戸惑い八景

見たり聞いたりしたモノを独自に味つけしました。
飛騨の高山から発信しています。

裏方

2011年02月19日 | 想うこと

打ち上げ時に聞いた、映画制作に関しての興味深い話を一つ・・・

渉外担当者が、ある怪獣映画の制作に関わったときのことを話してくれました。

その映画は”平成版○○○”ですが、私の大好きな映画です。

怪獣映画なので、物語の監督と特撮映画の監督、二人いたそうです。

ご多分にもれず、ドラマの方の演出はわざとらしくなり、好きではなかったのですが、怪獣を中心とする特撮がとても優れた作品でした。

渉外担当者は特撮監督についたそうですが、その特撮監督は細かいところにこだわる方で、彼はとても苦労したそうです。

怪獣が暴れる街を忠実に再現するため、市役所から都市計画図をもらってきて街を作ったそうです。

また、ビルが壊れるのをリアルにするため、ビルの内面図・設計図を各会社からもらったそうです。

ですが、設計図等は内部文書に属するためなかなかもらえなくて、交渉に苦労したそうです。

たまに、私のようにその怪獣映画が好きな担当者もいて、「会社には内緒ですけど」と言われ貰ってきたこともあるそうです。

また、街にある看板をしっかり描きたいため、主立った会社に看板を模型の中に使用する許可も貰いに行ったそうです。

それだけでも大変な苦労があると思うのですが、中には、看板を使用することを許可しない会社もあり、その言い分が、「例え映画の中でもうちの店を壊してもらいたくない」、といったものがあったそうです。

そういう場合、怪獣は町を破壊していきながらも、そのお店だけは壊さなかったそうです。

たぶん、そのお店の人は映画を観ることはないでしょうが、もし後日問題が起きた場合、ラッシュを観てもらい、「破壊王(怪獣)でも、あなたのお店だけは壊すことができませんでした」、と申し開きをするつもりだった、と言われました。

私ならば泣いて喜びますが・・・。

映画制作というと、どうしても華やかな部分だけが強調されますが、このような裏方の苦労があって成り立つものだとあらためて知りました。

しかも、作品の善し悪しも、裏方さんの技量に左右されることもあるんだな、と思ったしだいです。