4月23日 ノーベル賞作家オルハン・パムクが、まもなく自著の小説と同名の「無垢の博物館」をオープンすることは4月16日の頁でお知らせしましたが、今月末のオープンに先立って、パムク氏がその「博物館」のマニフェストを日刊「タラフ」に発表しました。
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博物館には20世紀後半を象徴する女主人公の個人的グッズがいっぱい
博物館はイスタンブールのチュクルジュマにオープンします。
パムク氏は博物館が大好きで、昔から博物館にいると幸せを感じると言っています。
「私が子供の頃には、イスタンブールには博物館はわずかしかなく、その多くは歴史的な建造物だった。
その後、ヨーロッパの小さな博物館を見て、私は、博物館が個人のストーリイを語れることを知った。
私はルーブルや、メトロポリタン博物館や、トプカプ宮殿博物館や、英国博物館や、プラド博物館のような豊かな人間性を持った博物館を決して忘れません。しかし、未来の博物館は、記念碑的な大博物館であるべきではないと思います。
博物館は人間性を表現するものでありたい。しかし、国営の博物館は個人でなく国家を表現するのが目的です。これはよい、無垢の目標ではありません」とパムク氏はマニフェストで言っています。
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「無垢の博物館」は1950~2000年のイスタンブールの生活を表現する試みで、パムクの小説「無垢の博物館」の主人公ケマルの恋人フュスンに触発された品々に溢れています。
パムク氏がマニフェストに書いている彼の“考え方”を少しご紹介しましょう。
「ルーブルやエルミタージュのような昔の宮殿や国立の大博物館は、ツーリストが必ず訪れる国家的シンボルで、個人のストーリイより国家のストーリイに重きを置かれています。しか、人間性の深奥を表現しやすいのは個人のストーリイです」
「集団や国家や会社などのストーリイを語る博物館はたくさんあります。だが、われわれはふつうの個人のストーリイのほうが、より人間的で、おもしろいことを知っています」
「博物館は小さく、個人的で、安価であるべきです。小さな博物館だけが個人のストーリイを表現できるのです。
大きな博物館は国家を想起させられます。だから、多くの人々は博物館に行きたくないと思うのです」
「多くの記念碑的博物館に費やされるお金を、個人のストーリイを伝える小さな博物館に費やすべきです。
個人の小さな家を博物館に変えるのを助成し支援するためにお金を使って欲しいと思います」
・・・写真を見ると、昭和っぽいワンピースなんかも飾られていて、おもしろそう!