11歳の少女の頭の中を舞台に、喜び、怒り、嫌悪、恐れ、悲しみといった感情がそれぞれキャラクターとなり、物語を繰り広げるディズニー/ピクサーによるアニメ。田舎から都会への引っ越しで環境が変化した少女の頭の中で起こる、感情を表すキャラクターたちの混乱やぶつかり合いなどを描く。メガホンを取るのは、『モンスターズ・インク』や『カールじいさんの空飛ぶ家』などの監督ピート・ドクター。成長という普遍的なテーマと子供の頭の内部という独創的で柔軟な世界が混じり合う、個性的な物語に期待が高まる。
あらすじ:田舎町に暮らす11歳の女の子ライリーは、父親の仕事の影響で都会のサンフランシスコに移り住むことになる。新しい生活に慣れようとするライリーの頭の中では、ヨロコビ、カナシミ、イカリ、ビビリ、ムカムカたちが、ライリーの幸せのためという強い気持ちが原因で衝突していて……。
<感想>冒頭のピクサーならではの同時上映である、「南の島のラブソング」。岩だらけの噴火している活火山の、小さな島が海に沈んでいき、海底火山で現れたのが女性の島で、緑が茂ってそれは生命が芽生えていくような感じがして、そこへ、昔の岩だらけの沈下した山が隆起してぴったりと寄り添うように、二つの島が一つになる物語で、海底火山の恋を具体的に描いており秀逸でした。
そういえば、5月に邦画で「脳内ポイズンベリー」なる、頭の中のお節介やさんたちが、ヒロインの恋にあれこれと口を出す映画を観たのです。
が、それとはかなり違っていて、こちらの主人公は11歳の気難しい年頃の少女なのですが、そのライリーの頭の中にある5つの感情たちで、感情たちはみなそれぞれ独立した人格を持っているわけ。
いつも明るく元気なのは若草色のワンピースを着た「ヨロコビ」ギャルで、丸眼鏡のブルー系の洋服を着た、どこかイジイジと暗いのは「カナシミ」娘。「イカリ」は真っ赤な顔のズングリオヤジで、そしてわがままで落ちつきのない緑色の「ムカムカ」娘と、小心者で怖がり屋の「ビビリ」男の5つの感情たち。
彼らはライリーの頭の中で、隙あらばと自分の出番を待っているのだが、ソフトなカラーで色分けされた各キャラクターの造型、CGアニメならではの動きと台詞が絶妙で、しかもキャラクターとして完璧に命が通っているのだ。
声優さんたちの、「ヨロコビ」の竹内結子さんの巧いトークには感心して、「カナシミ」の大竹しのぶさんもいつも感情を暗く落ち込ませて上手かったです。
本編の物語では、生まれた時から感情を駆使して元気に育ってきたライリーが、父親の仕事の関係で自然豊かなミネソタからサンフランシスコに、一家で引越すところから始まります。
知らない街、新しい学校、自分の仕事のことでいっぱいのパパ。家のことで忙しいママ。全てが不安なライリーは、教室で自己紹介をすることになった時に、急に様々な感情が込み上げて来てつい泣き出してしまう。
そこで、ライリーの頭の中の感情たちが即反応するわけ。感情のリーダー格である「ヨロコビ」は、涙の仕掛け人である「カナシミ」を脇に押しやるが、「カナシミ」悲しみのあまりつい、禁断の“思い出のボール”に触れてしまい、あげくに「ヨロコビ」と「カナシミ」は感情たちの本部である司令塔から外へと落ちてしまうのです。
一方、感情の司令塔からダークな世界へと転がり落ちた「ヨロコビ」と「カナシミ」の運命は、…この後に展開される、頭の中の無限の宇宙に見立てた大冒険が実にスリリングで、特に迷路のような“思い出の保管場所”と、思い出がらみのエピソードは、いぜれもライリーにとって大切な思い出だけに、美しいです。ですが、この美しい思い出も放置したままだと、いずれは捨てられ忘れ去られてしまう。
