パピとママ映画のblog

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ゲットアウト★★★★

2017年12月19日 | アクション映画ーカ行

人気コメディアン、ジョーダン・ピールの記念すべき監督デビュー作にして、全米でサプライズ大ヒットを記録して大きな話題を集めたホラー・サスペンス。米国が抱える根深い人種問題を背景に、白人の彼女の家を初めて訪問することになった黒人青年を待ち受ける予測不能の運命を不穏なタッチでスリリングに描き出す。主演はダニエル・カルーヤとアリソン・ウィリアムズ。共演にブラッドリー・ウィットフォード、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、キャサリン・キーナー。

あらすじ:ニューヨークに暮らす黒人青年のカメラマン、クリス・ワシントン。白人の恋人ローズ・アーミテージから実家に招待されるが、彼女の両親は娘の恋人が黒人であることをまだ知らず不安を隠せない。しかし、いざアーミテージ家に着いてみると、まったく心配ないというローズの言葉通り、家族みんなクリスを温かく歓迎してくれた。それでも、使用人として働いている黒人の姿に妙な胸騒ぎを覚えてしまうクリス。翌日、亡くなったローズの祖父を讃えるパーティが開かれ、多くの招待客が集まる中、白人ばかりに囲まれ居心地の悪さを感じるクリスだったが…。

<感想>言葉を失ったまま、目を見開いて涙を流す主人公クリスは何を見つめているのか!?あっと言う間に奈落の底に落とされる恐怖。ここは一体どこなんだ?不穏な空気と張り詰めた緊張感。本作は、観客を恐るべき結末へと導いていくのである。

白人が黒人をどう観ているのか、強さからいったら白人は黒人より体力的に劣っているようだし、頭脳もほぼ同じレベルだと思うのだが、アメリカ人の白人から見ると、アフリカ系の黒人は体力的にも憧れの“まと“なのかもしれない。あらゆるシーンで自分たちの居場所や威厳を失いつつある白人が、感じている焦燥や不安など。それでもアメリカの社会においては手綱を握るのは自分たちだという、彼らの一部のしぶとい邪推や意思疎通。

NYで共に暮らす白人女性のローズが、郊外に住んでいる実家へ彼を連れて行き紹介するという設定は、オバマ政権以降のアメリカでもやはり心配なものなのだと思いますね。ローズは両親が精神科医の母親と脳外科医の父親だから、黒人に対して知的で差別などはないから大丈夫だと言い、弟以外は実際に暖かく迎え入れられるが、使用人はすべて黒人であり、何かがおかしい。黒人同士の視線が不気味なのだ。

実際には、ここまでの恐怖はないと思うが、母親がクリスが煙草を吸うのを見て、禁煙できるようにと催眠術をかけるのが、紅茶の茶わんをスプーンでかき混ぜる音で、クリスは催眠状態に陥ってしまい、奈落の底に落ちた気分になってしまうのだ。

それに、親せきが集まり失明した画廊主の叔父さんのパーティが開かれるも、全部白人の親戚であり、一組だけ若い青年が養子にでももらったのか、叔母さんが連れていた青年が黒人だった。

クリスもつい親近感を覚えて彼に声をかけ写真を撮るのにストロボの光で、彼が動揺して発狂してしまうのだ。驚いたクリスが謝り、事なきを得たのだが、その夜に、クリスは寝られなくて夜に外へ出ると、使用人の黒人が物凄いスピードで走って来るのだ。それに、メイドの彼女も2階の窓からクリスを見て、様子がおかしい。

そしてついに家族がクリスを襲う瞬間が来る。地下室に閉じ込められるのだが、両手足を縛られ身動きが取れない。前にあるTBの画面には、盲目のおじさんがベッドに寝ていて、今にも手術をするような気配がする。

そうなんですね、この家の両親は、黒人に憧れて自分たちの家族、祖母と祖父の脳に娘のローズが連れてきた黒人の彼氏を、催眠状態にして脳を取り換えるという、異常な両親たちなのだ。盲目の叔父さんは、クリスの眼球を移植し脳全摘出して叔父さんの脳に差し替えるという手術をするわけだった。

だから、使用人の若い黒人の脳は祖父のものであり、メイドの脳には祖母が入っているということ。それに、おばさんの養子だとばかり思い込んでいた彼も、ご主人の脳を入れ替えたもので、この手術が成功したかと言うと、本当は微妙にマッチしていないようだ。

多様性が叫ばれるようになって見え隠れする、人種間のアレコレを巧みに盛り込んでいるのもいい。それでいて妙に説教臭くするわけでもなく、しっかりと怖がらせつつも、絶妙なさじ加減で笑わせてくれるのだ。だから実に優れたモダン・ホラーに仕上がっていた。

その変な感じがジワジワと伝わって来る演出も良かったし、黒人と白人が歴史的に持っている差別的感情も、黒人監督だからこそデリケートに、遠慮なく、表現できたのかもしれませんね。

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