今期の芥川賞を受賞した、話題の若手作家、朝井リョウ氏の作品が文庫になったので、立て続けに2作読んでみました。
年齢的には、末の息子とでも言うくらいの若手作家さんなので、ハードカバーの新刊書は気恥ずかしくて買えなかったのですよね
で、文庫ならいいかな、と
「桐島、部活やめるってよ」
バレー部のキャプテン、桐島くんが退部したことから派生した事柄を、さまざまな高校生たちの姿を通して描く連作短編集。
舞台は(おそらく)作者の出身地(岐阜)あたりの、地方の公立の進学校と思われます。
“こういうところが今風なんだな”とか“意外と昔と考えていることは似ているのだなぁ”と思ったり。
でも一番重く感じたのは、いわゆる〈学級カースト〉。
ずっと横たわっているテーマでした。
「チア男子!!」
男子だけのチアリーディング部を立ち上げた大学生の一馬と親友の晴希、そして仲間たちの群像劇。
仲間たちのグループ構成は、超金持ち、気弱、トラウマ有り、劣等感有り、上から目線、とかいわゆる“お約束”というか、セオリー通りというかの構成なのですが、それだけにキャラが立って、すいすい読めます。
肝心のチアリーディングも、きちんとした取材を元に書かれていて、違和感なく読めました。
「桐島~」を読みはじめてすぐ、おおっとと感心する表現に出会い、やっぱり芥川賞の才能はスゴイと感じたのでした。
23歳の作者が、等身大の若者の姿を描いていて、行間で風が踊っているのを感じました。
大人に関する表現は、短絡的だったり、ツッコミを入れたくなったりもしましたが、今はそれで良いのだと思います
2作とも、是非、中高生に読んで欲しいと思いました。