ぶらぶら人生

心の呟き

「からだの知恵」について

2020-01-08 | 身辺雑記
 今回は、施設にいる間に、安部公房を読むつもりで、『現大日本文学大系 76』(筑摩書房)を持参した。が、上下二段組で活字は小さく、ハズキルーペをかけて読んでいても目が疲れる。その上、老体には持ち重りする。さらに、分厚い本は読了して、満足感を得るには時間がかかりすぎる。
 そんな意味で、文庫本や新書本が、今の私には適している。
 単行本でもいいけれど、適度の厚さ、読みやすい活字がありがたい。

 今日、手にしたのは、かなり前から、施設の机の上に並べている本の一冊である。
 折々、その日の気分で読んでいる。

 題名が『座右の古典』となっているように、東西古今の名著50冊が紹介されている。
 作者は、鎌田浩毅

  

 作者は、地球科学の専門家だが、実に博識だし、文章が生き生きと輝いている。やたらと賢ぶった書きぶりではないし、難解な本でも、分かりやすく解説してくださっている。

 今日読んだのは、

 「いき」の構造/九鬼周造
 生きがいについて/神谷美恵子
 からだの知恵/キャノン

 の3冊について書かれたエッセイ。

 上の2冊は、作者も本の内容についても知っていたが、改めて、じっくり読んでみたいと思い、アマゾンへ注文した。そういう気にさせる説得力が、この本にはある。

 ウォルター・キャノン(生理学者)については、知らなかった。
 <人間の体には驚異的に美しい調節作用があり、体内で恒常性を保っている>という考えを説いた人であるという。
 私の体調にとって、大いに参考になる内容であった。
 体には自然治癒力のあることは知っていたが、自然治癒力には時間がかかることを理解せず、せっかちに恢復を期待しすぎていた。
 体が自然に治してくれるのを、ゆっくりと待つ姿勢の大事さ! を教えてもらった。
 しかし、その我慢が、私に可能であるかどうか?

 キャノンは、生物の持つ自己調整機能を「ホメオステーシス」と称し(広辞苑では「ホメオスタシス」の項で、キャノンの理論を説明している)、そのことについて詳述されたのが『からだの知恵』という名著である。

 鎌田浩毅さんの本との出会いについては、その経緯をすっかり忘れていた。
 今日、本の裏表紙側に、新聞の切り抜きを見つけ、納得した。
 出会いは、旅先で読んだ<京都新聞>2019・3・26夕刊の「バッファー法」と題されたエッセイであった。
 その説(バッファーとは、衝撃を和らげる緩衝材のこと、バッファー法とは、空間や時間に対して、前もってスペースを確保しておく暮らし方)を再読し、また新鮮な面白さを感じた。
 日常の空間や時間に、鎌田さんのバッファー法をもっと取り入れたい、と。

 (すっかり忘れているが、過去のブログで、新聞の記事にいついては書いたような気がする。)

コメント
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