昨日の王将戦第六局。久保新王将誕生です。
この方やこの方を始めとして、意気消沈している全国の羽生ファンは数え切れないのだと思いますが、僕はひょんなことで昨年の棋王就位式で直接いろいろ久保さんとお話でき、その人柄にちょっとクラっときた経緯もあり、応援しています。
対局後の共同インタビューです。
このシャイな感じでさわやかな笑顔、慎重で謙虚なコメント、ほんと好感が持てます。
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―――王将位獲得の感想を
久保「羽生さんとのタイトル戦では厚い壁に阻まれていたので、奪取できたのはうれしい」
―――今期の調子としてはいかがでしたか。
久保「勝った将棋も負けた将棋も自分の中では、いい内容の将棋が指せた」
―――初の二日制の2年前と比べて慣れましたか。
久保「初めての2年前と比べて、封じ手などの経験があったのはプラスになった」
―――今期の勝因を挙げるとすればどこにあるでしょうか。
久保「ギリギリの将棋が多かったが、今までなら踏ん張りきれなかったところを踏ん張れた」
―――自身初二冠ですが。
久保「あさって勝たないといけませんが、瞬間でも二冠王は初めてなのでうれしいですね」
―――(66手目△7三銀以下▲同角成△同玉▲1三龍△5三銀という)連続銀合いはどこで読んでいましたか。
久保「最初は桂合いから角合いで詰まないかと思っていたがピッタリ詰み。負けかと思っていたが最後に連続銀合いを発見した。最後に9四まで逃げて詰まない変化が勝ちの局面という気がしたので、もしかしたら勝ちの筋もあるのかなと思った」
―――△5九金を打つ前に(自玉が詰まないことを)気付いていた?
久保「ええ、そうですね。あそこでは金を打つしかないが、▲6五香が何とか詰めろではないことを発見していたので」
―――羽生さんが見落としていると思ったか
久保「何かあるんじゃないかと思っていた。見落としていたとは思わなかった」
―――(▲5八桂で)▲5八香と打たれても△5九金ですか。
久保「そうするしかないと思っていた。でも、桂を打たれたほうが自玉が詰みやすいので、私も桂を打たれると思っていた」
―――関西では谷川先生以来の二冠ですが、それについて思いはありますか。
久保「そういう思いもあるが、もう一つのほうが終わっていないのでなんともいえないです」
―――本シリーズを通して、先手では石田流、後手ではゴキゲン中飛車というスタンスでした。
久保「日程的に結構ハードだったので、自分の相棒に頼ってしまったということもあった。いろんな将棋も指せればいいなと思っていたが、最後は頼ってしまった部分もある。違う将棋もこれから指したいと思っている」
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スポニチの記事ではアーティストとしての視点や感性について書かれています。
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久保新王将 さばけるか否か“センサーで感知”
【将棋・王将戦7番勝負】久保新王将は、多種多様な振り飛車を指し、大胆優美な「さばきのアーティスト」と呼ばれる。
その技術はプロでもまねしづらいという定評がある。そして、局面を見て「さばけるか」「さばけないか」が大体分かるという。どうしてかは「言葉で説明することはとても難しい」そうで独特の感性が、これを可能にしている。局面を見た瞬間にセンサーが作動する、感覚だと、理屈ではないことだけは、はっきりしている。まさにアーティストだ。
このセンサーに磨きをかけると同時に、勝ち負けを超えて「将棋を楽しむ」テーマを設けた。勝負にこだわりすぎて、指し方、作戦面で冒険もできずに手が縮こまるばかり…と思った。もちろんプロである以上勝たねばならない。ただ、楽しむという視座を持つことで持てる力を十分に発揮できるのでは、と感じたという。そのことが昨年、念願の初タイトル棋王位を奪取させた。
進化したのだ。プロになりタイトルを手にするまで16年かかった。そして、いま2冠。ポスト羽生世代の一角を担い、谷川浩司九段(47)と並んで関西棋界を代表する存在になった。 [ 2010年03月18日 ]
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昨年の棋王就位式でもビデオレターで登場した水谷豊さんからもお祝いが寄せられていますし、毎日新聞ひとにも紹介されています。(知らなかったけど、さだまさしの大ファンなんですね。。。)
つい最近も、充実のアーティスト、そしてアーティストの感性という記事を書いたのだけど、それにコメント寄せていただいたKさんも
『人間も魅力的ですよ。太く、鋭く、丸くて朗らかという印象でしょうか。』と久保二冠の人物評を語ってくれています。
たいがーさんの羽生名人の人柄に関するこんな記事もあるように、最近とみに思うのは、
『タイトルを獲るということは、将棋が強いというだけでなく、素晴らしい人間力を持った棋士だからだ。』
ということです。
羽生名人もこの悔しさを名人戦にぶつけると思いますし、過去の王将戦のデータでも獲られた翌年は必ずリベンジに現れているようです。
魅力的な棋士たちがいっぱいいて、ますます面白くなる棋界です。
