確認することができます」「課題の配信、提出も可能となります」といったご答弁がありました。
ここが「できます」「可能となります」という表現になっていることこそが本市教育行政の最大の問題だと、私は思っています。

「すべての教師が、上に書いたような取組をできるわけではない。それは今現在もそうだし、今後もきっとそう…」というのが、教育委員会としての正直なところであり、だからこそ、こうした表現になるのでしょう。
であるならば個々の教師の力量だけに頼るのではなく
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●チーム学校として、あるいは個々の学校任せにするのではなく西宮市全体として、ICTツールを活用した教育をどのように進めていくのか?
→誰が、どのような部分・形を担うのか?
→苦手な教師の存在も考慮し、前提としたうえで、どうすれば学校・西宮市全体として質の高い教育を提供できるのか?
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そうした具体論をきちんと考え、示すべきです。

私はオンライン教育への対応において、市が「GIGAスクール・スタートパッケージ」を示したことを高く評価していました。
常日頃、理想論は掲げても、実際に、どのような内容を、どの時期までに進めるのか?という具体論を示したがらない教育委員会が、スケジュールと内容を伴った計画を示すのは素晴らしいと感じたからです。
一方で、今回の質疑において、そこで示された内容が、責任を持って前に進められていなかったことを残念に受け止めています。

本市のICTを使っての教育の現状は「子育てするなら西宮」「文教都市」という言葉に耐えられるようなものでは、到底ありません。
単に学校側の個別の取組に任せるのではなく、教育委員会として、あるいは西宮市として、これからの学校教育の在り方を考え、それを実現していくための取組を進めるべきです。
どのような形で学校教育を進めていくのか?
そのためのツールとしてICT機器を、どのような形で活用するのか?
緊急時対応だけでなく、個別最適化・多様な教育環境の整備・不登校への対応も含めて、どのようなことができるのか?
そういったことを一つ一つ具体的に考え、前に進めていかなければなりません。

そして、その際に必要なのは、単なる理想論ではない、あるべき姿を掲げ、その実現のために必要となる具体的な内容を伴った目標・スケジュールを設定し、その内容を着実に進めていくこと。
その進捗を管理し、できていないところや、明らかになった課題をつぶしていくこと。
そうした当たり前の取組を着実に進めていくことです。
改めて「子育てするなら西宮」「文教都市」にふさわしい取組を、責任を持って進めていただくよう要望します。

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苦手な人がいるのは当たり前ですし、そうしたことに取り組みたがらない人がいるのも、最初から分かっていること。
である以上、それを前提に、最低限の利活用ができるような取組を進めていくのが組織としてやるべきことだと、私は思っています。
でなければ巨額の費用を投じたタブレットや通信環境は、完全な無駄になってしまうわけで。

しっかりとした取組が進められるよう、引き続き、しっかりと指摘・提言など行ってまいります。
それでは今日のブログは、これにて失礼いたします。


教育委員会も、オンライン学習を進めるための基礎の基礎さえできていないという現実を認めました…というお話。

2021-08-05 14:39:49 | 夢はぐくむ学びのまちを実現するために

正副議長を通算2年以上、経験したことを受けて、兵庫県議長会と阪神市議会議長会から表彰状を頂きました。
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改めて思うことですが、正副議長という重い役職に就任し、その役割を全うできたことは、多くの方からのご支持・ご声援を賜ったからこそのこと。
心より感謝申し上げると共に、その経験も活かして立場・職責に相応しい活動を続けることが出来るよう、より一層、精進を重ねてまいります!

さて本題、前回ブログを受けての具体的な質疑の内容です。
それでは、どうぞ。

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【質問①】
そもそも必要となった場合、各校がオンライン授業を実施できる状況にあるのか?
全学校・学級が、緊急事態発生時にオンラインに対応できるよう具体的な準備を進めるべきと考えるが、市の見解はどうか?
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【答弁①】
非常時の対策として、昨年度は少なくとも1クラス以上で試行し、ノウハウを知っておく段階でしたが、今年度4月後半からの緊急事態宣言を受け、どのクラスにおいてもオンラインでつながる体制作りを各校へ通知しております。
各クラスでTeamsのグループを作成、試行しておくことで、いつでも担任と児童生徒の間で活用できる状態を整えておく必要もあると考えております。

インターネット環境に関しては、非常時に必要となるルーター数を調査し、既に準備は整っています。
しかしながら、各校の回線状況は、全市的な臨時休業となれば、学校毎に時間を分けて回線を利用する必要が生じます。
現在、回線状況を改善するために増強工事を進めており、例外を除き夏季休業明けには回線工事は完了する予定です。

