パピとママ映画のblog

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NOPE ノープ★★★

2022年09月25日 | アクション映画ーナ行

          

「ゲット・アウト」「アス」で高い評価を受けるジョーダン・ピールの長編監督第3作。広大な田舎町の空に突如現れた不気味な飛行物体をめぐり、謎の解明のため動画撮影を試みる兄妹がたどる運命を描いた。
あらすじ:田舎町で広大な敷地の牧場を経営し、生計を立てているヘイウッド家。ある日、長男OJが家業をサボって町に繰り出す妹エメラルドにうんざりしていたところ、突然空から異物が降り注いでくる。その謎の現象が止んだかと思うと、直前まで会話していた父親が息絶えていた。長男は、父親の不可解な死の直前に、雲に覆われた巨大な飛行物体のようなものを目撃したことを妹に明かす。兄妹はその飛行物体の存在を収めた動画を撮影すればネットでバズるはずだと、飛行物体の撮影に挑むが、そんな彼らに想像を絶する事態が待ち受けていた。「ゲット・アウト」でもピール監督とタッグを組んだダニエル・カルーヤが兄OJ、「ハスラーズ」のキキ・パーマーが妹エメラルドを演じるほか、「ミナリ」のスティーブン・ユァンが共演。

<感想>ジョーダン・ピール監督がデビュー作のスリラーと、社会性を結び付けた「ゲット・アウト」で、アカデミー脚本賞を受賞して気鋭のクリエイターとして注目される。彼の3年ぶりの新作「NOPE ノープ」が22日で終了なので鑑賞。

空にピタリと張り付いて動かない“あの雲”は何なのか? 空を見てはいけない理由は? デカくて狂暴で、人目を引こうとしているものとは? 恐怖の表情で顔を伏せるOJ、地面に巨大な影が落ちる……それは、期待が振り切れそうな描写にあふれていた。不可解としか言いようがない父の死の謎…兄妹は“空を撮る”ことで恐怖の真相を撮影することに。

やがて起こる馬たちの異変。そして雲の奥に潜む謎の飛行物体。デジタルショップの店員を巻き込んで、監視カメラで確認してから撮影に挑むのだった。しかしそれは、彼らをとてつもない恐怖の渦へと引きずり込んでいった。

意外性に満ちた展開で観客を夢中にさせるピール監督の演出は、次々と起こる怪現象、消える電気、暴れる馬、響く断末魔、血の雨を浴びる家。より強力に大胆に、とてつもない恐怖へと引きずり込んでいく。

父親が急死して牧場の経営が思うようにいかず、隣人の西部劇テーマパークのリッキーに馬を売却しその場をしのいでいた。リッキーは自分が子役時代にTV出演をしていた時に起こった、チンパンジーのゴーディが風船が割れた音に驚いて逆上して、出演者たちを攻撃したために打ち切りになったTV番組。その逆上の仕方が異様な雰囲気で、猿が人間に襲い掛かり血みどろの場面になってしまう。

そして、その空の雲の奥に潜むUFOは以外にも狂暴であり、期待して観ていたらエイリアンらしきものも出てこないし、西部劇のテーマパークの観客たちが、一番先にその大きなUFOの被害に遭う。動く物、つまり人間や動物を食料として、円盤の真下にある大きな穴のような口から吸い上げていき、その後に断末魔のような悲鳴が聞こえてくる。そして血が混じった大雨が降る。それに、その穴からは、いらないもの(金具、木材、ビニール等)も雨と一緒に放りだすのだった。

兄のOJは、意外にだらしなく臆病で、馬に乗ってなんにもしない。それよりも妹のエムが、頭を閃かして、その円盤にビニール製の大きい動物のバルーンや、大きなプラスチックで作った馬などを飲み込ませ、最後にきたYFOは、まるで「エヴァンゲリヲン」の使徒みたいに、ひらひらとまるでクラゲみたいな物体で、ビニール製の人形や動物などを吐き出すのに苦労しているように見えた。映像美は綺麗でしたが、結局は妹の作戦勝ということになる。

外へ出ていくことへの恐怖、あるいは何か巨大な力に吸い込まれてしまいそうな漠然とした恐怖。最初から最後まで観客は、次に何が起きるのか分からない。ストーリーの語り方も巧みで、映画ファンの心臓をドキドキさせるものに満ちているのだ。SFホラーというジャンルの表面下には、物言わぬ動物を搾取した”見世物”で金儲けをしてきた、エンタテインメント業界に対する批判が込められている。だが、ちょっと期待外れでもあった。それは前2作品と比べると、見劣りがするのだ。監督のデビュー作品が完璧だったゆえ、スタート時点でのハードルがあまりに高くなり過ぎたのかも。

 

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