田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

ブランカニエベス(BLANCANIEVES)

2014年01月01日 22時14分14秒 | 日記

 

 グリム童話「白雪姫」にスペインの国技である闘牛を織り交ぜ、モノクロ&サイレントで描いた異色のダークファンタジー。人気闘牛士の娘カルメンは生まれてすぐに母親を亡くし、父の再婚相手で意地悪な継母に虐げらながら育つ。ある日、継母の策略で命を奪われそうになったカルメンは、「こびと闘牛士団」に助けられ、「白雪姫」という名で彼らと一緒に見世物巡業の旅に出る。やがて女闘牛士として頭角を現したカルメンは、行く先々で圧倒的な人気を得るようになるが……。スペインのアカデミー賞と称される2013年・第27回ゴヤ賞では、作品賞ほか10部門を制した。(映画.comより)

 

 

<ネタバレあり>

 

 誰もが知ってる「白雪姫」をモノクロ・無声で描いたスペイン映画。しかし、作品自体は非常に完成度が高いものながら、余りに悲劇な結末に驚いたのでした。「本当は怖いグリム童話」という本がベストセラーになったくらいですから、本当はこういうオチだったのかも。しかも、この映画に関して言えば、継母が白雪姫の美貌に嫉妬するシーンは一切出て来ません。かの有名な、鏡に問いかけるシーンも皆無です。私の勘違いでなければ、彼女を森の中で助けてくれた小人たちも6人(!)だったし、キスしてくれる王子様も出て来ませんでした。これらがすべて後世の創作だとしたら、やりすぎですねぇ(笑)。

ともかく、さすがにスペイン、白雪姫のお父様は高名な闘牛士です。しかし、ある事故により、牛に正面から突かれて半身不随になってしまいます。ここで、こっそり忍び込んでいたマスコミの男が、(多分)規則に反してカメラのフラッシュを焚いたがために牛が驚き、想定外の動きをした、というふうに描かれていたのですが、この男が罰せられたのかどうかが全くわかりませんでした。

それまで、このお父さんは順調に来ていましたし、次の牛に対しても準備はできていたのです。この男のせいで後の人生が大きく変わったのに、誰にも責められないなんて。それとも、プロの闘牛士なるもの、どんな事態にも対応するべきと考えられているのでしょうか。

ともかく、現代に生きる私はここで「モヤッ」とした気持ちを少し持ったのでした。

そして、そのショックから、妻は出産と同時に命を失い、二重のショックに闘牛士さんは、子供の顔を見ることもできません。そしてそのままなるがままに、親切に看病してくれた看護婦さんと再婚するのです。

無事に生まれたカルメンシータは、祖母に育てられます。その間、父親に会わせてもらえることは一度もなかったのですが、祖母が亡くなってからは、父の館(豪奢!)に下働きとして住まわせてもらいます。

もちろん、父に会うことは禁じられているのですが、それでも2階にずっと幽閉されている父に偶然会うのは時間の問題ですね。そして同時に、それが継母にばれるのも時間の問題です。

父親にこっそり闘牛の手ほどきを受けていたカルメンシータも、父を亡きものにされ、館を追い出され、追っ手に殺されます。

しかし、死んだと思いきや、小人たちの真摯な看病(人工呼吸含む)により、命を吹き返し、記憶は失ってしまっていたけれど、「小人闘牛士団」の興行に加わり、それなりに楽しく過ごします。

やがてその才能の片鱗を見せ始めた彼女。有名になると同時に継母に見つかり、林檎を渡される・・・となるわけです。

で、まさかの「そのまま死んじゃう」のです。えぇっ!

しかも、ここは文化の違い?父闘牛士が亡くなった時も、着飾らせて皆が一緒に記念写真を撮って騒いでいたけれど、白雪姫が亡くなった後も、なんと見世物小屋で「キス1回○○円(貨幣の単位はもちろん違う)」で切り売りされているのです。死者にお金払ってキスする?!スペインの文化?それとも映画限定のファンタジー?

しかし、ここで「王子様が現れるのかも」と期待したのも確かです。でも、現れなかった。だって仕掛け細工で、それらしい男性がキスすると、パチっと目を開けて上半身を起こすように手動装置がついてるんだもの。当の男性はビビりまくって走って逃げてたけど(笑)。

最後は小人の一人が添い寝するシーン。死体なはずの彼女がなぜか涙を流す・・・そんなラストシーンでした。

これはこれで、上手に話が完結しています。ブランカニエベス役の女性は美人だし、継母だって美人でした。勧善懲悪でお話もわかりやすいし、モノクロの画像も美しい。ただ、文化の違いを感じたかな、って思いました。

 

コメント
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