6月現在、オンライン学活等の試行については、7月末までに実施予定も含めて、校内または家庭との間での試行が小学校2年生以上の全クラス実施が35校、一部のクラスでの実施が25校となっております。
小学校低学年から中学年の児童にとっては、保護者の協力が必要な場合が多いと考え、家庭との接続に取り組んでいる学校もあります。
家庭との接続は小学校26校、中学校7校、義務教育学校1校で全クラスまたは一部のクラスでの実施となっております。
ただし、小学校1年生に対しては、理解すべき内容が難しいため、家庭の協力も得ながら、時間をかけ、丁寧に指導していくことが必要と考えております。

また、全てのクラスでの試行が実施されていない理由として、一部クラスの試行で全てのクラスで実施できると判断していること。
さらに、専門性の高い担当教員が中心となって取組みを進めているものの、学校全体が組織的に活用しようとする体制には至っておりません。
その背景には少なからず苦手意識を持った教員の存在もあることや校内での回線容量が不十分であることも要因となっております。
教育委員会としましては、組織的な取組みや活用が消極的な学校に対して、その要因をより詳細に把握し、ハード・ソフト両面から積極的かつ丁寧に支援してまいります。

【質問②】
家庭の状況等により、登校に拒否感のある家庭の存在を念頭に、オンラインでの授業配信・課題の提出に対応するなど、学習機会を担保するための取組を進めるべきと考えるが、市の見解はどうか?
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【答弁②】
感染不安による出席停止となった児童生徒についても、一人一台端末が整備されたことで、より多くの学習活動が可能となり、学習機会を確保できるようになりました。
すでに導入済のe-libraryというデジタルドリルやTeams の活用が有効であると考えております。

取り組み例としては、児童生徒が、教育委員会が紹介するオンデマンドの動画視聴や、e-libraryを活用した学習を行い、放課後にTeams を使って教師と顔を見ながらの質問を受付けたり、補足説明するなど、コミュニケーションを図りながら理解度を確認することができます。
その際に、翌日の学習計画を相談することもできるようになります。
また課題の配信、提出も可能となります。
今後も、学習支援サイト「まなみや」に優れた動画サイトを紹介したり、学習効果に優れた事例を収集するなど、ICTの良さを生かした取り組みに加え、教員のスキル向上や苦手意識の克服など、研修の充実にも努めてまいります。

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ちょっと長いですが、現状(&それに対する教育委員会の認識)を知っていただくには、よい内容だと思いましたので、全文掲載しておきます。
この内容を踏まえての具体的な意見要望は、次回以降、ご報告します。
それでは今日のブログは、これにて失礼いたします。


【※ワクチン情報あり〼※】多くの児童生徒と教師がオンライン学活さえしたことがないというのが現実。こんな状況で、オンライン学習の推進なんてできますか?

2021-08-02 17:08:06 | 夢はぐくむ学びのまちを実現するために

新型コロナワクチンの接種についてですが、8/4(水)の午前9時から追加予約受付が行われることになりました。
内容はこちら。
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ちなみに、こちら
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●市内施設に従事している教職員や保育士、介護サービス従事者等を対象とした、市独自の優先接種枠を設けて予約受付を行った
→この優先接種の予約受付の締切を7月 30 日(金)としていた
→が、空き枠が生じたことから、接種券をお持ちのすべての方を対象とした追加予約受付を行う!
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というものです。
今日公表されての明後日なので、市政ニュースにも載りませんし、比較的、予約が取りやすそうな???
まだ予約が取れていない方で、接種を希望されている方のため、情報提供しておきます。

さて本題、少し飛ばしてしまっている6月議会で行った、一般質問のご報告の続きです。
今日は学校でのオンライン教育推進についてですよ。
それでは、どうぞ。

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市は昨年12月、オンライン教育への対応方針として「GIGAスクール・スタートパッケージ(速報版)」を示しました。
その中で、市は
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●ステップ1として「オンラインで朝の会・終わりの会を行い、児童生徒と教職員の間でコミュニケーションを取るとともに課題を指示」
●ステップ2として「よりオンラインを活用した形での授業実施」を進める考え
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を示したうえで、『学級閉鎖・休校が長期化した場合でも最低限、各校が「ステップ1」を実施できる状態にあり、各校の状況に応じて、「ステップ2」を実施する』としています。

しかし現実には、各校の状況は「学校全体のうち、少なくとも1学級が一度はオンライン学活をしたことがある」という段階に留まっています。
教師を対象としたタブレットの研修は2020年度に終了したと言うものの、多くの児童生徒と教師は一度もオンライン学活さえしたことがありません。
このような状況で、オンラインでの対応が必要な状況が生まれたときに円滑に実施できるとは思えません。

また本人もしくは家族が基礎疾患を持っている、高齢者と同居している等の状況があり、感染リスクが高い状況下で学校に行くことに、強い拒否感を持つ家庭も一定数、存在します。
こうした家庭の存在も念頭に、オンラインでの教育を選択できる体制を早急に構築するべきです。
それでは以上の内容を踏まえて2点質問します。

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タブレットを配備したところで、活用されなければ意味がないですよね。
というわけで次回以降、具体的な質疑の内容をご報告してまいります。
それでは今日のブログは、これにて失礼いたします。