
ライノからジョン・セバスチャンの3枚組がリリースされた。ラヴィン・スプーンフル脱退後に
リプリーズからリリースされた4枚のスタジオ盤を収録した2枚のCDと、70年10月に放送された
「IN CONCERT」を収録したDVDで構成される。
この時期のオリジナル・アルバムは日本では紙ジャケでリリースされたので、好きな人は
それを手にしているかもしれないが、そんな方の中にもDVD目当てで本セットを手にした
人はいるだろう。私もそんな一人である。
BBCの「IN CONCERT」は、ニール・ヤングやキャロル・キングが登場した回を裏モノで
見たが、私自身、ジョン・セバスチャンの「IN CONCERT」を見るのは初めてである。
本セットの製作スタッフがBBCのアーカイブの中から本映像を発掘し、そのコピーを
見たジョン・セバスチャンのお墨付きをもらってのリリースであるというのだから、期待は
高まる。
内容はジョンが一人でソロやラヴィン・スプーンフル時代の曲をギターを弾きながら
歌うというシンプルなもので、絵的な面白みは然程ない。それでも、ウッドストックの
喧騒から一段落ついた後の、単純に気軽に楽しく聴くことができる音を演奏者と少数の
観客が共有している様子は手に取るようにわかるし、45年近く経ってテレビ画面に
映し出された映像を見た私も同じように多幸感に満たされる。
CDには2曲のボーナス・トラックが収録されていて、それは72年にリリースされた
シングル『GIVE AS A BREAK』とそのB面の『MUSIC FOR THE PEOPLE WHO
DON'T SPEAK ENGLISH』である。前者はベスト盤にも収録されたが、インストの
後者の収録が嬉しい。曲のタイトルが意味深で、尚且つインストであるのがまた考えさせ
られるのだが、「英語がわからなくてもこの曲の良さをわかってくれるかい?」というのが
ジョンの意図だとしたら、「十分すぎるほど良い曲だと理解できるよ。」と答えたい。
廉価なので、ジョンの足跡の一端を手っ取り早く知りたいという人にもうってつけの組物
だと思う。
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