大統領選挙が大詰めを迎えているアメリカで、銃の売れ行きが倍増しているそうだ(10月29日のNHKニュース)。
トランプ陣営(共和党)の過激グループの集会には自動小銃で武装した男たちが詰めかけている。それに対抗するため、バイデン陣営(民主党)の「一般市民」も銃を持つようになっているという。一触即発の状況だ。
元共同通信ワシントン支局長の会田弘継関西大客員教授もこう書いている。
「激しく対立する二大政党候補支持者の間で武力衝突が多発することも懸念されている。…これは憶測ではない。安全保障分野の研究で定評のある米戦略国際問題研究所(CSIS)はこの夏、激化する国内テロについて報告書を公表。左右の過激派勢力による武力衝突が、大統領選を巡って起きる恐れを指摘した。
…これだけでも大きな懸念だが、憲政上の危機としては(トランプが)「負けを認めない」ことが大問題であろう。…米国は深刻な憲政危機の瀬戸際にある」(10月27日付中国新聞=共同)
現職の大統領が、選挙で敗北しても「負けを認めない」。そして支持者らによる武力衝突・銃撃戦の恐れが現実的に懸念されている―なんということだろう。
そもそもアメリカは「民主国家」とは言えないが―もちろん、日本も「民主国家」などではない―これは「民主主義」以前の問題だ。アメリカは果たして近代国家といえるのか。
アメリカがどういう「政治」を選択し、どういう道を進むかはもちろんアメリカ市民の問題だ。しかし、日本・日本人もけっして無関係ではない。なぜなら、日本はそのアメリカと軍事同盟(日米安保条約)を結んでいる同盟国だからだ。菅首相は30日の国会答弁でも「日米同盟をいっそう強化する」をぶち上げたばかりだ。
「民主主義」以前の前近代的暴力国家・覇権主義国家・アメリカとの軍事同盟。これほど危険で有害なことはない。在日米軍基地をめぐる事件・被害はその表れだ。トランプが勝ってもバイデンが勝っても、この基本は変わらない。こんなアメリカと運命を共にするなど、まっぴらだ。
アメリカとの軍事同盟は直ちに解消しなければならない。日本はいかなる軍事同盟・軍事ブロックとも関係をもたない非同盟・中立の国にならねばならない。アジアの一員として近隣諸国との友好の道を進まねばならない。
惨たんたるアメリカ大統領選の状況を目にして、痛感するのはそのことだ。