即席の足跡《CURIO DAYS》

毎日の不思議に思ったことを感じるままに。キーワードは、知的?好奇心、生活者発想。観る将棋ファン。線路内人立ち入り研究。

報道の価値

2011年02月09日 00時28分54秒 | 
報道再生 グーグルとメディア崩壊 (角川oneテーマ21)
河内 孝,金平 茂紀
角川書店(角川グループパブリッシング)


テレビや新聞などのマス(増す)メディアが、減るメディアになっている。

なーんてつまらない駄洒落で始まりましたが、この本、面白かったです。

河内さんは、新聞社の行方という記事で前にも取り上げたけど、新聞社ー破綻したビジネスモデルという本を書かれています。
そしてTBSの金平さんは、筑紫哲也さんのニュース23で、NYレポートなどの折に登場してましたね。

ということで報道とは?報道の本質的な価値は何なのか?という内容。

印象的な部分をいくつかご紹介します。
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コラムニストのエリック・オルターマンの言葉。

「ニュースを救え。ニュースペーパーを救うな。」

新聞社の経営危機論議と新聞の危機論議は別次元のもの。
問題なのは、確かな知識に基づく民主主義の言説にとって最も不可欠な新聞記事の欄が消滅の危機に瀕していることなのだ。

新聞社の経営が悪化して本当に危機に瀕するのは「記事内容そのもの」なのだ。
新聞社が生き残っても、その新聞が生きているに値しない内容に劣化したならば意味がない。
これはジャーナリズム論の本質。

報道のタブロイド化。ニュースのワイドショー化。
外国にいたからこそ見える日本の姿。
SMAPの草なぎ事件然り。酒井法子事件も然り。
日本では連日のように、NHKのニュースも含め、テレビも新聞もトップニュースに。
どのメディアも横並び一色になって取り上げるこの不可思議な状況。
ゴシップを扱うタブロイド紙ならともかく、欧米では信じられない報道姿勢。
日本は公共財としてのニュースの価値判断がどこかで狂っているのではないか。

報道がなすべき仕事とは?
視聴率・部数を至上価値とする刹那主義が底流にあるのかもしれない。
メディアの立ち位置が重要。

死語となりつつある「社会の木鐸」という言葉。
「木鐸」とは、世人を覚醒させ、教え導く人。

マスメディアの仕事を始めるとき先輩から教え諭されたこと。
「市民の知る権利に奉仕するために、さまざまな特権を市民から受託され、いわば知る権利の行使の代行者として働くものだ。」

マスメディアはなんのためにあるのだろう。
私たちはなんのために報道しているのか。
公共財としての情報は、水や空気と同じように、社会的存在である人間が生きていくために必要不可欠なものだと認識している。
メディアによって営まれるコミュニケーションはビジネスモデルのみに還元されてはならない。
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とても共感できることが溢れています。

日本がうまく行ってないのは、政治のせいもあるけど、マスメディアの姿勢、自覚というのも大きい要因だと思う。
そんないい加減な報道をまる飲みして、右往左往してしまう国民もいかがなものかという議論はあるけれど、やはり世界の中でもかなり遅れているとしか思えないこの現状。

タブロイド化、ワイドショー化という問題がまずひとつ。
どこのチャンネルを回しても(古いか!)同じ映像、同じ内容。
どの新聞を見ても、ほぼ変わらない記事、主張。
政治も経済もすべてがワイドショー。
そして、そのレベルが偉そうに言えば幼稚。
なんで、どこのチャンネルも、八百長と、沢尻エリカと、KARAと、長友なわけ?
差別化ということは考えないのかな?
同質化、相互浸透、呉越同舟の嵐。

コンテンツの価値とは何?
それこそ、記事でも映像でも、課金してもお金が取れるものを目指さないといけないのでは?
課金できないコモディティではなく、価値のあるスペシャリティ。
その辺に溢れている情報ではなく、貴重な、お金を出しても欲しいようなニュース、情報。
評論、分析、解説と言えるような感心、共感、納得するようなコンテンツ。
単なる情報でなく、専門的なノウハウ、スキル、センス、スピリット、パーソナリティが滲んでいるようなニュース。

そして、もうひとつ。
記者やレポーターが、あたかも自分が警察や裁判官や大岡越前になったが如くの傍若無人な振る舞い、取り上げ方。
批判の対象がだめなのはわかるけど、お前が偉そうに弾劾できるわけ?
鬼の首を取ったように叫んでるあんたは何なの?
おかしいよね。
それを不思議とも思わない風土ができつつあるのも怖い。
みんな、がんばってるんだと思うけど、なんかおかしくないか、これでいいのか、って、立ち止まって振り返ってみようよ。
これは、自分に向かっても言ってるわけだけど、自分だけでもいいし、浮いててもいいから、独自の主張をしようよ。
同じようなことを取り上げてれば安心、っていう意識を変えていかないと、この国はどんどん廃れていく。出口がなくなる。

しっかり現状を見据えて、ビジョンを描いて、その中で情報を位置づけていく意識。
そのまま伝えるのでなく、自分の感性や直感や判断の中で、色づけていくことの重要性。

この国の報道、ジャーナリズムはどうあるべきなのか。
日本ならではの伝え方、メディアの立ち位置とはどういうものなのか。

いろいろ考えてしまう一冊でした。
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1 コメント

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たくさんの秘密 (コールガール&ジャニーズマンレディVs村石太仮面)
2011-02-09 14:35:13
最近 相撲業界についてとか 芸能界の世界は
かなり 有名な話になってきている。
スポーツ界も厳しすぎる。裁判 生活保護 
報道する必要が まだあると思う。
アイドルも韓流ブームなのかなぁ
きつい芸能界 日本人が やらないのかなぁ
韓国 中国 アイドルも きれいですね
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