「ヴェトゥイユのモネ家の庭」( クロード・モネ)
この絵のような素敵な家ではありませんが、私のうちの父の工場を長年封鎖していました。目の不自由な父が、母と祖母の助けを借りて長年仕事をしていたところです。ウドンを作っていたこともあります。綿打ちをしていたこともあります。精米をしていたこともあります。
思い出が詰まっているところで手放したくなかったのですが、長柄さんから紹介を受け、佐山さん、いや、もう名前は変わっていますが、そのお婿さんのご両親がぜひ使いたいということでしたので、止む無くお貸しすることにしました。佐山さんは跡継ぎ息子だったそうで、養子に出したので、少しでも息子の近くで住みたいということでした。
お父さんは医者、お母さんは絵本作家です。お父さんは息子さんを医者の道に進ませたかったのだそうですが、佐山さんは頑として聞き入れなかったといいます。
いやね、私は医者としてきちんと収入を上げて儲けたいとかいう気持ちは毛頭ありません。大きな病院に勤めていましたが、息子の結婚を機に、私も出雲に住み、息子を支えながら地域医療に貢献したいのですよ。妻も売れっ子の画家とは違いますから、細々としかも逞しく着実に仕事を進めたいようです。
分かりました。ぜひ実現させます。ただ、気に入っていただけたかどうか・・・。
いやいや、勿体ないくらいですよ。二階が居住スペースで、一階が仕事場。いい間取りじゃないですか。ありがたいです。
そうですか。それでは住まいができるようにいろいろと準備しておきます。
・・・どんどん賑やかになっていけ!! 私はまたしても意外な展開に興奮していましした。
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