山本飛鳥の“頑張れコリドラス!”

とりあえず、いろんなことにチャレンジしたいと思います。

カブトムシ君

2012-07-08 00:42:21 | 日記

我が家の一員になったカブトムシ君は、なんとか小さなケースの中で生きながらえているが、なんとも複雑な気分である。

先週から読み始めた蓮池薫さんの「半島へふたたび」は、1週間たったけど、後半を一気に読み終えた後、前半に戻って読んでない部分を読んでいる最中だが、なにぶん1日に30分くらいなので、進みが遅い。

この本を読んでいると、蓮池さんが、いきなり異国北朝鮮に捕まえられてきて、一生戻れないと観念し、かなわぬ希望は持たないようにして暮らしたという部分があった。確かに、帰れないのに帰りたいと思い続けても苦しみが増すだけで、何の道も開けないだろう。

家族のいるところ、本来自分のいるべきところから無理やり別のところに連れていかれて、一生を過ごすことの虚しさは、はかりしれない。全く残酷なことだ。それでも伴侶がいたからよかった。

私は、我が家のカブトムシ君を、彼がいるべき場所に戻してやりたいと思うのだが、いったいどこから来たのかわからないし、居た場所でなくとも、彼が生活していける林や森があれば、そこに連れていってやりたいのだが、その場所がどこなのかもわからない。

最初から、夫が家の中に連れてこなければよかったんだ、と思うけど、外のコンクリートの上にあおむけにひっくり返っていたというのだから、拉致してきたというよりも、救助して保護したってわけなんだろう。でも、仰向けだけを直してやれば、自分で行くべきところに行ったかもしれない。それとも、やっぱりそんなところにひっくり返っていた時点で、もう通常ではなかったということか。

カブトムシについて調べると、昼間は地面の葉っぱの下などにもぐりこんでいるが、夜なかになると出てきて、樹液を吸うそうである。カブトムシには歯がないから、自分で木に穴を開ける事ができないので、カミキリムシなどがあけたところから樹液を吸うのだそうだ。そして、お腹がいっぱいになると朝はまたもぐってしまうから、人の目には触れないが、樹液を吸いそこなって、まだお腹が空いているような場合、朝になっても木の幹に残っているので、そういうのが人間に捕まえられてしまうようだ。

ということは、夜が明けて日も高くなってから、集合住宅のコンクリートの上にひっくり返っているなんていうのは、よほどの不自然な状況であるし、たぶん自力で山に戻ることはできなかったであろう。

せめて1人ぼっちではかわいそうだから、ペットショップからメスを買ってきてやろうかと夫が言っていたが、それもさらに面倒なことになりそうだ。このうえ、カブトムシの幼虫まで育てることになるのは困る。
でも、ホームセンターに行ったついでに、売っているカブトムシを見たら、値段は大したことなかったのだが、なんと日本の物ではないとのこと。見るとオスはすごく大きくて角が3本もある。クワガタ+カブトムシみたいな角のやつで、色も緑っぽいメタリックになっていた。それで、メスを見ると一見日本のメスとおなじに見えるのだけど、これもやっぱり日本のものではなく、東南アジアかなんかのものだそうで、そもそも種がちがうから、日本のカブトムシとはつがいにはならないそうだ。人間のように国際結婚するということはできない。

外国のカブトムシの姿を見るにつけ、日本のカブトムシは、かわいいなあという印象だった。

うちのカブトムシは、昼間は全然動かず、死んだようになっている。昔カブトムシやクワガタを飼っていた時は、一日中ガリガリ動き回っていたような気がするのだが、環境が悪すぎたせいかもしれない。
それで、うちに今いるのは、明け方になると動き出すことがあるのだが、そのときはかなりのパワーがあり、ケースに入っている水苔や枯れ葉や木の枝をめちゃくちゃにしてしまう。朝になるとあらゆるものが場所を変えて、葉っぱなどがこんもりと盛りあがったりしており、そのどこかにうまく潜り込んでいる。
早朝、さかんに動いているときに触ったりすると、いきなり動きをやめて活動をやめてしまうこともあり、カブトムシが死んだまねをするのは意外だった。

餌の樹液ゼリーにかぶりついて吸っているところを見ると、舌のようなものを接しているだけであるので、自然に吸い上がってくるのを待っているだけかもしれない。ガソリンを補給しているクルマのようなものだ。

ところが、最近はあんまり食欲がないようで、樹液ゼリーにかぶりつかなくなってしまった。サクランボの佐藤錦をやったり、スイカをわざわざ買ってきて与えたりしている。あんまり意欲がなさそうなので、そばまで連れていくと口を近づけて果汁を吸っているようだ。やはり市販の樹液ゼリーよりも新鮮な果物のほうが好きそうである。
でも、なんとなく、活力がなくなってきているようで心配だ。

どっちにしてもひと夏しか生きられないらしいし、我が家に来てからは2週間くらいたった。湿度とか温度とか、住まいの環境もどうなんだか。少なくとも快適とは言えないし、狭苦しいに違いない。
彼は、最初は出口を探して必死に動いていたのかもしれないし、最近はまさか絶望に暮れてしまうほどの脳みそはないのだろうけど、ちょっとかわいそうだなと思う。




コメントを投稿