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チング 永遠の絆 ★★.5

2014年12月17日 | DVD作品ーた行
2001年に日本でも大ヒットしたクァク・キョンテク監督による青春ノワール・アクション「友へ チング」の12年ぶりに製作された続編。韓国裏社会を舞台に、親友ドンスを失ったジュンソクのその後の運命を、ジュンソクの父親の若き時代の物語を織り交ぜ綴る。主演は前作でも主人公イ・ジュンソクを演じたユ・オソン。共演にキム・ウビン、チュ・ジンモ。監督は前作に引き続きクァク・キョンテク。
あらすじ:2010年。所属する組織が対立してしまったことで、親友だった男を殺してしまったヤクザ、ジュンソク。罪を償い、17年の刑期を終えて組織に舞い戻るが、副会長にのし上がった兄弟分に牛耳られた組織は、もはやかつての居場所ではなかった。そして、父の愛情を知らないまま育ち、狂犬のように暴力をほとばしらせることでしか、自分が自分であることを確かめられなかったチンピラ、ソンフン。この深い孤独を心に抱えたふたりが、運命の出会いを果たす。偶然にも同じ刑務所に、高校時代の女友達ヘジの息子ソンフンが収監され、ジュンソクはヘジに頼まれ面倒を見ることに。
出所後、釜山に帰郷したジュンソクだったが、すっかり様変わりした組織にもはや彼の居場所はなくなっていた。彼の服役中に、組織は切れ者のウンギに乗っ取られていたのだ。そんな現状を嘆く会長のヒョンドゥは、ジュンソクの父親チョルジュと一緒に混乱期の釜山でのし上がっていった思い出をジュンソクに語って聞かせる。やがてウンギから釜山を取り戻す決意をしたジュンソクは、ソンフンを舎弟に迎え、ウンギ一派との激しい抗争に乗り出していくが…。

<感想>2001年公開の「友へ チング」は観ていませんが、後でDVDレンタルして観たいと思っています。本作は1970年代半ばから90年代初めにかけて韓国・釜山を舞台にした幼馴染4人組の、痛切な群像劇です。
12年ぶりに登場した続篇は前作から17年後の2010年が設定になっている。親友ドンスの殺害にかかわり、罪を償ったヤクザのジュンソク(ユ・オソン)が刑務所を出所し、故郷の釜山に舞い戻るところから始まります。
ヤクザ映画につきものの跡目の後継者をめぐる争いが展開するわけだが、それだけでは物語的につまらないと思ったのか、今度は亡きドンスの息子のソンフンを登場させて一大抗争劇を繰り広げるのです。

とはいえ、型通りの展開に終わる危険をはらみながらも、前作を引き継いだクァク・キョンテク監督は、圧倒的な演出力でこの伝統的な名作を見事に復活させているようです。
筋立てそのものは、ジュンソクが服役中に事件を握った副会長一派に対する復讐劇という単純なものですが、組織立て直しのためにジュンソクがソンフンに引導を預けるという主旋律は崩さずに、2人の皮肉で残酷な運命の巡り合わせを克明に描いていきます。

ソンフンは彼らの仲間だったドンスの息子で、みかけはチンピラのような風体で、そんなにイケメンではなく体つきも筋肉モリモリではありません。どちらかというと貧弱な体つきに、普通の男の子って言う感じ。それが、母親が水商売をして男と同棲。息子のソンフンもしかたなく一緒に住むも、毎晩のように夫婦喧嘩が絶えず、辟易して毎夜のごとく遊び歩いてはごろつきどもと喧嘩をしていた。

で、ある喧嘩で刑務所入りして、母親がジュンソクに息子のことを頼むのだ。まぁ、自分もソンフンの父親を殺した仲間として服役していたわけで、しかし、ソンフンの父親のドンスを殺したのは、同じ兄弟分の今では副会長としてのさばっている男が命令して殺させたのだ。

つまりは、どうせやるなら息の根を止めてころしてしまえということ。生半可にすれば、後で自分が殺されるからだという。若いソンフンにしてみれば、兄貴分のジュンソクの命令どうりに副会長の一派が病院にいるところを襲って、完全に息の根を止める。血の気の多い若い極道もんの役にぴったりの、新人キム・ウビンでした。

日本のヤクザもそうだが、韓国のヤクザも全員黒服を着て、外車をずらっと並べて、刑務所の外で兄貴分を出迎えるシーンに、組頭のボスの葬式でも黒服が勢ぞろいする。ヤクザの性分なのだろうか、それは、自らが得をするためなら、友人や家族でさえ出し抜こうとするのも当たり前となったこの時代に、友情だ仁義だと説くのは、もはや時代遅れと言ってもいいのかもしれない。

だが、いくら笑われようが、肩身の狭さを感じようが、人が誇らしく生きるのに必要なのは、心で結ばれた人との繋がりだと今なお信じている人もいるはずだ。韓国ヤクザの世界を描いたその描写の何と映画的な活力に満ちていることか。単なるヤクザの抗争から「韓国ノワール」への道を醸し出す雰囲気さえあります。
確かにここにはアメリカのギャングや、フランスのマフィヤとも異なる民族固有の世界がある。キム・ウビンはその世界に相応しい逸材といっていいと思います。しかし、同じ組織の者同士の争いに、拳銃によるドンパチよりも短刀やチェーンソーまでが登場する抗争シーンにが驚く。それでも、日本のヤクザ映画・北野武監督の「アウトレイジ」「アウトレイジ ビヨンド」や「仁義なき戦い」などの任侠映画には負けていますから。
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