技能実習

　 日本文学研究家の“ドナルド・キーンさん”は今から６０年あまり前、日本が外国人と接するときの
　　 態度について、チョッと辛口に論評したそうだ。　「日本人は彼らを美化したり軽蔑したりする
　　 傾向があるが、それはふつう相手の国籍次第である」（「生きている日本」足立康訳）
　　１０年ほど前、東北地方の加工場で働く中国人を取材したそうだ。　彼女のＩCレコーダーには、
　　 社長らしき人物との生々しいやり取りが録音してあったそうだ。　「日本人は正月に休む。　な
　　 せ私たちは休めない」、「言われた通り働け」、「休みたい」、「なら帰国しろ」‥‥。
　　同じ社会に生きながら、日本人の多くが知らない「密室」がそこにあったという。

　　先日ニュースで話題になった岡山市の建設会社で働いていたベトナム人の技能実習生の男性が、
　　　日本人の従業員から職場で暴行や暴言を受けていたと訴えた。　虐待は２年にもわたり、骨折な
　　　どのケガをしたという。　密室の中で外国人に対する不当な扱いは、過去の話ではないようだ。
　　　“古川法務大臣”は「人権侵害は決してあってはならない」と是正を求めた。

　　キーンさんは後年、「生きている日本」を執筆した当時のことを「経済的な大発展を予測していな
　　　かった」とふり返った。　その賛辞をいまや昔のことと懐かしむこの国の産業の現場を、アジア
　　　を中心とした外国人も支えてくれている。　くり返されるトラブルを、どうしたらなくせるのか。
　　　キーンさんの嘆きが聞えてくるようでならない。

　　　アジア諸国からの技能実習生の受け入れは何のため？　ただ単に人手不足を補うためなの‥？
　　　　国はもっともっと考えた対策を周知徹底してしてほしいものだと思います。
　　　　このままでは日本に誰も来てくれなくなりますよ‥それでもいいのでしょうか。