アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

沖縄・宮城秋乃さんの闘いが訴えるもの

2024年10月09日 | 沖縄と日米安保・米軍・自衛隊
   

 「宮城さんの闘い むげにしないで」―こんな見出しの記事が7日の沖縄タイムス(第2社会面)に載りました。

 宮城さんとは「米軍北部訓練場を中心に単独で基地反対運動を展開している東村在住のチョウ類研究者」の宮城秋乃さん(46)=写真左・中(沖縄タイムスより)です。

 宮城さんの闘いを「文化人類学の観点で研究している」沖縄国際大学の比嘉理麻准教授が5日、同大で行われた市民講座で、「人生を懸けて闘っている人の生をむげにしてはいけない」と訴えたのです。

「宮城さんは2011年、米軍北部訓練場のヘリパッド建設が再開されたのを機に本格的な基地反対運動に取り組み始めた。米軍車両を止めたり、在沖米軍総領事館前で直接訴えたりする手法を取り、同訓練場返還跡地では大量の廃棄物を見つけて問題を顕在化させた。県警には3度逮捕されている。
 比嘉准教授は、組織ではなく単独で行動する宮城さんを「従来の運動から脱皮し、日本政府も米軍も読めない闘いへと突き進んだ」とみる」(同記事)

 そして比嘉准教授は控えめな表現でこう指摘しました。

「宮城さんへの無理解や非難の言葉は、運動を減速させたい日本政府や米軍を利する。私たちは、宮城さんにもう少し応えてもいいのではないか」(同)

 翌8日の沖縄タイムス(第3社会面)には、「米兵 銃を持って誇示 抗議の女性に罵声」の見出しで「普天間飛行場フェア現地ルポ」が載りました。

 米軍が開催した「普天間フライトラインフェア」(5、6日)にはオスプレイが展示され、米兵が子どもたちと一緒に装甲車の屋根に上がり、車両の前では米兵が来場者に銃の扱いを教えるなど、市民を取り込む催しが繰り広げられました(写真右)。

 一方、「会場の外では単独で抗議する女性に対する罵声が響いた」。

 罵声を浴びたのは、宮城秋乃さんです。

「飛行場の入り口では午後6時半、宮城さんが一人、米兵や来場者に向けて抗議の声を上げた。「沖縄の女性が米兵にレイプされているのに、なぜ米軍に加担するのか」
 行き交う日本人からは「死ね」など聞くに堪えない暴言が宮城さんに浴びせられていた。(略)
 「米兵と一緒に楽しむあなたたちも加害者だ」。宮城さんはその場所に3時間立ち続け、訴えた。だが、通りすがりの男性が口にした。「米兵の強姦とかあらへん」」(8日付沖縄タイムス)

 上記の記事で2つのことを思いました。

 1つは、「組織ではなく単独で行動する」宮城さんの闘い。それは「従来の運動」に対する暗黙の批判でもあるのではないでしょうか。反基地運動の「組織」といえば、「オール沖縄会議」です。

 もう1つは、こちらがより重要ですが、普天間基地の入り口前で米軍に抗議する宮城さんに対し、無視したり暴言を投げつけた来場者の姿は、そのまま「オキナワ」に対する「本土」の姿ではないでしょうか。

 「宮城さんへの無理解や非難の言葉は、運動を減速させたい日本政府や米軍を利する」「米軍と一緒に楽しむあなたたちも加害者だ」―これは、米軍と自衛隊(日米軍事同盟)の本質に目を塞いでそれを容認し親和性を強めている「本土」の日本人に対してこそ向けられた指弾の言葉と受け止める必要があるのではないでしょうか。
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