角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

戦う相手は誰!?

2008年09月30日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズMグループ22cm土踏まず付き〔4000円〕
緑基調の小花プリントをベースに、合わせは黄色基調の花柄プリントです。今の季節とは少しギャップがありますが、こうした爽やかな色合いは編んでいても気持ちがイイもんですね。

人生訓としてときに耳にする、『真の敵は我にあり』。なにかを目標に日々努力している人であれば、少なからずこの真意が分ると思います。
とかなんとか立派なことを、草履職人は言えません。若い頃から「出来ないこと」に理由を探していましたし、努力以前に『俺サは無理だべぇ』なんてことが日常にあった気がします。

反面、常に「敵」もあったように思います。サラリーマン時代はライバル社もそうでしたし、場合によってはお得意先との駆け引きもそれに近いものがありました。
近年、特に草履職人となってから、そうした他人の敵は不思議となくなりました。むしろ周囲がすべて仲間にさえ思えますね。そうなると『真の敵は我にあり』、これが少しずつ分ってきた気がします。

先日の100キロチャレンジマラソンが終わり遊びに見えたランナーさんたちと出逢い、みなさんとても穏やかなお人柄であることを感じました。60歳代と思しきランナーさんへ、『フルマラソンではなく100キロというのに、なにか特別な意味があるんですか?』と訊いてみました。
ニコっと笑いながら、『フルマラソンって、どうしても相手があるんだよねぇ。敵というのかライバルというのか。でも100キロは自分自身との戦いなんだよ』。

作家の角川春樹さんも長距離ランナーとして有名ですが、角川さんが100キロを完走した後に言ったとされる言葉を思い出しました。『42.195キロのラインをまたいだ瞬間、自分が変わった』。

マラソンなどとは無縁の草履職人にその真理まではとても分りませんが、他人としての敵がいなくなった瞬間がそこにあるんじゃないでしょうか。
草履職人として、人としての「100キロマラソン」は、これからが本番のような気がします。

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