昨夜、NHKのクローズアップ現代で「終わらぬイラク~高遠菜穂子さんの6年~」の放送がありました。
政府の再三の警告にも関わらずイラクに入国し日本の自衛隊の撤退を訴える武装勢力に拉致された三人。日本政府に救出され帰国した高遠さんが、自己責任として世の中の批判を浴びて一度は自殺まで考えたこと。その後立ち直り国内の募金で得た金でイラクへ救援物資を送る活動。現在ではヨルダンでイラクの人達の支援を続けていること。高遠さんを支持している部族の人達の招待でイラクに入国。現地での被害者の多くの墓を見て号泣する高遠さん。支援物資を送られた子ども達と面会。車で去る高遠さんを追って走る子ども達。その映像の中で度々でる「自己責任」の文字。
イラクの戦争は一体何だったのか、日本はどうあるべきだったのかを問うゲストの江川紹子さん。
私はこの番組を見る前に、何故今頃高遠さんを取り上げたかの理由を知りたい好奇心と、今までのNHKの放送の仕方から考えて、自己責任の言葉が何故出てきたかの説明は多分無い筈だろうとの予測をして見ていました。
番組が終わっても、高遠さんを取り上げたの理由は判らないまま、自己責任の言葉が出てきたかは予想通り具体的な説明はないままでした。
番組を見終わって判ったのは、NHKは自己責任の非難で傷つきながらの高遠さんの活動を通じて番組では触れませんでしたが、遠回しに政府の対応の不当性を訴えたかったようです。
この問題については、私も06年の7月に中東の紛争や戦争から学んだもの(5)自己責任-メディアの対応]で取り上げましたのでその概要(青字)を見て下さい。 (黒字は私の追記です。)
マスコミ中東の紛争と戦争で多分一番に話題になったのは「自己責任」の話題でしょう。
この件については既に言い尽くされていると思うので、ここではマスコミの対応の仕方について考えて見たいとおもいます。
・好き勝手なことを言う家族の場面を繰り返したテレビにうんざりした国民
私や私の家内、私の周辺の人達は、彼らの家族の人達が記者会見で、(政府の入国禁止を無視して迷惑を掛けたと言う謝罪の言葉は一言もなく)"繰り返し繰り返し"、彼らの生命を救うために自衛隊の引き上げをしてくれとか、好き勝手な事を言っているのに皆腹をたてていました。
いやもっと正確に言えば、NHKを初めとするテレビで、(彼らの一方的な言い分に対するコメントもなく)同じ記者会見の場面で"繰り返し繰り返し"彼らの言い分を聞かされて次第に腹が立って来たのです。
勿論テレビの関係者としては、これ以外に絵にするものがなかったという止むを得ない事情があったのでしょうが、多分私たちと同じような気持ちで政府や与党の人達が「自己責任」と言う事を言い出したのでしょう。
しばらくして、私は週刊誌で、あの問題の会見の裏にはある思想を持った集団の支援があったことを知りました。(詰まり特定の思想を持った集団が家族や(高遠さんを除く)二人を利用して自衛隊撤退のキャンペーンをしていたのでしょう。)
然しこの事実はテレビや新聞では報道されないままでした。
この報道をしないことは、事の真実を伝えてないことになるのではないでしょうか。
私は、これ以来、週刊誌の報道にも気をつける様にしています。
(三人の帰国後)純粋なボランティア精神で現地に行った高遠さん、そして(それ迄の)業績の評価を受けても良い高遠さんが、ほかの二人やその家族達と一緒にされて批判がましいことを言われていました。
戦争が終わっても充分且つ安全に出来る筈の劣化ウラン弾の調査に行った(ノー天気な)少年。
政府の勧告に反してイラクに入って、なお救出は国の責任だと言って、その費用を出すのを拒否し続けたフリーの記者。(その後彼は英雄気取りで各地に講演して廻ったそうです。彼を呼ぶ人達もどうかしていると思いますが。)
そして、相変わらず好き勝手なことを言っていた一部の家族。
彼らがマスコミの注目を浴びている中で、(マスコミの人達を避けて)じっと家に閉じこもっていた高遠さんが一番可哀相だと思いました。(昨夜の報道によれば感受性の強い彼女は、自殺を考える程傷ついていたのでしょう。多くの人達は彼女のことを何も言っていないのですが、風に流されやすい人達の中には彼女にも嫌がらせの電話や、中傷の手紙など送っていたのかも知れません。)