この方やこの方を始めとして、意気消沈している全国の羽生ファンは数え切れないのだと思いますが、僕はひょんなことで昨年の棋王就位式で直接いろいろ久保さんとお話でき、その人柄にちょっとクラっときた経緯もあり、応援しています。
対局後の共同インタビューです。
このシャイな感じでさわやかな笑顔、慎重で謙虚なコメント、ほんと好感が持てます。
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―――王将位獲得の感想を
久保「羽生さんとのタイトル戦では厚い壁に阻まれていたので、奪取できたのはうれしい」
―――今期の調子としてはいかがでしたか。
久保「勝った将棋も負けた将棋も自分の中では、いい内容の将棋が指せた」
―――初の二日制の2年前と比べて慣れましたか。
久保「初めての2年前と比べて、封じ手などの経験があったのはプラスになった」
―――今期の勝因を挙げるとすればどこにあるでしょうか。
久保「ギリギリの将棋が多かったが、今までなら踏ん張りきれなかったところを踏ん張れた」
―――自身初二冠ですが。
久保「あさって勝たないといけませんが、瞬間でも二冠王は初めてなのでうれしいですね」
―――(66手目△7三銀以下▲同角成△同玉▲1三龍△5三銀という)連続銀合いはどこで読んでいましたか。
久保「最初は桂合いから角合いで詰まないかと思っていたがピッタリ詰み。負けかと思っていたが最後に連続銀合いを発見した。最後に9四まで逃げて詰まない変化が勝ちの局面という気がしたので、もしかしたら勝ちの筋もあるのかなと思った」
―――△5九金を打つ前に(自玉が詰まないことを)気付いていた?
久保「ええ、そうですね。あそこでは金を打つしかないが、▲6五香が何とか詰めろではないことを発見していたので」
―――羽生さんが見落としていると思ったか
久保「何かあるんじゃないかと思っていた。見落としていたとは思わなかった」
―――(▲5八桂で)▲5八香と打たれても△5九金ですか。
久保「そうするしかないと思っていた。でも、桂を打たれたほうが自玉が詰みやすいので、私も桂を打たれると思っていた」
―――関西では谷川先生以来の二冠ですが、それについて思いはありますか。
久保「そういう思いもあるが、もう一つのほうが終わっていないのでなんともいえないです」
―――本シリーズを通して、先手では石田流、後手ではゴキゲン中飛車というスタンスでした。
久保「日程的に結構ハードだったので、自分の相棒に頼ってしまったということもあった。いろんな将棋も指せればいいなと思っていたが、最後は頼ってしまった部分もある。違う将棋もこれから指したいと思っている」
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スポニチの記事ではアーティストとしての視点や感性について書かれています。
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久保新王将 さばけるか否か“センサーで感知”
【将棋・王将戦7番勝負】久保新王将は、多種多様な振り飛車を指し、大胆優美な「さばきのアーティスト」と呼ばれる。
その技術はプロでもまねしづらいという定評がある。そして、局面を見て「さばけるか」「さばけないか」が大体分かるという。どうしてかは「言葉で説明することはとても難しい」そうで独特の感性が、これを可能にしている。局面を見た瞬間にセンサーが作動する、感覚だと、理屈ではないことだけは、はっきりしている。まさにアーティストだ。
このセンサーに磨きをかけると同時に、勝ち負けを超えて「将棋を楽しむ」テーマを設けた。勝負にこだわりすぎて、指し方、作戦面で冒険もできずに手が縮こまるばかり…と思った。もちろんプロである以上勝たねばならない。ただ、楽しむという視座を持つことで持てる力を十分に発揮できるのでは、と感じたという。そのことが昨年、念願の初タイトル棋王位を奪取させた。
進化したのだ。プロになりタイトルを手にするまで16年かかった。そして、いま2冠。ポスト羽生世代の一角を担い、谷川浩司九段(47)と並んで関西棋界を代表する存在になった。 [ 2010年03月18日 ]
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昨年の棋王就位式でもビデオレターで登場した水谷豊さんからもお祝いが寄せられていますし、毎日新聞ひとにも紹介されています。(知らなかったけど、さだまさしの大ファンなんですね。。。)
つい最近も、充実のアーティスト、そしてアーティストの感性という記事を書いたのだけど、それにコメント寄せていただいたKさんも
『人間も魅力的ですよ。太く、鋭く、丸くて朗らかという印象でしょうか。』と久保二冠の人物評を語ってくれています。
たいがーさんの羽生名人の人柄に関するこんな記事もあるように、最近とみに思うのは、
『タイトルを獲るということは、将棋が強いというだけでなく、素晴らしい人間力を持った棋士だからだ。』
ということです。
羽生名人もこの悔しさを名人戦にぶつけると思いますし、過去の王将戦のデータでも獲られた翌年は必ずリベンジに現れているようです。
魅力的な棋士たちがいっぱいいて、ますます面白くなる棋界です。