バナナが国を救う日
バナナと言えば、私たち日本人にとってありふれた果物である。しかし、この話は実ではなく、茎の話である。
バナナは樹木ではなく、草だそうである。その茎の繊維から紙が出来ることを初めて知った。実を収穫した後切って捨てていた茎が、意外な方面で再利用できるようになった。その研究を進めている人は、森島紘史教授(名古屋市立大学大学院)である。ある日一通の電子メールが届いた。「捨てているバナナの木を何かに利用できないでしょうか」。カリブ海の最貧国ハイチ共和国から発信されていた。
森島氏は政府や製紙会社、和紙職人に働きかけてハイチに行き、現地で紙を作ることに成功した。それから、大量生産するためにバナナの繊維を日本の製紙工場に送ってもらい、機械生産を試み、印刷物に使えるバナナ・ペーパーが出来上がったそうである。このプロジェクトのメリットは大きい。第一に森林の破壊を食い止める。また、発展途上国を経済的に救済することができる。そして、何より、子どもたちの教育に欠かせない紙を供給することが出来る。
実は、このバナナ・ペーパーの話は『ミラクルバナナ』(学習研究社・二〇〇一年初版)という絵本からの引用である。この本に逸早く注目し、その話を縦糸にして同名の映画づくりをした人が、あの『白い船』の錦織良成監督である。映画では、タヒチと間違えてハイチに行くことになった大使館の女性派遣職員が主人公となっている。
今度の錦織監督の新作をこの十五日プレミア上映会で鑑賞した。監督の発展途上国に向けた温かい眼差しが心地よかった。(2006年投稿)
(追記)私はこの度のハイチの地震災害発生を知り、この映画の場面を思い出し、非常に驚きました。心からお見舞い申し上げます。その後、この映画のチャリティー上映会が各地で開催されました。この運動が全国に広がることを祈っています。
バナナと言えば、私たち日本人にとってありふれた果物である。しかし、この話は実ではなく、茎の話である。
バナナは樹木ではなく、草だそうである。その茎の繊維から紙が出来ることを初めて知った。実を収穫した後切って捨てていた茎が、意外な方面で再利用できるようになった。その研究を進めている人は、森島紘史教授(名古屋市立大学大学院)である。ある日一通の電子メールが届いた。「捨てているバナナの木を何かに利用できないでしょうか」。カリブ海の最貧国ハイチ共和国から発信されていた。
森島氏は政府や製紙会社、和紙職人に働きかけてハイチに行き、現地で紙を作ることに成功した。それから、大量生産するためにバナナの繊維を日本の製紙工場に送ってもらい、機械生産を試み、印刷物に使えるバナナ・ペーパーが出来上がったそうである。このプロジェクトのメリットは大きい。第一に森林の破壊を食い止める。また、発展途上国を経済的に救済することができる。そして、何より、子どもたちの教育に欠かせない紙を供給することが出来る。
実は、このバナナ・ペーパーの話は『ミラクルバナナ』(学習研究社・二〇〇一年初版)という絵本からの引用である。この本に逸早く注目し、その話を縦糸にして同名の映画づくりをした人が、あの『白い船』の錦織良成監督である。映画では、タヒチと間違えてハイチに行くことになった大使館の女性派遣職員が主人公となっている。
今度の錦織監督の新作をこの十五日プレミア上映会で鑑賞した。監督の発展途上国に向けた温かい眼差しが心地よかった。(2006年投稿)
(追記)私はこの度のハイチの地震災害発生を知り、この映画の場面を思い出し、非常に驚きました。心からお見舞い申し上げます。その後、この映画のチャリティー上映会が各地で開催されました。この運動が全国に広がることを祈っています。