HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

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IN A SILENT WAY ~カバー・ソング100選への道・その22

2011-06-16 19:06:47 | JAZZ

        

マイルスの「IN A SILENT WAY」は、私にとっては特別なアルバムだ。
いや、多くの人にとってもそうだろう。

私の場合、音楽を聴きだした当初からジャズには抵抗があった。インプロビゼーションだろうと
アドリブだろうと呼び方は何でもいいが、同じ曲で毎回ライブで違った演奏をすることに個人的に
大した意味合いを見いだせなかったのが、その最大の要因である。まあ、ロックの一部にも
アドリブの充実具合や長尺の演奏によって、「演奏能力の優劣」を決める傾向が今でもあるのだが、
それは俺のとは違う。

特にロックを聴きだしてから最初の数年は、先に挙げたような項目を理由にロックを一段低く見られては
ならないとの意識が強かった。それでも単純に聴いて気持ちの良い音には抗えなかく、それがマイルスの
「IN A SILENT WAY」だった。後にあの帝王マイルスの電化以降の盤には、数々のセッションの
テープをテオ・マセロが鋏を入れて編集して世に出たものがあると知り、まさしくそれは私にとっては
ロックとジャズの境界線を取っ払うエピソードとして強く印象に残り、以降はジャズに抵抗が無くなったものだ。

歴史的に見れば、所謂フュージョンの先駆けとも見なされ、それ故に人によっては諸悪の根源的に
捉える人もいるかもしれない。冒頭で書いた「多くの人にとって特別なアルバム」という言葉には
そういう意味も含ませてある。この盤に参加した面子は後にウェザー・リポート、マハヴィシュヌ・オーケストラ、
リターン・トゥ・フォーエバーといったバンドに繋がるのだが、ジャズの側からロックとの境界線を壊しにかかった
という、その良し悪しはともかく、そういう時代を先駆けた「IN A SILENT WAY」の意義は
微塵も揺るがないであろう。

このアルバムのB面には『IN A SILENT WAY / IT'S ABOUT A TME』のメドレーが19分に渡って
収録されているのだが、その『IN A SILENT WAY』はサンタナによってカバーされた。
アルバム「フィルモア最後の日」に収録されたのが初出で、後に「SANTANA Ⅲ」のレガシー・エディションに
添付されたライブ盤CDでは、この日のサンタナの演奏を11曲聴くことが出来る。(内6曲が初登場)
サンタナの演奏はオリジナルの核心を抜き出したような7分程の演奏で、これをカバー・ソング100選に
選ぶことにした。実に冴えている。

          

初めてサンタナのアルバムを買ったのは16歳の時で、買った盤は「CARAVANSERAI」だった。
最初のサンタナ体験としては完璧な出会いで、それ以降70年代のサンタナの魅力には今も填り続けている。
「CARAVANSERAI」とマイルスの「IN A SILENT WAY」、そしてザ・ライマン・ウッダード・オーガニゼーションの
「SATURDAY NIGHT SPECIAL」は私の中では地続きの3枚だ。
きっと、一生聴き続けるのだろう。


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2 コメント

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Unknown (ハリー)
2011-06-17 20:45:06
たこべいさん

ああ、眩暈のするような、羨ましい話です。
69年~70年代初め頃の、マイルスとサンタナは方法は違えど同じ地点を目指していたのかも
しれませんね。

私は「打楽器好き」なので、ピアノ・トリオなんかよりは、素直に聴けます。(笑)

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Unknown (たこべい)
2011-06-16 22:13:08
マイルスのライブを見に行ったことがあります。大阪公演なので例の横尾ジャケの時です。何故行ったかというと、TVでやっていたマイルスのライブ映像でパーカッションのムトゥーメとの絡みが、無っ茶、かっこよかったから。
サンタナと同じ地続きという言葉で腑に落ちました。
サンタナの初来日も行きました。ようするに、こういうのも好きなんだと、改めて納得。
個人的には「ビッチズブリュー」が好みです。
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