気になる部分白水社このアイテムの詳細を見る |
ずいぶん前にこの本読んで、しびれました。
話題にもなってないし、知ってる人もいないだろうし、
自分だけの内緒のふ・ふ・ふ、って感じで。
そして、今年出たこの本。
ねにもつタイプ岸本 佐知子筑摩書房このアイテムの詳細を見る |
基本は同じトーンのエッセイですが、講談社エッセイ賞を受賞しています。
岸本佐知子って知らないですよね?
現在アメリカ文学の翻訳者。
元はサントリーの宣伝部にいたとのことです。
これが、本当に面白いのです。
電車の中で読んだら、たまらなくなって噴出すこと請け合い。
本の帯には、このように。
観察と妄想と思索が、
渾然一体となった、
エッセイ・ワールド。
ショートショートのような、とびっきり不思議な文章を読み進むうちに、
ふつふつと笑いがこみあげてくる。
裏表紙の帯には、
「私はいま、目の前にあるこの英語の文章の意味について、
一心に考えなければならない。
だがそう思うそばから、ついついコアラの鼻について考えてしまうのである。
あの鼻。材質は何でできているのだろう。
何となく、昔の椅子の脚の先にかぶせてあった
黒いゴムのカバーに似ている気がする。
触ったらどんな感じだろう。カサカサしてほんのり温かいだろうか。
それともひんやり湿っているだろうか。」
(Don't Dreamより)
東京新聞の紹介記事です。
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『妄想力』エッセーも人気 岸本佐知子さん (翻訳家)
電車の中で読むのは、少し勇気がいる。岸本佐知子さんのエッセー集のことだ。笑いがこみ上げてきて思わず噴き出し、周囲の視線が気になることに-。
一冊目のエッセー集『気になる部分』から例えば、寝付きが悪い時に熱中したという「ひとり尻取り」。
「りす→すいか」では芸がないと日替わりで決めるテーマは、だんだん「淫靡(いんび)なもの」「ポストモダンなもの」と抽象化。しまいには「トルキスタンの場合には次は『タン』から始めるべきだ」という「“ん”事件」が勃発(ぼっぱつ)する。
実にヘンな、面白いことを考える人なのだ。
「講談社エッセイ賞」を今月受賞した二冊目の『ねにもつタイプ』(筑摩書房)は、「妄想力」がさらにパワーアップした。仕事中に脱線して考えるニュービジネスの数々、乗り物が風呂になった「ロープウェイ風呂」の話-。味わい深い「超短編小説」の趣もある。
中略
「私と同じようにくだらないことは、みんなだって考えていると思う。でも、そんなことで頭がいっぱいになったらまともな社会生活を営めないから、頭の中から締め出している。私にはその『削除機能』がないんです」
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いくつも紹介したいコラムがあるけど、
気に入ったのは、これ。
《疑惑の髪型》
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最近気がつくといつもひとつのことを考えている。
何かといえば、それは「ちょんまげ」のことだ。
どうしてみんなは、あのような異常な髪型を平然と受け入れることができるのだろう。時代劇を見ていて、何の違和感をおぼえないのだろうか。
<中略>
わざわざ頭の前面の、一番目立つ部分の髪をつるつるに剃る。そのうえ側頭部の髪をこれでもかと伸ばし、あまつさえその伸ばした髪を後ろで束ね、棒状にして剃った部分に乗せなおす。
何かの罰ゲームか、恥辱プレイの一種としか思えない。
<中略>
このままでは一日じゅう「ちょんまげ」のことが頭から離れなくなり、日常生活にも支障をきたすようになるのは目に見えている。
そこで私なりに納得がいく説明を考えてみた。
1.ある大名が年をとり、頭頂部が完璧に禿げ上がった。・・・・・・・・・
2.本当にあれは罰ゲームだった。お城で失敗をした家来が・・・・・・
3.邪悪な宇宙人が襲来し、この髪型にしなければ人類を滅ぼすと脅し・・・・・・
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たまらないでしょ?
もうおかしくて書けなくなった。
なんでこんなにまでどうってことのないことで、妄想(?)を膨らませられるのか?
この彼女のワールドにひとたびはまったらもう出られない。
つまらないことが気になってしまう。
頭から離れなくなってしまう。
今まで当たり前、普通と思っていたことが、一気に不思議になる。
コアラの鼻やちょんまげだけでなく、
ホチキスもハンガーもポストも霊柩車も
なんだかわからないけど、おかしなものに見えてくる。
人間という漢字が、どう見ても「じんかん」としか読めなくなる。
(そういうコラムもあります。)
いやあ、うまく伝えられないですよ。
ぜひ読んでみてください。
ワールドにはまってみてください。
楽しい日常があなたを待ってますよ。
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