永田和宏著『近代秀歌』を再読。
お勧めの一冊。
施設の自室から見た今朝の朝陽。
歌人の作者によって選び抜かれた100首の歌を中心に、十章に分けて、近代の秀歌が紹介されている。柱となるのは100首だか、さらに100首以上の歌が取り上げられている。
第一章 恋・愛
人恋ふはかなしきものと
第二章 青春
その子二十櫛にながるる黒髪の
第三章 命と病い
あかあかと一本の道とほりたり
第四章 家族・友人
友がみなわれよりえらく見ゆる日よ
第五章 日常
酒はしづかに飲むべかりけり
第六章 社会と文化
牛飼が歌よむ時に
第七章 旅
ゆく秋の大和の国の
第八章 四季・自然
馬追虫の髭のそよろに来る秋は
第九章 孤の思い
沈黙のわれに見よとぞ
第十章 死
終わりなき時に入らむに
となっている。その章の立て方、歌の選択も素晴らしい。
この本を最初に読んだのは10年前だから、ブログにも感想を書いているだらう。が、何を書いたかは、全く思い出せない。
私自身は、短歌形式で思いを綴ろうとしたことはない。が、人の作品を読むのは好きである。
この本は座右に置いて、今後も、折々読みかえしたい。
老いとともに、読書力、読解力も弱るものだなあ、と、最近思うようになった。その点、エッセイや短歌、俳句などを読むのは、苦にならず、まだ楽しめるような気がしている。
短歌に親しんだ最初は、石川啄木であった。戦後の13歳ころ、通学の汽車の中で、『一握の砂』『悲しき玩具』を誦じた。啄木の次に接したのは、北原白秋であった。
好きな歌人を5人あげるとすれば、やはり石川啄木、北原白秋、若山牧水、窪田空穂、与謝野晶子ということになるだろうか。
施設の自室から見た今朝の朝陽。