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嶽本野ばら「通り魔」~その悲劇は優しい悪魔から始まった?!~

2021-07-10 02:41:58 | 
嶽本野ばら「通り魔」読み終わりました。


タイトルが印象的だったので読んでみました。


読み始めたら

先が読みたくて・・読みたくて・・

今までで最速で読んだかも!


こんな悲劇ってあるんだろうか?!


本当に驚いた


でも


よく考えればあり得ることなのかもしれないなぁ


とも思えた。



ずっとコミュニケーション障害で


人と距離を取ってきた「満」


障害者手帳ももらえないこの障害


見た目は普通で


ただ対面するとなかなか言葉が出てこない。


父親は偶に現れては


母とセックスをしお金をせしめていくだけの人


母は特に好きでもない相手だけど

できたから仕方なく生んだ

そう満のことを言った。


そんな母親から

特に愛情を受けた記憶もなく・・


叱られ続けた記憶しかない。



小学校も中学校も友達もできず


ずっと自分の殻にこもっていた満


高校も入学したものの・・


居場所を失い辞めることになる。


母は正社員で働くことを満に強いて


知り合いの工場の社長に頼み


生地の裁断の仕事をすることになる。



そこで初めて優しく接し置てくれた


篠田さんと出会う。


満より少し年上の関西弁の女性



今ままで優しく話かけられたことなかった満


その優しさが同情以上のものと勘違いしてしまう。



そして・・


その篠田さんの優しさが


満を悲劇に導いてしまう



母の経営するスナックを兼ねた満の自宅


そのすぐ裏が篠田さんの借りていた部屋だった


そのことを知った満は


居てもたってもいられなくなる。。



そして


コミュ障が満を犯罪者へと仕立てられていくことになる



満は逃げ出し・・


東京で一人で生きていくことになる。。


そこでもコミュ障が満を追い詰めていく


やってもいない濡れ衣を着せられ・・


お金は取られ・・


仕事も上手くいかない。。



そして


最後は本物の犯罪者に



なんで放っておいてくれなかった?


なんで優しくしたの?


彼女が優しくしなかったら・・


距離を取ってくれていたなら・・


こんな悲劇は起こらず


満は地味な工場の仕事をずっとできていたかも。



そう思ってしまうのは私だけなんでしょうか?



でもきっと私も間違ってしまうかもしれない。



人に優しくするというのは難しい。。


逆に関わらずに放っておくほうが


本人にとっては「優しさ」になるのかもしれない。


そんなことを思った。



人に優しくされたことが無い人は


それが本当にうれしくて


こちらの温度とかなり違って


火傷をしてしまうのかもしれないね。



親の愛を受けるということ


人と心をやり取りすること


それが


上手くできていたら・・


こんなことは起こらなかったのでは?



なんかやりきれない思いでいっぱいになりました。



もし身近に満がいたら・・


私はどんな態度を取るのだろう?



この本を読んだら軽々しく「優しさ」を出せない気がした。



優しくすることって・・


その人にとって優しいことってなんだろう?



そう深く考える機会をもらった気がする



そして


満が経験したお金のないどん底の生活


そういうことを経験していない私は


これを読むことでいろんな場面を経験した想像をして


苦しくなった。


生きにくい毎日を送っている人が


たくさんいるということ。



私には何もできないけど


本を読んでそういう人がいることを意識して


日々を頑張って送って行くこと


それが大事な気がした。



嶽本さん作品を初めて読んだけど


これをきっかけに他の作品も読んでみようと思いました











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