limelight とは、電球が発明される以前に、舞台で使われていた照明器具のことで、転じて“名声”を表す。
だそうです
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シアタークリエで観てきました。
ひたひたと、静かに静かに、感情の波が押し寄せてきた舞台でした。
感動ではなく感情。
それは希望ではなく‥‥人生の哀しみ。
舞台『ライムライト』は、喜劇王チャップリンの映画「ライムライト」をベースに作られた音楽劇です。
1914年、ロンドン。
かつて一世を風靡しましたが、今は落ちぶれて酒浸りの老喜劇役者のカルヴェロ(石丸幹二)は、ガス自殺をはかったバレリーナのテリー(野々すみ花)を助けます。
やがて二人の間には愛が芽生え、バレリーナとして成功したテリーは、カルヴェロとの結婚を望みます。
しかしカルヴェロは、作曲家ネヴィル(良知真次)がテリーには相応しいと、姿を消します‥‥
ひたすら伸びていく若芽。
飽きられ、時代から取り残され、同情され、それに気づかないふりをして、かつての日々にしがみつく老木。
やがて、カルヴェロの再起を賭けた舞台の幕が上がりますが‥‥
年代的に、テリーではなくカルヴェロに感情移入してしまうのですよね‥‥
年齢を重ねると、カルヴェロのように“幕ひき”を考えるわけですよ。
それができるだけ美しくありたいと願うわけです。
その一方で、まだ何か出来るのではないか
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ということで‥‥‥
上に書いた 哀しみ になっていったわけです。
石丸幹二さんは、メイクダウンすることがあるのですが(すみません
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テリーを見つめるまなざしがどんどん優しくなっていく‥‥
それと、ユーモアを交えながら人生訓のようなセリフがたくさんあって、いい言葉だなあ‥‥と感じつつも聞く
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テリーのすみ花ちゃんは、とにかく見事でした。
カルヴェロへの愛は変わらなくても、護られる存在から、やがてカルヴェロを守る立場に。最初から最後まで透明なまなざしのままで。
ネヴィルに「カルヴェロと結婚するの」と告げたテリーの表情で、これは同情では全くないことを確信しました。
白のバレエ衣装で、トウシューズで踊りこなし、大きな拍手をもらっていました
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出演者は全部で8人。
石丸さんとすみ花ちゃんだけが、役が固定で、残りの6人はメインの役をやりつつ、さまざまな役をこなします。
メインが劇場支配人の吉野圭吾さん。
どうしても、シカネーダーとイメージが被ってしまうかなと思いましたが‥‥実際、一幕ではシカネーダーっぽかったりして
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わざとらしい大芝居的な?台詞の言い方も楽しかったです
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最後の方は、情に篤い初老の役になっていて、いいひとの役の圭吾さんは久しぶりで、新鮮でした
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保坂知寿さん。カルヴェロの大家さんとしての登場が多かったですが、とにかく知寿さんは一瞬でその場の雰囲気を作れる人なので、舞台にメリハリが出ます。
きりがないので全員には触れませんが、ひとりひとりがレベルの高い仕事をきっちりこなしていたという印象です。
それは音楽についても同じでした
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4人での生演奏だったのですが、4人とは思えない厚いハーモニーでした。
映画「ライムライト」の有名な曲などを使いつつ、オリジナル曲を混ぜこんでありましたが、とても素敵な曲ばかりでした。
作曲は荻野清子さん。彼女は小学生の頃からたくさんの作曲をしていて、才能のある方ですよね
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演出は荻田浩一さん。オギーですね
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誰ひとりとして悪人はいません。
それでも、人生は甘酸っぱい哀しみに満ちている‥‥
そんな初夏の夕暮れのような舞台だったのでした。