パピとママ映画のblog

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トゥモローランド ★★★★

2015年06月09日 | アクション映画ータ行
『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』などのブラッド・バード監督と、名優ジョージ・クルーニーのタッグで放つ話題作。ウォルト・ディズニーが想像した未来を軸に、“トゥモローランド”のことを知っている主人公と17歳の少女が未知の世界への扉を開く姿を描く。共演は『愛する人』などのブリット・ロバートソンやテレビドラマ「Dr.HOUSE」シリーズでおなじみのヒュー・ローリーら。ウォルト・ディズニー社の保管庫で発見された資料を基に創造された世界に息をのむ。

あらすじ: ケイシー・ニュートン(ブリット・ロバートソン)、17歳。ある日、彼女の持ち物に見慣れぬピンバッジが紛れ込む。それは、彼女が夢見た世界へのチケットだった。ピンバッジに触れると、ケイシーはたちまちにしてテクノロジーの発達した未知なる世界に…。果たして、ここは未来なのか?だが、バッテリー切れと同時に、ケイシーは見慣れた世界へと引き戻されていた。
必死で夢の世界へと戻ろうとするケイシーの前に現れたのは、ピンバッジを彼女の荷物に紛れ込ませたと言う、謎の少女アテナ(ラフィー・キャシディ)だった。その世界の名は“トゥモローランド”。

再び訪れたいのならば、フランク・ウォーカー(ジョージ・クルーニー)という男を訪ねるようにとアテナは誘う。アテナが人類の未来を託したふたりの人間、それこそがケイシーとフランクだった――だがそれは、壮大な冒険の始まりに過ぎなかった。

<感想>晩年のウォルトは、フロリダのディズニーワールドにエプコット EPCOT:(実験的未来都市)を造ることを計画していた。実は「アイアンマン2」に出てくる「スターク・エキスポ」もこれをモデルのしたものだという。名作映画やテーマパークを生みだし、人々に愛と希望を届けてきたウォルト・ディズニー。

そんな彼が生涯追い求めていた夢が未来都市「トゥモローランド」の建設。今作では志し半ばでこの世を去ったウォルトが、描いたヴィジョンを劇場用映画という形で実現した。物語の鍵となる未来都市「トゥモローランド」を知る男に扮したジョージ・クルーニーが、未来を夢見る17歳の少女と未知の世界への扉を開くのです。

本作では、天才発明家のフランクによる面白い発明品が数多く登場します。背中に背負って空を飛ぶ小型ロケットや、あらゆる防犯設備をしたマイホーム、ホログラム犬は、フランクの家の玄関口を守る狂暴な犬。驚かすだけの幻映像だが防犯せいはある程度高いのだ。空飛ぶジェットバス(お風呂)など、一見よくある平凡なバスタブだが、絶体絶命のピンチには脱出ポッドになり、大空へ向けて発射する。男子なら一度は使ってみたいものばかりです。

そして、トゥモローランドへの入り口の扉は、世界各地にある。NY世界万博で、ウォルト・ディズニーが出展したイッツ・ア・スモール・ワールドのパビリオンから、誰もが知るあのヨーロッパの建物に至るまで、扉の世界各地の点在ぶりには驚いた。ただし、その扉には通行証のバッジが必要。

アテナから渡される「T」の字が記されたバッジ。触ると「トゥモローランド」の光景が見えるようになる。夢あふれる未来都市や、ワクワクのSFガジェットが飛び出すアクションシーンにも、誰もが童心に返れること間違いなしですから。その他にも、ディズニーも所属した秘密組織が出てきたりと、都市伝説フリークも飛びつくようなミステリー要素も豊富ですね。
ですが、技術の進歩によって実現した理想や美しい未来ばかりではありません。すべてが可能になる世界は、科学技術だけでは実現できないものや、残酷な未来をも明らかに見せてくれるのです。

そんな中で物語を繋ぎ止めてくれるのは、孤独な中年科学者のフランク。科学大好き少年だった子供のころに、NY万博会場でスカウトされ、一度はトゥモローランドの住人に選ばれながらも、のちに追放されてしまった彼は、夢を見失い、毎日を漠然と生きている退屈な大人たちの象徴であり、この物語の中でも最も人間的な葛藤を抱えたキャラなのだ。

それは、物語の過去にいろいろあったやさぐれた中年科学者フランクをはじめ、未来を諦めてしまった人類の前では、テクノロジーは無意味なばかりか、破滅を招くのである。しかし、宇宙旅行を夢見て、日々せっせとNASAのロケット発射台の解体作業を妨害するケイシーによって、未来は少しだけ動き始めるのです。ウォルト・ディズニーが創造したトゥモローランドは、物語の中で人間の可能性を計る装置として機能するわけ。

映画は未来の姿を見せるが、それは全て、可能性を信じて諦めない人間の力が産んだもので、その力の前では、最近ではSFで悪しきものとみなされがちな「AI」の存在も肯定されます。その「AI」が、トゥモローランドからの使者、謎の少女でロボットのアテナ(ラッフィー・カシディ)なんですね。

それに、ヒュー・ローリー演じる、デイヴィッド・ニックス:1964年の万国博覧会の発明コンテストで審査員を務め、少年時代のフランクと対面した男。「トゥモローランド」と深い関わりがあるようだが、その素性は謎のベールに覆われている。

しかし、物語の主人公たちの最大の武器は、悲観的な状況におかれても諦めない力だったのです。基本的にはファミリー向けのSFアドベンチャー映画なのでしょうが、意外と人生に疲れた大人たちにも観て欲しいと思います。
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