おそらく大多数の国民は私たちと同じ様に、一部の拉致家族の人達や(高遠さんを除く)ノー天気な二人の自分勝手な発言に怒っていたのです。(ネットで調べたのですが、彼女も講演で家族達が言い過ぎたことに触れているそうです。)
然し、自己責任の話題は(拉致される前からボランテイア活動をしていた高遠さんと他の二人の問題、家族たちの発言を区別しないまま)何時までもマスコミの報道から消えませんでした。
果ては某テレビで、有名な哲学者までもが、(高遠さんのボランティア活動と関連して)自己責任の問題で、政府を批判がましい発言をしているのを聞いて呆れてしまいました。
以前からでもそうでしたが、この一連の報道から、いっそういわゆるコメンテーターや一部の識者と言われる人の発言を信用出来なくなりました。
・日本人らしい日本人もいました
その後、橋田信介さんの死亡が伝えられた後の未亡人の毅然とした態度が報道されて、日本人として、彼女には申し訳ないが少し救われた気分になりました。(勿論、橋田さんも高遠さんたち三人とよく似た行動でしたが夫妻に対する「自己責任」の批判は全く出ませんでした。)
また立ち直った高遠さんがイラクの隣国に入って、ボランティアで、イラクに入ろうとしている日本人を止めていると言う報道を見ました。
これをかく前にネットを調べて見ると、彼女が九条論者の活動に加わっていることからさまざまな憶測が飛んでいる様ですが、NHKの報道の様に今でもイラクの支援に当たっている活動は彼女が平和論者であるか否かは関係なくそのまま認めてやるべきだと思います。
詰まりNHKは高遠さんを「自己責任」批判の被害者として描いていていますが、正確に言えば、彼女を一番傷つけたのは、左翼に煽られた家族とノー天気な少年と自称フリーな記者、それと彼らの言動に就いて無批判な報道をしたマスコミ、特にNHKを含むテレビのなのです。
そして三人の拉致事件が起こってもう6年になろうかと言うのに、当時独り歩きした「自己責任」の言葉だけを取り上げ、その真相を語ろうとしないNHKは、何かあれば「弱者」の責任は無視し、政府の責任にしたがる一般マスコミの習性がまだ抜けきれないのでしょうか。
このブログを、より多くの人にも見て貰いたいと思っています。どうぞご協力をお願い致します。
↓
政治ブログランキングへ
戦前と異なり21世紀の日本では個人は国家の方針に従う義務はない、自由だ。一方国家には国民を守る義務があり、例え国家方針に反した者でも守らねばならない。こうした原則をブログ主は今もわかっておらず、問題をまげて理解しているようだ。個人と国家は多くの場合対立する、しないのはガリガリの国家主義者だけだ。しかし戦争という題材で戦後個人と国家が、対峙したのがほぼ初めてだったから話題になったのだろう。
ブログ主がひどく間違っているのは
1左翼に煽られた家族、2ノー天気な少年と自称フリーな記者、3家族の言動に就いて無批判な報道をしたマスコミ、としているが間違いだ。
1左翼(正確には平和主義者)に応援されて自衛隊を撤退してくれと言ってなぜ悪い?
上記で述べたように個人は自由だ、国家の方針に従わねばならない理由はない。2006年当時、確かに自衛隊撤退を求める平和主義者は日本では少数派であったが、だからと言って沈黙せねばならない理由はない。思想・表現は個人の自由だ。ブログ主は「自衛隊の行動は偉い人が決めるのであり家族が求めてはいけない」と考えているようだが、民主主義を理解していないとんでもない、大馬鹿者である。もしこの騒ぎに多数の国民が同情すれば、自衛隊撤退も真面目に議論されただろう。
これはアメリカなどでは当たり前のことだ、ジェシカ・リンチ事件など政府は常に国民の支持を得ようと情報を流し、一方反対する側は米軍の残虐行為など逆の情報を流す。民主主義の基礎はこうした情報でありそれに基づく国民の判断だ。「お上に従うべし」というブログ主は民主主義をまったく理解していない。
2ノー天気な少年と自称フリーな記者、は悪い
たとえ2人に記者としての実績がなくてもその行動は自由だ。それを憲法は保障している。ブログ主は自分では気づかぬうちに1930年代の「非国民」を連呼する国家主義者、帝国主義者になっている。反省しろ!
