角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

若き人形師。

2006年07月31日 | 実演日記
今日の草履は、リサイクルシリーズMサイズ22.0cm〔靴サイズ23cmまで可・・・2300円〕
紺の縞模様の浴衣をベースに、緒は濃い目の青です。この季節にピッタリの配色と思います。

今日の角館もとても暑くなりました。東北は未だ梅雨明け宣言が出されていませんが、明らかに真夏の陽射しです。米蔵スタッフとこの「梅雨明け宣言」の話題になり、『あれって、どんな意味があるの???』。
どう考えても「宣言」の意味が分かりませんので、私たちだけで『梅雨が明けたゾー!』ということにしました。

三種町(旧八竜町)からお越しのご夫婦、お二方とも還暦前後とお見受けしました。今年のゴールデンウィークに西宮家を訪れ、そのとき私の実演もご覧くださったそうですが、あまりの人垣に購入は断念したとのことです。この時期なら人影も多くないだろうとのことで再訪問でしたが、ご主人用のLサイズにお気に入りがありません。用意していった布生地を眺めながら、『二時間後にまた来るから、それまで作ってくれない?』。

確かに二時間あれば1足編むのに十分ですが、実演しているといろいろなお客様がお見えになります。ときには実演の手が進まなくなる場合もあるので、「二時間」という時間は決して長い時間ではありません。
それでも、高速道路を使っても二時間余りかかる土地からのお越しですし、奥様の粘りも相当のものでした。
『分かりました、なんとかやってみます』と言うと、『助かりますぅ~、こんな無理を頼むならメロン持って来れば良かった!』。

旧八竜町は県内でも有数のメロン産地です。次回ご訪問の際は、ぜひメロンもお待ちしています。

西宮家のお隣りに老舗の呉服店があります。こちらのご子息、当年26歳なんですが、プロ並みの人形作りの技術を持っています。どんな人形かと言いますと、角館のお祭りの山車(ヤマ)に乗る武者人形や歌舞伎人形です。
古くからの人形師の高齢化やご他界により、今ではヤマを出す丁内の若者たちが、人形も作る場合が多くなってきました。彼もそんな中のひとりなわけです。

今年もお祭りが近くなって、すでに人形作りがはじまっています。自宅店舗の裏で作業しているのですが、私がいる実演席から塀一枚隔てた場所がその作業場です。
前々から思っていたのですが、今日はじめて彼に提案してみました。『その人形作り、店の前で観光客のみなさんサ見せでみねが?』。

『いやぁ~、売り物作ってるわげでねぇし、オレ、喋るのも苦手だし‥』と消極的でしたが、そんな説得力のない理由で引き下がる私ではありません。
これからの角館に期待されているもの、観光客が角館に寄せる想い、内町(武家屋敷群)に外町(商人町)が対抗する手段などなど、延々20分以上説得しました。

結果としては、いきなり明日から‥というわけにはいきませんが、やがて往来の方々にも人形作りをお見せする日が来ると思います。
「角館のお祭り」、地元民に深く根付いているという意味では、ほかに類を見ません。そのお祭りに欠かすことの出来ないひとつが「ヤマの人形」です。

これから角館にお越しのみなさま、西宮家の隣りで人形作りに精を出している若者がいないかも、散策のお楽しみに追加してくださいませ。

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2 コメント

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私も同じく (さんさん)
2006-07-31 20:29:48
私のお店のお向かいにも超有名な人形師さんがいらっしゃいます。私は、娘さんに「人形作るところを見せてもらいたい。観光客も見たいよね。」なんて昨日話したところでした。



なんて、気が合うんだろ・・・
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おんや、まぁ~! (草履職人)
2006-07-31 20:47:58
ホントに気が合いますこと



お隣りの彼は、その超有名な人形師さんとご親戚で、子どもの頃から人形作りを見て育ち、またご教授もいただいたそうですヨ。



彼への殺し文句、『オメぇ、そんたに素晴らしい技術持ってで、誰さも見せねでこっそり作るなんてのは、角館に対する背信行為だどー』。



だってホントのことでしょ
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