パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

悪人に平穏なし ★★★.5

2013年08月07日 | DVD作品ーあ行
2004年3月11日にマドリードで起きた同時多発テロを題材にした、ゴヤ賞作品賞など主要6部門で受賞のサスペンス・アクション。図らずも犯してしまった殺人の証拠隠滅に奔走する刑事が、その過程で強大なテロ組織と彼らが仕組む陰謀に対峙(たいじ)していく姿を活写する。メガホンを取るのは、『ナインスゲート』などで脚本家としても活躍するエンリケ・ウルビス。キャストには『密会1723号室』のホセ・コロナドを筆頭に、スペインの実力派が結集。二転三転する展開に加え、壮絶な銃撃アクションにも息をのむ。

あらすじ:捜査中に事件を引き起こし、異動させられてしまった中年刑事サントス(ホセ・コロナド)。ある夜、立ち寄ったバーで泥酔していた彼は、店主や店員に絡んだ果てに店内にいた者たちを銃で撃ち殺してしまう。証拠隠滅を図る彼だが、防犯カメラの映像に現場から逃げ出す目撃者の姿を見つける。口を封じようと目撃者を捜し回る中、サントスは麻薬密売のコネクションに接近。彼らがテロ組織の資金源となっている上に、大規模なテロ計画が始動していることを知り、忘れていた刑事としての職務と正義感をよみがえらせるが……。

<感想>風変わりなサスペンス、ミステリー映画ということか。スペイン映画です。いきなりショットガンを構えたオッサンのチラシを見ただけで、今時こんな渋い主人公いないですよね。まさか、このオッサンが主人公だとは思わなかった。日本の俳優で例えるなら、故・勝新太郎か原田芳雄みたいなムードです。何となく犯人と思わせる風貌、実際映画の中でやっていることも犯人のとる行動だし、・・・。
冒頭で泥酔して入ったバーで、いきなり3人も殺しますから。主人公が客3人を射殺する前に、相手をカウンターに思いきり叩きつける。「なんて野蛮なんだろう」と思う人と、スカっとしてしまう人。

こいつら、きっと悪いことをしている奴らなんだと解釈します。私ならね。「その男、凶暴につき」ですら情感に流されるシーンがあったというのに、観客の感情移入など一切受け付けない孤高の暴力刑事。その映画が現代でも実現可能なことに驚く。70年代のB級映画の残香を漂わせるオヤジ映画の復活というべきか。

ハードボイルドな雰囲気が漂うものの、いかんせんストーリーが地味すぎてサービス不足。いってみれば全体が人探しの話でアクションは期待薄ですから。主人公の暗く歪んだキャラクターに頼り過ぎて、盛り上げにかける。サントスが殺した人たちは、実はテロ組織の関係者で、しかも、大規模な爆破テロを計画している凄い物語。だから、自分が殺した証拠隠滅をしていくうちに、テロ集団との戦いに身を投じていくことになる。

サントスは、逃げた目撃者を黙々と追跡していくだけで、ナレーションもありません。普通なら自分のやっていることを正当化する奴が多いのに、サントスは言い訳を一切しないのだ。主人公のやさぐれ刑事も、職務や正義を守るというよりは個人的なケリを付けたいがために動いているように見える。そこも怖いのだが。その果てに訪れるラストが、これまた正義感を振りかざすことなく、野生動物が強いやつに尻尾を振るが、挑みかかるかの二択を迫られたかのような緊張感のまま、クライマックスになだれ込む構成もいい。
スタローンがリメイクを計画中のようだが、このストイックな作りが継承可能だろうか、心配だ。
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