田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

サンバ(Samba)

2017年05月07日 16時44分53秒 | 日記

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 日本でもミニシアターを中心に大ヒットを記録したフランス映画「最強のふたり」のエリック・トレダノ&オリビエ・ナカシュ監督と主演のオマール・シーが再タッグを組み、国外退去を命じられた移民の青年が、その状況下でも笑顔やユーモアで人々を明るくしていく姿を描いたドラマ。料理人になることを目指し、アフリカからフランスへやってきた青年サンバは、ビザの更新手続きをうっかり忘れたことから、国外退去を命じられてしまう。拘束されたサンバに対して手を差し伸べた移民協力ボランティアの女性アリスは、どんな時も笑顔を忘れないサンバに興味を抱き、彼のために尽力する。サンバの不思議な魅力にひかれ、陽気なブラジル移民や破天荒な学生など、さまざまな人が周囲に集まってくるが、ある日、サンバの身の上に思いがけない出来事が起こり……。サンバを助ける女性アリスにシャルロット・ゲンズブール。(映画.comより)

 

 

 

 

 「最強のふたり」は、とてもよかったですね。月並みかもしれませんが、貧困家庭の黒人さんが大金持ちの身体介護者になって、少しずつ心を通わせてゆくさまが、自然に、そして爆笑ものに描かれていて、とても気持ちが良かったのを覚えています。頑固な金持ちも実は悪い人じゃなくて、人って捨てたもんじゃないよな、な~んて思ったものです。

さて、今回の映画も「最強のふたり」の監督・俳優だということで、興味を持っていると、なんとシャルロット・ゲンズブールが出ていると言うではありませんか!これは見るしかない、と強く思ったわけです(その割には劇場で見逃して録画鑑賞している私)。

今回、シャルロットはいわゆる「燃え尽き症候群」。有能なんでしょうね、いろいろありすぎたようで、疲れ切って死人のようです。移民協力ボランティアとして参加しているときに、サンバ(オマール・シー)と出会うわけですが、彼女は不法移民として行き詰まっている彼らより、よっぽど疲れ切った顔をしています。シャルロットもさすがにベテラン女優ですね。本当に生気のない顔をしていました。ああいう土色のメイクかしら。それで、なんとかしてほしい不法移民たちがいろいろごねるので、爆発しちゃうわけです。「助けて欲しいのはこっちよ!」って。

人生、仕事だけではないと頭ではわかっていても、なかなか好きなことやって生きてはいけません。生活費も必要ですし、また好きな仕事をしていたらしていたで、線引きが難しくなってのめり込み、自分がダメになってしまう、ってこと、日本でもありますよね。でも、ここまでって言っちゃうと冷たい人みたいとか。「わたしは、ダニエル・ブレイク」みたいにね。社会って難しい。

さて、ビザが切れて困っていたのはサンバのほうなんですが、シャルロットの姿を見て、彼女を思いやるようになってきます。彼は、天性陽気な性格。もちろん、フランスにとどまって働くために、真面目に努力はしているけれど、はじけるような笑顔と優しさが取り柄。最初は緊張していたシャルロットもだんだんと心を開いてゆきます。そんな二人の物語に、シャルロットの先輩、サンバの陽気なラテン仲間などが絡んでゆきます。

しかしながら、明るい話ばかりではありません。拘束されている仲間に「彼女を探してくれ」と頼まれ探し当てたのに、「彼とは終わっているのよ」と彼女に言われて、つい彼女と関係を持ったり(えぇっ!)、移民同士が争ったり、取締官から逃れるために散って逃げた仲間が、海に落ちて亡くなったり。結局、サンバはなすすべがなく、本国へ強制送還となり、本人もそれを受け入れるのですが・・・。

これでよかったのか、議論の残るラストです。フランス国内の厳しさを身をもって知っている人と、私たちのように平和な日本に住んでいて、移民が身近ではない人間とでは、とらえ方が違うかと思います。それでもフランスで生きてゆきたい移民たち。ハッピーエンドと呼べるかというと、個人的には答えを渋るところです。それでも、それが現実なら、なんとか折り合って生きてゆくしか、ないですよね・・・。

「最強のふたり」とは、かなり趣が違いました。

 

 

コメント
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