アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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「海自潜水艦に初の女性乗組員」が意味するもの

2020年01月27日 | 自衛隊・軍隊・メディア

    
 今月22日、広島県呉市の海上自衛隊潜水艦教育訓練隊に初めて女性自衛官(竹之内里咲3等海尉=26)が入校しました。5カ月間潜水艦任務の教育を受け、実習を経て約1年半後に潜水艦の幹部自衛官として配属されます。

 これまで女性の潜水艦乗務は「プライバシーが確保できない」などの理由で認められていませんでした。長期間、狭い艦内で寝起きを共にする実態から、プライバシー侵害は想像に難くありません。
 その性別制限を防衛省は2018年12月に撤廃しました。これはどういう意味をもっているでしょうか。

 第1に、これまで女性の乗務を制限していた主な理由である「プライバシー確保」。その問題がどう解決されたのか、一切報道はありません。潜水艦の特徴からその抜本的解決は不可能でしょう。
 すなわち防衛省は、「プライバシーが確保できない」ことを承知の上で女性自衛官を潜水艦に送り込むのです。これは政府による公然としたセクハラ、女性の人権侵害と言わねばなりません。
 職場におけるセクハラは後を絶ちませんが、その際たるものが軍隊です。それは米国防省が発表している米軍内調査で証明されています。女性の潜水艦乗務はその不安・危険を増幅させるものです。

 第2に、防衛省が性別制限を撤廃した、せざるをえなかった主な理由は、自衛官の「成り手不足」です。NHKはじめメディアを動員して自衛隊の「災害救助」の姿を印象付けようと図り、全国の学校に対する募集活動を強化しても、自衛官の成り手不足は解消しない。これは軍隊である自衛隊が敬遠されているということであり、きわめて健全な現象です。

 第3に、そうした成り手不足とは裏腹に、自衛隊の活動範囲・内容は拡大する一方です。そのため人員確保にはなりふり構ってはいられないということでしょう。
 自衛隊の活動範囲・内容の拡大は、安倍政権による戦争法(安保法制)の強行(2015年9月19日成立)による集団的自衛権行使、米軍との一体化が拍車をかけていることは明白です。
 高島辰彦・潜水艦隊司令官は入校式で、「目まぐるしく変化する国際情勢の下で、潜水艦部隊には重要な任務が与えられている」と訓示しましたが、「目まぐるしく変化」しているのは米軍との一体化・共同作戦です。
 こうした自衛隊の拡大・強化の根源が日米軍事同盟=安保条約であることは言うまでもありません。

 軍隊は人権侵害の巣窟です。日米軍事同盟の強化による自衛隊(日本軍)の活動範囲・内容の拡大は、人権侵害をいっそう強め、自衛官(日本兵)確保のためにはあらゆる手段がとられる。それが軍国主義です。「女性初の潜水艦乗組員」はその表れと見る必要があるのではないでしょうか。


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