3家族の言動に就いて無批判な報道をしたマスコミ
マスコミの多くは家族を含め3人を批判した、自己責任という名目で3人を攻撃した、それが事件を大きくし、それで3人を傷つけたのだ。ブログ主にはテレビをまともに見る能力もないらしい。
わからないなら何度でも説明してやる、>馬鹿なブログ
TORAのブログにでも逝って粘着してろ。
個人は自由だ、国家の方針に従わねばならない理由はない。
自由を履き違えている。
恐ろしいものだ。
自分の意見に酔っている。
バカの典型である。
↑自分の言うことが絶対間違いない。それを認めないものは馬鹿。こんなこと思っている者こそ危険人物ではなかろうか。
911のときアメリカにいてその異常さを体験した身としては、当時でも高遠さんのことは遠い出来事のようでした。それ以前にイラクのことをずっと追っていて、小泉政治のデタラメさ、民主党のデタラメさにうんざりしていましたし。
NHKのあの番組をよく言う意見が多いようですが、一定の評価をするにしても、私もまた「何故か肝心のことを報道しないNHK・高遠さんと自己責任」という感じを受けています。また、人質になった人やその家族を煽った「思想を持った集団」は、むしろ、別の意図をもって煽ったのではないかと疑っています。書かれているような煽り方をすれば、当然の結末だったでしょう。
対象は違いますが、現在の「政治とカネ」と同じ構図じゃないでしょうか。「政治とカネ」になると、どういう分けか普段はバカにされる弱小党がよくテレビに呼ばれます。
ブログ主が言いたいことは、弱者の責任と政府の責任、およびそれに対する報道のバランスです。
あなたは明らかにブログ主の意見を曲解しています。
また、あなたは国家は方針に従わない国民も守る義務がある、と仰いますが当時の政府はそのために渡航禁止勧告を出していたのではありませんか?私は勧告を無視してまで日本の公権力が及ばない戦争中の他国に赴き、それに対して保護及び国策である自衛隊派兵にまで変更を要求するのは明らかに権利と義務のバランスを欠くものだと思います。これこそ民主主義の成熟を妨げるものでしょう。
あなたはジェシカ・リンチ事件を事例に挙げていますが、あのような事件であれば私は日本国は当然救出義務があると考えます。なぜなら彼女は軍人としてイラクに赴き捕虜になったからです。この事例を今回の三人に当てはめるのは無理がありすぎます。
そして憲法によって行動の自由は保障されている、と仰いますが日本国憲法が適用される範囲は日本国内のみです。他国で拘束されれば日本の公権力は機能しないからこその渡航禁止勧告であり、渡航する際は個人の責任が重要になるのです。
私が考えるに、あなたの言いたいことは最初の「戦前と異なり21世紀の日本では個人は国家の方針に従う義務はない、自由だ」に集約されているように思いますが、戦前戦後で違うのはマスメディアの論調であり、それが社会に対しての圧力形成に貢献しているだけの話です。
戦前からの流れを汲む刑法で内乱罪が「死刑若しくは無期禁固」の刑罰を与えられるということの意味を考えてみて下さい。
わからないなら何度でも説明してあげます。
1個人には行動の自由があり、それを「自己責任=国家方針に従わぬ者は死ね」という題目で縛るべきではない
2個人の思想信条によらず国家には国民を守る義務がある。実際に日本政府は一応の対応はした。
3しかし残酷な原則として国家は国民個人よりも国家を大事にする(例えば自衛隊設置法の記述を見よ)。多くの場合は個人を見殺しにする。この場合でも政府は自衛隊撤退を検討することはなかった。更に過去には太平洋戦争時の東京など内地の空襲とそれに関する今の裁判のように、今も実際には国家は国民の死をまったく斟酌しないのが現実である。
4今の人が間違えやすいのは、戦前は国家の方針に個人がそむくことはありえなかった事だ。治安維持法などで検挙処罰されたし、一般意識として「非国民」の名前の下にひどく糾弾されたからだ。しかし戦後はそうではない。
52006年?におきた自己責任論はこの戦前の「非国民」批判の再来であり、高遠氏への不当な非難だった。しかし当時マスコミは(1)右傾化の波(2)戦前の経験と歴史を知らぬ無知な国民の「お上に迷惑かけちゃなんね」という原始的な反応、を受けてこれを喧伝した。
6先日のNHKの番組は民主党への政権交代により右傾化の波が一応収まり、当時からまったく事情のかわらぬイラクへ継続して救済努力をする高遠氏の存在の重みから「曖昧な反省とゆるい問題提起」をしたものであろう。
7ブログ主は上記を理解できず、間違った認識をブログを書いた。国家と個人の対立は戦争で顕在化する、ブログ主は太平洋戦争など過去に学ぶべきだろう。