アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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「戦争(安保)法廃止」に賛成しない翁長知事

2016年02月27日 | 沖縄・翁長知事

  

 25日の沖縄県議会代表質問で、日本共産党の西銘純恵議員は、きわめて重要ないくつかの問題で翁長雄志知事の見解をただしました。
 ところが翁長氏はそれにまともに答えず、町田優知事公室長らに代わって答えさせました。こうした翁長氏の姿勢、そして町田氏らの答弁の内容は、けっして見過ごすことはできません。

 最も注目されたのは、目下の国政の最大課題といえる「戦争法(安保法制)」廃止についてです。「戦争法は廃止すべき」として「知事の見解をうかがう」とした西銘議員に対し、翁長氏は自ら答弁することを避けました。町田公室長の答弁はこうです。

 「十分な理解がえられていない法案を強引におしすすめる政府の姿勢は容認しがたい。沖縄の基地負担の強化につながることがあってはならない」

 これは半年前とまったく同じ答弁です。戦争法案採決のやり方には異議を唱え、沖縄の基地負担の強化には反対していますが、戦争法制自体には反対せず、もちろん「廃止」には賛成せず、結局戦争法を容認しているのです。これが翁長氏の立場です。

 戦争法を容認・賛成する翁長氏の立場は、「集団的自衛権を容認」する翁長氏の当然の帰結です。翁長氏は新聞のインタビューでこう明言しています。

 「ぼくは非武装中立では、やっていけないと思っている。集団的自衛権だって認める」(2012年11月24日付朝日新聞)

 集団的自衛権を容認し、戦争(安保)法を容認する翁長氏が、本気で「辺野古新基地」に反対できるでしょうか。

 西銘議員の質問に対する重大な答弁はこれだけではありません。主なものを挙げます。

★ 西銘議員「宮古、石垣、与那国への自衛隊配備強化に反対すべきだ」
  翁長知事(答えず)
  町田室長「自衛隊は島しょに大きく貢献している」「情報収集に努める」「政府は地元の理解を得られるよう丁寧に説明すべきだ」

★ 西銘議員「高江ヘリパッド建設は中止すべきだ」
  翁長知事(答えず)
  町田室長「さまざまな意見があり、情報収集に努めている。建白書に基づいてオスプレイ配備に反対する」

★ 西銘議員「嘉手納基地への外来機飛来を禁止すべきだ」
  翁長知事(答えず)
  町田室長「負担の増大にならなういよう日米両政府に粘り強く働きかけていく」

★ 西銘議員「消費税の10%増税は中止すべきだ」
  翁長知事(答えず)
  平敷昭人総務部長「消費税は安定財源確保のうえで重要な役割を果たしている」

★ 西銘議員「TPPの批准に反対すべきだ」
  翁長知事(答えず。だれも答えず)

 西銘議員が求めた重要課題での「反対・禁止」は、ことごとくかわされてしまったのです。
 この質疑であらためて分かるのは、「辺野古」以外で翁長氏と安倍政権・自民党との間に政策の違いはないということです。

 さらに、こうした翁長氏の政治姿勢は、解釈改憲や消費税増税、TPPへの反対を明記した翁長氏と革新会派との「知事選にのぞむ基本姿勢および組織協定」(2014年9月13日)に明確に反しているということです。

 こんな翁長氏を、共産党はなぜ「全面的に支える」ことができるのでしょう。
 戦争法はじめ重要な質問でことごとく答弁を回避され、公室長らの重大答弁を聞きながら、西銘議員はなぜ再質問で翁長氏自身の見解をたださなかったのでしょう。

 重要問題での不一致は見て見ぬふりをし、「辺野古反対」(翁長氏のそれははじめから疑問だらけですが)の1点だけで「翁長氏を全面的に支持」することがいかに重大な事態をもたらすか。「思考停止」はもう許されません。

 ※沖縄県議会の中継ビデオは、県議会のHPから見ることができます。関心と時間がある方は、翁長氏の実像をぜひご覧ください。


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