山本飛鳥の“頑張れコリドラス!”

とりあえず、いろんなことにチャレンジしたいと思います。

独居老人のワクチン事情

2022-03-18 16:35:02 | 日記2022

私の実家の母は90歳でワクチンを打っていない。打たない主義だったわけではなく、打つ機会が得られなかったからだ。

田舎は自動車が無い人間は、なかなか遠くへ移動することができない。

昨年、初めてのワクチンの時、近所のクリニックで申し込もうとしたのだが、数に限りがあり、追加の入荷目途は不明とのことだった。

当時は、また別のクリニックの入り口に行列になってワクチンを打った人などが多かったようで、その根性のない人には無理だった。

その後、今度は市街の会場(電車で2駅+徒歩20分くらい?あるいはタクシーで片道2000円くらい?)で集団接種が行われるようになったが、そこは近年になってできた何々センターとかいう施設で、母は行ったこともなく、場所がわからないからそんなところまで行く気はないと言っていた。

母はスマホも持っていないので、送られてきた接種券の情報しかなく、そこには「かかりつけ医で」と書いてあったそうだ。母のかかりつけ医は整形外科でワクチンは扱っていないため、別のクリニックに申し込もうと試みた。
しかし、そのクリニックでは最初に書いたように目途が立たない。そこで、私が東京の自宅パソコンで故郷の自治体の集団接種会場の情報を得て母に伝えるが、私も浦島太郎で田舎の施設所在地の状況などわからないし、母もピンと来ないようだった。

そうしているうちに、デルタ株が終息したかのように思えたので、母も私も、母のワクチンは受けないままで良いと思っていた。

ところが、今年になってからオミクロンが流行し始め、3回目のワクチンの話が出て来た。

そして、デルタの時は、故郷の町ではさほどの感染者も発生しなかったのだが、オミクロンになると無視できないくらい毎日多数の感染者が発生するようになってきた。老人には3回目接種券も送られるようになったが、母の場合は1度も受けていないので、送られてこない。

オミクロン株になってからは、ずいぶんとスパイクタンパクの形も違っているそうで、これまでのワクチンでは、感染予防効果が減っているとのことだ。しかし、ワクチンを打てば抗体価があがり免疫力が強まって重症化予防効果が期待できるとのことであり、老人は副反応の心配も少ないことから、やはり打っておいた方がよさそうである。

そこで、1月の末ころか2月の初めころだったか、私が故郷の役所に電話をして聞いてみたところ、1度も接種をしていない人は、市のワクチン申し込み電話から申し込んでおくと、比較的近い地域の中で希望者が6人集まったところで、その地域の3つくらいのクリニックの中のどこかに日程を指定してくるそうなので、そこで接種してもらえるというシステムなのだそうだ。会場となるクリニックまでは、タクシーで片道1000円くらいで行ける場所である。

それを母に伝えたのだが、どうもピンと来ないようであり、どこにもでかけないし、人にも接しないので、感染なんかしないから、ワクチンは打たなくて良いとの返事だった。

やはりいちいち日程と場所を指定されて、そこに出向くというのが億劫なようである。

本人が乗り気でないので、接種券番号を電話で聞くこともできず、勝手に申し込むこともできない。しかもいつになったらちょうど6人集まるのかも全く不明であり、7人集まったら最後の1人はあきらめることになるだろうし、5人集まってもファイザーのワクチンが1人分無駄になるからできないということみたいだ。

母一人では慣れない場所には行けないので、日程と場所が決まり次第、私が帰省して母と一緒に行くことになる。

だが、東京ではかなり感染者が多いので、私が帰省すれば、コロナを持って行ってしまう可能性もあるので、逆に危険である。

どうしようかと迷っているうちに、案の定、私たち夫婦が本物の新型コロナに感染してしまった。

回復後は、私は自然免疫を獲得したため、新規に感染したり、人にうつす可能性はほぼなくなったので、却って帰省することができる状況になった。

そこで、また故郷に1回目のワクチン方法について電話をしてみると、今度はまた状況が変わっていて、集団接種会場で4月中旬と5月上旬に唯一の日程が組まれているとのことだ。

それは、また行ったこともない会場であり、4月1回目は電車で3駅行ったところからタクシーで行ける場所で、もう一つは電車で2駅行ったところからタクシーか、あるいは自宅から会場までタクシーで行くという方法となるようだ。(電車は1時間に1~2本である)

今度は、あらかじめ日程もわかっていて日曜日なので、ワクチンを申し込んでおき、私がそれに合わせて帰省すればよいので、これなら確実に母の接種ができそうである。

ところが、これを母に伝えたものの、母はやはり遠くまでワクチンを打ちに行く気はなく、近所のスーパー以外はどこにも出かけないし、人ともほとんど接しないのでワクチンは不要だと言う。

また、予約には昨年送られてきた接種券番号が必要だと伝えたところ、母はそんなものはないと言い出したのだ。

そもそも、郵便物には、かかりつけのクリニックに申し込めと書いてあり、それができなかったので捨てたなどと言うのである。あとになって接種するなんてことは想定していなかったのだろう。

接種券紛失でも接種を申し込むことはできるだろうが、とにかく本人は受ける気がなく、このような状況で無理に接種を受けさせて、万が一副反応でもでて悪い結果がでたりしたらそれも私が困る。

本人の意思を尊重したことならば、結果は本人が決めたことだから仕方がない。

近所の老人は、同居の家族や、近所に住む家族が勝手に申し込んで、どんどん車で連れていかれ、接種してきたと言う人が多い。

母の場合、家族が身近に居ないということが、ワクチンを受けられない成り行きになってしまった原因である。

また、老人のところには、インターネットなどの情報を得る手段がないので、社会から置き去りにされている。

母の場合、要支援や要介護などではないので、何もかもを自己責任と自力でするしかないのだ。

今、近所の老人たちは、3回目のワクチン接種を次々に受けているところである。母が知人から聞いたところでは、1・2回目と同じように近所のクリニックに申し込もうとしたところもう閉め切られており、いろいろ探しまわったあげくに、自動車で1時間くらいかけて峠を越えたところにある、行ったこともないクリニックでようやく接種ができた人などもいるそうだ。

「そんな状況だから、今度もワクチンは無理だ。そんな面倒なことはしたくない。」と母が言い、母のアタマも少々理解力が劣ってきているようである。

「だから、お母さんの場合は、3回目の人たちとは違うの。これから1回目を受ける人は日程と場所が決まっていて、今すぐに申し込めるんだよ」と言っても、聞き入れない。

そうして「もうワクチンのことは口にすんな」というようになってしまった。

母もスムーズに1・2回目が受けられていればこのようなことにはならなかっただろう。ある意味、ワクチン難民なのか・・・。

ワクチンを打っておけば重症化しないのか?それともオミクロンは株が違うからあまり関係ないのか?まさかワクチンを打たなかったから重症化したなんてことがあったら嫌だし・・・。

母はワクチンを打っていないから、なおさら外出もしなくなってしまうし、人の集まるところも避けるようになってしまうし、外食にも行けないし、ひ孫なんかにも会わせられないなと思ったりする。



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