思い出の保管場所で迷っていると、ピンク色のゾウさんが現れビンボンというのだそうです。そこから見えるラリーの“友情の島”や、思い出の島、正直の島とかが崩れていきます。
ゴミのように思い出が捨てられていく場所、この廃墟のような暗い“思い出の球”が黒ずんでいき最期は消滅してしまう場所。つまりは、ここへ捨てられると、人間の記憶から削除されて忘れ去られてしまうってことなの。ピンクのビンボンが犠牲となって、ヨロコビをピンク色した高い崖の上まで送り届けるのです。これには、感動しましたね。
ですから、ライリーの感情の司令塔には、いまや「イカリ」と「ムカムカ」と「ビビリ」だけになり、ミネソタ時代のライリーとは別人のように暗い性格に落ち込んでしまう。
ということは、ライリーはミネソタへ帰りたいと心が暗い思いでいっぱい。だから、母親の財布からカードを盗んで深夜バスでミネソタへと乗って行ってしまうんです。それを知った「ヨロコビ」と「カナシミ」は、急いで司令塔へと戻り、ライリーの感情をコントロールしてミネソタ行のバスから降りることを願うのです。この喜びと悲しみが、脳内の外から戻るシーンがハラハラ、ドキドキで、アニメだからこのように素晴らしい映像美で見せられるのですよね。
いやいや、感情という抽象的なイメージのビジュアル化に心から感心するとともに、涙は別人格だと、意志に反して勝手に流れるものだと思っていたら、そんないい加減なものではないことを知り反省しきりです。
頭の中のどんな感情も、その人自身の正直なリアクションで、中でも歓びと悲しみは背中合わせの名コンビでした。無論、キレたり、愚痴ったりといった感情には、コントロールも必要ですが、思わず泣いたり笑ったりは、人間の素晴らしい特徴でもあるのだから。
歓びと悲しみの感情が戻った少女ライリーの笑顔が、新しい家族の島と友情の島、想像の島、ファッションの島などが頭の中に出来て、パパとママの笑顔を誘い家族としての絆が深まったということで、目出度し目出度しでした。
「脳内ポイズンベリー」
2015年劇場鑑賞作品・・・147映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
あらすじ:田舎町に暮らす11歳の女の子ライリーは、父親の仕事の影響で都会のサンフランシスコに移り住むことになる。新しい生活に慣れようとするライリーの頭の中では、ヨロコビ、カナシミ、イカリ、ビビリ、ムカムカたちが、ライリーの幸せのためという強い気持ちが原因で衝突していて……。
<感想>冒頭のピクサーならではの同時上映である、「南の島のラブソング」。岩だらけの噴火している活火山の、小さな島が海に沈んでいき、海底火山で現れたのが女性の島で、緑が茂ってそれは生命が芽生えていくような感じがして、そこへ、昔の岩だらけの沈下した山が隆起してぴったりと寄り添うように、二つの島が一つになる物語で、海底火山の恋を具体的に描いており秀逸でした。
そういえば、5月に邦画で「脳内ポイズンベリー」なる、頭の中のお節介やさんたちが、ヒロインの恋にあれこれと口を出す映画を観たのです。
が、それとはかなり違っていて、こちらの主人公は11歳の気難しい年頃の少女なのですが、そのライリーの頭の中にある5つの感情たちで、感情たちはみなそれぞれ独立した人格を持っているわけ。
いつも明るく元気なのは若草色のワンピースを着た「ヨロコビ」ギャルで、丸眼鏡のブルー系の洋服を着た、どこかイジイジと暗いのは「カナシミ」娘。「イカリ」は真っ赤な顔のズングリオヤジで、そしてわがままで落ちつきのない緑色の「ムカムカ」娘と、小心者で怖がり屋の「ビビリ」男の5つの感情たち。
