農業じゆう人

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産地偽装

2022年02月15日 12時31分09秒 | 
  「江戸前」といえば、古くは東京湾の奥、品川から深川あたりの沖を指した。
  新しく買った日本大地図で見てみると驚くほど狭いが、江戸っ子はこの海で
   とれた魚介類をありがたかったという。 物流も保存技術も今とは比較に
   ならない時代。 少しでも新鮮な魚を食べたいとの思いもあったのだろう?
  それゆえ産地を偽る不正も横行していたようだ。 こんな川柳が残っている。
   「旅鰻化粧につける江戸の水」。 旅鰻とはよそでとれたウナギのこと。
   江戸前より味が落ちるとされ、売値は安かったそうだ。 とはいえ同じ魚
   である。 「江戸産を名乗ってもばれないのでは‥‥」。 悪知恵を働か
   せた人がいたとしても、不思議ではない。

  「熊本産」アサリの産地偽装疑惑もその延長にあるのかもしれないが、驚く
   べきはその規模である。 農林水産省が調べたところ、県内の年間漁獲量
   20㌧余に対し、100倍以上が流通していたという。 大半が中国など
   からの輸入品とみられている。 ついうっかり、ではないだろう。
   さぞ大量の化粧水が使われたのではなかろうかと思われる。

  気になることがある。 背景として、アサリの漁獲減が指摘されていること
   だ。 全国的な傾向だと聞く。 乱獲や環境の変化が言われるが、理由は
   はっきりしないそうだ。 江戸の川柳をもう一句。  「初がつお初がつ
   おとてまだ食わず」。 売り声を聞けども高価すぎて口にできない初ガツ
   オのようにならないか‥‥。 それが心配でならない。