警察がZaman新聞社を手入れ。編集長、ＴＶディレクターらを拘束

１２月１６日日　警察が対メディア作戦を開始し、報道関係者と元警察署長ら３１人を拘束しました。全国１３県でも、同時に手入れが行われました。(昨日のこの頁もご参照ください）

Hurriyet

　

１２月１４日、Zaman 新聞の職員と支持者たちが警察の手入れに抗議した。

Zaman 新聞社の手入れは朝７時１５分に開始されました。手入れの噂を聞いていた同紙の支持者たちが抗議のため、新聞社前に集まっていたたため、警察はいったん引き揚げ、午後２時頃、ふたたび新聞社に戻ってきました。Zaman 紙のエクレム・ドゥマンル編集長が逮捕状を見せられ、警察署に連行されました。

ドゥマンル編集長の逮捕の模様は、多くのメディアがライブで中継しました。新聞社ビルの前に集まった群衆は「自由な報道を黙らせることはできない」と書いたバナーを掲げ、スローガンを叫びました。編集長はテレビを通じてスピーチし、傲然と逮捕を促しました。

　Hurriyet

　

ジャーナリスト協会や連合も、警察のメディアに対する手入れを非難

サマンヨル・メディア・グループのリーダー、ヒダイエト・カラジャ氏も、ＴＶのプロデューサー、脚本家、ディレクターも、元イスタンブル警察の対テロ部長や元ハッカリ警察署長も拘束されました。また、３人の警官が、トゥンジェリ、マルディン、シュルナク県で、それぞれ逮捕され、イスタンブルに送られました。

イスタンブル検察庁は公式声明を出し、この手入れで拘束された個人名のリストを発表しました。オルハン・カプジュ副検事長は、そのリストの中に、フェトフラー・ギュレンの名があるかどうかについては返答を拒否しました。

　Hurriyet

　

最大野党・共和人民党のケマル・クルチュダルオール党首も、警察の手入れを“クーデターのようだ”と非難

ビュレント・アルンチ副首相は、１１日、ナゾのツイッター、フアト・アヴニが「多くのジャーナリストが逮捕される」という噂を流したことは知っていると言いました。「私はあのツイートを重く受け止めている。彼らが拘束されることなく、裁判沙汰にならないことを望んでいる」と言っていました。

・・・どうして“Zaman”という新聞社が手入れされたの？　という方に簡単に言うと、この新聞社は、アメリカに住むイスラム学者フェトフラー・ギュレンを信奉するギュレン運動が運営しています。現政権は“政府を倒そうとクーデターを企てた”ギュレンおよびギュレニストたちを撲滅しようと懸命になっています。ギュレン運動は国内外で多くの予備校その他を経営しています。この手入れも、ギュレニスト一掃のための強硬手段でしょう。
「サマンヨル・メデイア・グループ」はエスキシェヒルのギュレンと結束しているといわれています。

大統領を怒らせたＴＶドラマのプロデューサーも拘束された

エルドアン大統領を怒らせたＴＶドラマのプロデューサーも、１２月１４日の手入れで、拘束されました。警察は早朝、西部エスキシェヒル県の自宅で、サリフ・アサン氏を拘束しました。

　Hurriyet

　

「預言者を光線として描くのは不道徳だ」と、昨年、エルドアン大統領はこのドラマについて言い、ギュレン関係のＴＶ局が放映しているドラマを非難した。

アサン氏は、いまもサマンヨル局で放映中のドラマ「スングルラル」（Sungurlar）をプロデュースしていますが、このＴＶ局は、アメリカに住むイスラム学者フェトフラー・ギュレンと結束していることで知られています。人気ドラマのディレクター、エンギン・コチ氏も拘束されました。サマンヨル局のべつのドラマ「唯一のトルコ」（Tek Turkiye）の脚本家マクブレ・チャム・アレムダーさんと彼女の助手エリフ・ユルマズさんも、東部ヴァン県で拘束されました。

サリフ・アサン氏がプロデュースしたＴＶドラマ「憐みの丘」（Sefkat Tepesi)の１月、放映されたシーンで、預言者ムハンマドが光線として描かれていましたが、コンヤ県庁はこの映画の撮影許可を取り消し、政府寄りのメディアは「預言者を光線として描くことは“神への冒涜”だ」と書きたてました。
ギュレンを“偽の預言者”と非難するエルドアン大統領は、人気ドラマの問題のシーンを批判しました。「預言者を光線として描くことは不道徳だ。わが国では許されないことだ」と大統領は昨年、イスタンブルで遊説中に言いました。「憐みの丘」は架空のトルコ軍の物語をベースにしたアクションドラマ。スングルラルはセルダル・メルト大佐が指揮する部隊です。

「ときどきダイアリー」ヘ