彼らはライリーの頭の中で、隙あらばと自分の出番を待っているのだが、ソフトなカラーで色分けされた各キャラクターの造型、CGアニメならではの動きと台詞が絶妙で、しかもキャラクターとして完璧に命が通っているのだ。
声優さんたちの、「ヨロコビ」の竹内結子さんの巧いトークには感心して、「カナシミ」の大竹しのぶさんもいつも感情を暗く落ち込ませて上手かったです。
本編の物語では、生まれた時から感情を駆使して元気に育ってきたライリーが、父親の仕事の関係で自然豊かなミネソタからサンフランシスコに、一家で引越すところから始まります。
知らない街、新しい学校、自分の仕事のことでいっぱいのパパ。家のことで忙しいママ。全てが不安なライリーは、教室で自己紹介をすることになった時に、急に様々な感情が込み上げて来てつい泣き出してしまう。
そこで、ライリーの頭の中の感情たちが即反応するわけ。感情のリーダー格である「ヨロコビ」は、涙の仕掛け人である「カナシミ」を脇に押しやるが、「カナシミ」悲しみのあまりつい、禁断の“思い出のボール”に触れてしまい、あげくに「ヨロコビ」と「カナシミ」は感情たちの本部である司令塔から外へと落ちてしまうのです。
一方、感情の司令塔からダークな世界へと転がり落ちた「ヨロコビ」と「カナシミ」の運命は、…この後に展開される、頭の中の無限の宇宙に見立てた大冒険が実にスリリングで、特に迷路のような“思い出の保管場所”と、思い出がらみのエピソードは、いぜれもライリーにとって大切な思い出だけに、美しいです。ですが、この美しい思い出も放置したままだと、いずれは捨てられ忘れ去られてしまう。
思い出の保管場所で迷っていると、ピンク色のゾウさんが現れビンボンというのだそうです。そこから見えるラリーの“友情の島”や、思い出の島、正直の島とかが崩れていきます。
ゴミのように思い出が捨てられていく場所、この廃墟のような暗い“思い出の球”が黒ずんでいき最期は消滅してしまう場所。つまりは、ここへ捨てられると、人間の記憶から削除されて忘れ去られてしまうってことなの。ピンクのビンボンが犠牲となって、ヨロコビをピンク色した高い崖の上まで送り届けるのです。これには、感動しましたね。
ですから、ライリーの感情の司令塔には、いまや「イカリ」と「ムカムカ」と「ビビリ」だけになり、ミネソタ時代のライリーとは別人のように暗い性格に落ち込んでしまう。
ということは、ライリーはミネソタへ帰りたいと心が暗い思いでいっぱい。だから、母親の財布からカードを盗んで深夜バスでミネソタへと乗って行ってしまうんです。それを知った「ヨロコビ」と「カナシミ」は、急いで司令塔へと戻り、ライリーの感情をコントロールしてミネソタ行のバスから降りることを願うのです。この喜びと悲しみが、脳内の外から戻るシーンがハラハラ、ドキドキで、アニメだからこのように素晴らしい映像美で見せられるのですよね。
いやいや、感情という抽象的なイメージのビジュアル化に心から感心するとともに、涙は別人格だと、意志に反して勝手に流れるものだと思っていたら、そんないい加減なものではないことを知り反省しきりです。
頭の中のどんな感情も、その人自身の正直なリアクションで、中でも歓びと悲しみは背中合わせの名コンビでした。無論、キレたり、愚痴ったりといった感情には、コントロールも必要ですが、思わず泣いたり笑ったりは、人間の素晴らしい特徴でもあるのだから。
歓びと悲しみの感情が戻った少女ライリーの笑顔が、新しい家族の島と友情の島、想像の島、ファッションの島などが頭の中に出来て、パパとママの笑顔を誘い家族としての絆が深まったということで、目出度し目出度しでした。
「脳内ポイズンベリー」
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