スカーレット・ヨハンソンとリュック・ベッソン監督が初タッグを組んだサイキックアクション。ごく普通の生活を送っていた女性ルーシーは、台北のホテルでマフィアの闇取引に巻き込まれてしまう。マフィアは、人間の体内にある物質を埋め込み、その人間を海外に送り出すことで物質の密輸を行おうとしていたが、ルーシーの体の中でその物質が漏れ出すアクシデントが発生。その影響により、普通の人間なら全体の10%しか機能していないと言われる脳の機能が、徐々に覚醒していく。脳の覚醒率が上がるに従い、超人的な力が解放されていくルーシーは、自分と同じような人間を二度と生み出さないためにも、マフィアの計画を阻止するために動き始める。(映画.comより)
荒唐無稽だけれど、おもしろかった。なるほど人間の脳は10%程度しか使われていないと言われているけど、それだって、本当にそうかどうかはっきりとはわからない。”そう思われている”と言うだけ。でも、体だって「火事場の馬鹿力」がふいに出るくらいだから、脳だってそうなんでしょうね。いちいち100%使ってたら持たないだろうし(笑)。
マフィアが金もうけのために、運び屋の体内に埋め込んでブツを運ぶというのはよく映画でも見るけれど、なんだったかな、コロンビアか何かが舞台の、女性ばかりが”ヤク”を飲み込んで運び、目的地で下剤で出すという映画を思い出しました。しかし、かの映画は娯楽ではなく、主人公の一人は妊娠を理由にX線検査を逃れたり、体内で袋が破裂してしまった女性がさっさと殺されて、多少でも薬さえ切って出したらそのまま捨てられたり、死んだ女性の報酬は無視されたりと、かなりリアルで悲惨な映画でした。
今回の「ルーシー」は、悲惨さは漂わず、ポップに仕上がっています。本当に脳が覚醒されてしまったらどうなるか、なんて誰にもわからないけれど、体に埋め込まれた(飲み込むんじゃなくてちゃんと麻酔をかけて手術を施しているところが優しい)薬、さぞかし高い価値のあるものだと思うのに、何も知らない受取人に腹を蹴り倒されて破れてしまうところがバカだと思いました。「相手にも”高いんだからそっと扱うように”と含んでおけよ!」と思ったのは私だけでしょうか。
ともかく、妊婦さんの胎内(?)で合成されると言う画期的な物質により、ルーシーはありとあらゆる機能が覚醒します。1時間で外国語をマスターする(ジョン・トラボルタの「フェノミナン」を想起しました。いやあれは2・3時間はかかってたかな・笑)、髪の色や形をコントロールできる、磁気や電気など見えないものが見える、など。
でもね、悲しいかな、移動する機能はないんですね。パリに飛ぶ時ちゃんと飛行機に乗ってました。
しかし、そんなにフルに使っちゃうと、長くは持ちません。ルーシーは、少しでも自分の知識と経験を後々役立ててもらおうと、脳科学者のモーガン・フリーマンを頼ります。そして命を賭けて、彼に知識を託すのです。この辺はちょっと「トランセンデンス」っぽいかも。
さすがにリュック・ベッソン。よく出来た娯楽作品です。今をときめく美人女優、スカーレット・ヨハンソンを使ったのも○。パリ警察では「砂漠でサーモンフィッシング」でアラブ王(?)を演じていたアムール・ワケドも出ています。
しかし、チェ・ミンシク演じるマフィアたち。セリフでは「中国マフィア」って言われてたけど、チェ・ミンシクは韓国の俳優じゃなかったかい?あ、でも舞台が台北だったか・・・。