小幡歯科医院歯科話

品川区目黒駅前小幡歯科医院の公式ブログです。一般歯科治療の話から体の健康の話まで幅広く語ります。

歯科医院で使う消毒薬

2020-05-17 23:18:55 | 歯科と薬

歯科医院では様々な消毒薬を、その用途に応じて使い分けています。

      

ボトルの大きい順に並べてみました。

            

消毒作用の強い順に並べてみるとこんな感じです。

         

歯科医院では、患者さんの口に入るものは基本的に高圧蒸気滅菌器で滅菌しています。これは細菌やウィルスなどの微生物やそれらが産生する芽胞までも死滅させるもので、安全性の高いものです。

 

ただすべての器具を滅菌できるわけではないので、薬剤による消毒も行っていて、その消毒の必要レベルによって様々な消毒薬を使っています。

            

順番に説明していきます。

    

          

グルタラール

化学滅菌といって、高圧蒸気滅菌に次ぐレベルで消毒ができます。しかし、刺激が強く皮膚や目、鼻、喉を損傷する危険のある消毒薬です。ですから、患者さん周りでは使えません。外科処置などで血液の付着した器具を中心に治療で使用した器具を、高圧蒸気滅菌する前の殺菌消毒薬として密閉された容器で行います。

 

次亜塩素酸ナトリウム

家庭でも使うキッチンハイターです。使用する濃度を間違えなければ、とても使いやすい消毒薬です。後述する次亜塩素酸水よりも保存性に優れています。ウィルスに関してはアルコールよりも殺菌作用が強いのですが、漂白作用(色落ち)や酸化作用(錆びる)があるので歯科ユニットのシートや金属部分には慎重に使う必要があります。主に漂白されても大丈夫なリネン類に用いています。ただ、グルタラールほどではありませんが、皮膚や目や喉に対する刺激があり気を付ける必要があります。濃度を間違えて、濃い状態で使用すると危険なものとなります。

        

アルコール

最も使いやすい消毒薬で、歯科医院では「アルコール消毒」を多用しています。次亜塩素酸ナトリウムよりは消毒作用は落ちますが(たとえばノロウイルスには次亜塩素酸ナトリウムは有効だが、アルコールでは効果がない)、なんといっても皮膚につけても大丈夫である点が使いやすさの理由の一つです(アレルギーがある人は使えませんし、使いすぎると手が荒れることもあります)。使用した器具はもちろんのこと、患者さん周りの設備すべてに使えます。最近では手指消毒用のアルコールが一般的にも使用されるようになっているので、一番なじみのある消毒薬といえます。

           

次亜塩素酸水

次亜塩素酸水は次亜塩素酸ナトリウムよりも刺激が少なく、使いやすい消毒薬です。濃度を選べば皮膚にも使え、含嗽剤としても使用でき、加湿器で噴霧することもできます。弱酸性なので、強アルカリの次亜塩素酸ナトリウムに比べて、衣類が漂白されたり金属が錆びることが少ないです。ですので、あらゆるところの清拭に使えます。コロナの感染対策を意識するようになってから、次亜塩素酸水を使うことが多くなりました。ただ、次亜塩素酸ナトリウムよりも塩素濃度が下がりやすく、保存期間が短いという欠点があります。封を開けたら、どんどん使っていく必要があります。

 

クロールヘキシジン

このあたりから殺菌力が落ちて、使う際の安全性は高くなります。低水準の消毒薬に分類されるクロールヘキシジンは、口の中の洗浄に使える消毒薬です(ただし、アナフィラキシーショックを起こした事例があったため、現在は口腔粘膜への使用は禁忌です)。細菌やカビには有効ですが、ウィルスにはほとんど効きません。皮膚、手指、手術野、歯科ユニットなどいろいろな部位の消毒に使用できますが、歯科器具の簡単な消毒や、患者さんの口の中に入れる装置の事前消毒に使用しています。

    

塩化ベンゼトニウム

これも低水準に分類される消毒薬で、逆性石鹸と言われるものです。クロールヘキシジンと同じく、細菌やカビの消毒がメインで、ウィルスにはほとんど効きません。主に歯科の小器具の消毒に使用していますが、防錆効果があるので、金属の簡単な消毒に向いています。塩化ベンゼトニウムと同じ作用のある塩化ベンザルコニウムはアルコール性の手指消毒剤に含まれています。

         

二酸化塩素

A2Careという商品は消毒作用と消臭作用のあるもので、ANAの機内やラウンジで使用されていると謳われています。99.99%の水と0.01%の二酸化塩素でできていて、安全性が高く口の中にも使える、実際に水のような消毒薬です。以前は歯科ユニットの清掃に使っていましたが、消毒効果があまりないため、加湿器に入れて消臭作用目的に使用しています。

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歯科では古くからB型肝炎やエイズウィルスに対する感染対策を行っていました。この対策は主に血液に対するものでした。もちろん唾液による水平感染(院内で、患者さんから別の患者さんにうつること)にも気を付けていました。

 

コロナウィルスは飛沫感染にも気をつけなければなりません。

 

ここが、今までの感染対策では足りないところです。受付に防護シートをつけたり、治療の際にはフェイスシールドをつけたりしています。そして、何より治療が終わったら、歯科ユニット周りを徹底的に消毒薬で拭くことです。今までは肝になる部分をアルコールで拭いていましたが、最近は次亜塩素酸水をじゃぶじゃぶ使ってすべてを拭くようにしています。

         

コロナウィルス対策は拭くことが肝要になります。

 

 

小幡歯科医院

http://www.obatadc.sakura.ne.jp/

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