パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

丘の上の本屋さん★★★

2023年04月22日 | アクション映画ーア行

               

「イタリアの最も美しい村」のひとつに数えられるチビテッラ・デル・トロントを舞台に、年齢や国籍の違いを超え、本を通して老人と少年が交流する姿を描いたハートウォーミングストーリー。
あらすじ:イタリアの風光明媚な丘陵地帯を見下ろす丘の上にある、小さな古書店。店主のリベロはある日、店の外で本を眺めていた移民の少年エシエンに声を掛ける。本を買うお金はないけれど、好奇心旺盛なエシエンを気に入ったリベロは、コミックや小説、専門書まで、次々と店の本を貸し与え、エシエンは、リベロが語る読書の素晴らしさに熱心に耳を傾ける。本の感想を語り合ううちに、2人は年齢や国籍を超えた友情を築いていく。
店主リベロ役は「フォードvsフェラーリ」「我が名はヴェンデッタ」のレモ・ジローネ。

<感想>始まりは、老店主リベロの本屋に一人の少年が現れたことだ。彼の名前はエシエン、アフリカの中でも貧しい国、サハラ砂漠の南にあるブルキナファソという国からの移民だという。始めは漫画の「ミッキーマウス」。あっという間に読み終えてしまうと続きは「ピノッキオの冒険」「イソップ物語」に「星の王子さま」と、次々に読破していく。一番驚くのはメルビィルの「白鯨」を読んでしまうことだ。難物中の難物、誰もが知っている本だが、この私だって最後まで読み終えたことがない。

店主に借りた本を、世界を、少年の澄んだ目はまっすぐに吸収していく。利発そうな少年で、リベロが貸し与える本を次々に読み切ってしまう。リベロはこの少年にいいことを言う。本は二度読むこと。それは、「一度目は本を理解するため、二度目は考えるために」体調が不安定なリベロも少年との交流に心を和ませる。

店に訪れるのはエシエン少年だけではない。隣のカフェで働く粋な青年ニコラ、彼が心を寄せているキアラ。彼女は女主人に頼まれてフォトコミックなるものを探しにやってくる。その二人の恋物語。

その他にもゴミ箱をあさっては本を見つけて、リベロのところへ売りに来る移民労働者。そのゴミ箱の中にあった、たまたまリベロのもとに舞い込んだ一冊の古い日記。書き手は金持ちの家で、家政婦をしていた若い女性らしい。職探しに苦労する恋人との悩める日々に続き、女性が恋人と共に夢を追ってアメリカへ渡るまでが書かれている。

初版本の収集家の教授というのも面白い。神父、さらにはSM愛好家やネオナチ風の男まで、本は人を選ばず、この古本屋は誰にも扉を閉ざしはしないのだ。物語のほとんどがアットホームな本屋さんの中で繰り広げられる。

その中でもリベロの店で興味深いのが、「発禁本棚」があることだ。「チャタレイ夫人の恋人」や「ロリータ」などが並んでいる。最後に、老リベロが少年にとっておきの本を渡す。それは「世界人権宣言」、私が君たちに人権とは何か?・・・を教えてあげよう。何故か私はこれで、嫌悪感を感じてしまったのだが。しかしながら、是非、見届けて欲しいと思う。いずれは上段にある「発禁本」も、成長していく少年には、本の魔力に毒されてページをめくるのを、ためらう瞬間が訪れるかもしれない。

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