とぎれとぎれの物語

瀬本あきらのHP「風の言葉」をここで復活させました。小説・エッセイをとぎれとぎれに連載します。

ヤバイ

2010-08-07 22:17:47 | 日記
ヤバイ



 現代の話し言葉について以前から書きたいと思っていたことが二つある。一つは流行語や若者用語である。「見れる、食べれる」などの「ら抜き言葉」はもう市民権を得ている感じがする。「イケメン、ウザイ、ケバイ」などはこれから定着するだろうか。
 定着して辞典に載っている言葉に「やばい」がある。しかし現在使われる場面を考えると、どうしても危ないなどという意味ではないことが最近分かった。大変面白い、という意味にも使われているようである。
 我々のような60年代前後に高校生であった者は、流行語の傑作は「いかす」だと思っている人が多いと思う。石原裕次郎が頻繁に使っていて急速に流行した。この言葉を使うことによって憧れの気持ちを満たしていた。これも辞典に載っている。
 二つ目は平板アクセントである。「彼氏」などの昔から使っている言葉にはやはり旧世代は違和感を感じる。しかし、カタカナ語の平板化はもう聞きなれていて抵抗感は薄らいだ。特に「メモリ」などのパソコン用語などは平板化しないといけないのではと思い込んでいる。
 言葉はどのようにでも料理できる。その時代の世相を反映するし、使う人の心情を旨く吸い上げる。言葉という器は常に不易と流行がある。変わらぬ器もあれば、作り変えられる器もある。これはどの時代でも同じである。しかし、根元のところをきちんと固めておかないとやはり「ヤバイ」。 (2004投稿)