アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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「朝鮮戦争休戦協定」蹂躙を続けているのはアメリカ

2017年12月04日 | 朝鮮半島の歴史・政治と日本.

     

 朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮)のICBM「火星15」発射(11月29日)に対し、日本の主要メディア(全国紙)は相変わらず朝鮮を一方的に非難する論調に終始しています。たとえば、「核・ミサイル凍結のかすかな期待を裏切る蛮行である。日米韓が、国連安保理の緊急会合を求めたのは当然だ」(11月30日付朝日新聞社説)

 こうした報道・論調は、朝鮮半島をめぐる緊迫した事態を生み出している原因と結果を逆転させた、きわめて非科学的で偏向したものと言わねばなりません。なぜなら、問題は朝鮮戦争の休戦協定(1953年7月27日)が守られていないことにあり、協定を一方的に蹂躙し続けているのはアメリカだからです。

① 休戦協定署名の68日後に米韓軍事同盟(安保条約)締結(1953年)

 アメリカは朝鮮戦争の休戦協定に署名したわずか68日後の1953年10月1日、早々に韓国と軍事同盟(安保条約)を締結しました。その狙いについて、ダレス国務長官(当時)は、アメリカ在郷軍人会年次総会(53年9月2日)でこう述べています。

 「韓国と相互安全保障条約を結んだのは、太平洋安全保障体制の第二段階であって、一九五一年にフィリピン、オーストラリア、ニュージーランドおよび日本と結んだ相互安全保障条約を完結するものである」(神谷不二著『朝鮮戦争』中公文庫より)

 ② 協定第13節に違反して韓国に核兵器配備(1958年)

 
「休戦協定の第13節(d)は…朝鮮に新しい武器を持ち込むべきではないと規定した。…アメリカは国際連合の憂慮をそっちのけで休戦協定を破壊する、第13節(d)の廃棄を一方的に行った。1957年6月21日の在朝鮮国連司令部軍事休戦委員会の会合でアメリカは北朝鮮代表団に国連軍(UNC)はもはや休戦協定第13節(d)に対する義務を負わないと表明した。1958年1月、核武装したMGR-1とM65 280mmカノン砲が、韓国に配備され(た)」(ウィキペディアより)

 ③ 協定第12節に違反して米韓軍事演習を開始し(1969年)、今日まで毎年繰り返す

  協定第12節は「敵対行為の完全停止」を規定しています。ところがアメリカは韓国との合同軍事演習を毎年数十日間繰り返しています。

 米韓合同軍事演習は、「69年3月の『フォーカス・レディナ』を皮切りに」(12月1日付朝鮮新報)し、「大規模な定例の米韓合同軍事演習は、1976年6月のコードネーム『チームスピリット』から始まった」(「知恵蔵」)とされています。

 アメリカは今日4日からも、最新鋭のステレス戦闘機F35、F22を含め過去最大の230機の戦闘機を動員した米韓合同演習を行い、朝鮮を新たに挑発しています。(写真左)

 安倍政権は「安保法制」強行以来、日本海での米軍演習への自衛隊参加を強めており(直近では11月10日~12日)、いまや「米日韓合同軍事演習」の様相を呈しています。(写真中)

  こうした事実に目を向けず、朝鮮を一方的敵視する報道・論調・世論は、朝鮮を口実にした米トランプ政権と安倍政権の核軍拡戦略の思うつぼです。

 日本人にいま必要な視点は何か。遠藤誉東京福祉大学国際交流センター長(写真右)の指摘を再録します。

 「北朝鮮問題の根源は、1953年7月に結ばれた休戦協定を、米韓が破ってきたことにある。休戦協定では3カ月後に朝鮮半島から他国の軍隊は全て引き揚げると約束して署名したのに、アメリカと韓国は同時に(2カ月後に)米韓相互防衛条約(米韓軍事同盟)を締結して、「米軍は韓国に(無期限に)駐留する」という、完全に相反する条約にも署名した。…日本人には見たくない事実だろうが、これは客観的事実なので、直視するしかない。着地点の模索は、この「客観的事実を正視する勇気を持つこと」からしか始まらないだろう」(7月10日付「ニューズウィーク日本版」)

 

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