ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

11/10/10 玉三郎特別舞踊公演を楽しめたことは収穫?!

2011-12-29 23:54:50 | 観劇

10月の書いておきたい舞台その2。
「歌舞伎美人」の「日生劇場 坂東玉三郎特別舞踊公演」の公演情報はこちら
冒頭の写真は日生劇場のロビーにあった看板を携帯で撮影したもの。玉三郎の3本立ての舞踊公演だが、実は私、歌舞伎の舞踊だけの公演を観るのは初めてだった。観劇も左脳でするタイプのようで芝居を観るのは得意だが、舞踊を観るのは苦手で今回も寝てしまうのではないかと危惧。

普段はしっかりとしまいこまれている「坂東玉三郎舞踊集」の箱の中から「藤娘」と「楊貴妃」を出してきて、字幕つきの設定にして直前に予習をし、プログラムも観る前に買って解説ページ(通常の公演の分よりも詞章が詳しく掲載sれているのが有難い)を読んで臨んだ。

成功!3本ともしっかりと楽しんで観ることができた。少しは自分の進歩を感じることができて嬉しかった。やっぱりこの方法は自分に合っている(笑)
以下、上記のサイトの情報等を引用加筆して、印象に残っていることを書いておこう。
【傾城 吉原絵巻】長唄舞踊
傾城=玉三郎
新演出ということで冒頭に花魁道中がつけられたが、舞台中央に若い者の肩に手を置いた傾城が板付きでいて、周囲を少々めぐるだけだった。チラシや来年のカレンダーの表紙に使われている赤地に金糸で鳳凰を豪華に刺繍した裲襠(うちかけ)姿での登場。確かこの裲襠は仁左衛門と共演した「廓文章」の夕霧の時に新調したものだと思う。話題にはなっていたのに舞台では意外にもあまり目立たなかった。写真や映像ではその刺繍の美しさが際立つが、舞台で遠くから見るには不向きなのだろう。それでも今回は冒頭に活用し、その後、何回も衣装を変えての登場は目の保養になった。
四季折々の美しさと廓の風情を詠みこんだ長唄に乗せた舞踊は美しかった。

【藤娘】長唄舞踊
藤の精=玉三郎
六代目菊五郎が舞台装置を工夫して大きな藤とその花房の陰から姿を現すことで大きな身体を可愛らしく見せたことから、そのような装置の舞台が踏襲されることが多かったとのこと。
玉三郎の用意した舞台装置は藤の枝の這い方も違っていた。登場も板付きで照明が当たると藤娘がそこにいるという演出。途中で姿を隠すところも中央の太い幹だけでなく、上手に大きくうねった枝がありその陰も利用するなど変化があった。
藤の精の可愛らしさ、酒を飲んで酔態の態で廓の女の妖しい色気がにじませたり、短い舞踊の中で変化に富んでいて、初めて面白いと思えた「藤娘」となった。

【楊貴妃】
楊貴妃=玉三郎 方士=彌十郎
今年の7月に福助と海老蔵の共演で観た大佛次郎作の「楊貴妃」という芝居とは全く別物(笑)
玄宗皇帝が楊貴妃の死後も恋慕の情がやまず、方士に手紙をもたせて遣わしたというストーリーの舞踊劇。
プログラムにあった方士姿の彌十郎の舞台写真は壮年の拵えだったが、今回は白髪の鬘で老方士という設定。修行の年功を積んでいる方が通力がありそうでよい。
冥界で楊貴妃が登場する装置は、能で使われているようなシンプルなもの。「帝からの御使いか・・・・・・」というような台詞がひとこと発せられ、久しぶりに観ることができた玉三郎の舞台でようやく声が聞けたことが実に嬉しく感じられた。
楊貴妃は玄宗皇帝との思い出を方士を帝にみたてた連舞で見せる。二枚の扇を使って「比翼の鳥」「連理の枝」のように愛し合ったことを舞う様子は実に美しかった。名残を惜しみながら折りたたんでいた袖先(水袖?)を長くして舞い、冥界に戻っていく場面では金城武×チャン・ツィイー×アンディー・ラウ競演の映画「LOVERS」でチャンがやはり長い袖を自在に操って舞っていたことも思い出した。透けるカーテンを張り巡らしたような舞台装置もシンプルでありながら幻想的でよかった。
長唄舞踊2本もよかったが、物語がわかりやすい「楊貴妃」が私には一番見応えがあった。

「楊貴妃」を実際に観る前に買った舞台写真に写っていた装置が今回のものではなかった。終演後に売り場に立ち寄って確認したところ、以前の舞台のものだという。そういう場合はきちんとそれがわかるように掲示を出しておくべきだと言って、今回の舞台の写真と交換してもらった。ロビーではさらに写真やプログラムの購入を呼び掛ける男性職員がいたので、その方にも意見を申し述べておいた。

言うべきことは言いながら、ちゃんと来年の玉三郎カレンダーも早々と買ってきた。丸まっているのを伸ばしてずっと吊っておいたので、明日あたりには定位置に持っていこうと思っている。

(12/30追記)
今回のプログラムは、玉三郎が36年前にマクベス夫人で日生劇場初出演してから2000年の「海神別荘」までの舞台写真が網羅されているのが魅力的。「メディア」で殺した子ども二人を抱えてすっくと立っているところの写真などはすごい迫力だ。永久保存版に決定(笑)
さらに1月にル・テアトル銀座で玉三郎初春特別公演が決定という特報チラシがプログラムに挟み込まれていて、口上姿の玉三郎がこちらを見ている写真を見てしまえば、これは行くしかないと決意を固めた次第。