アルツハイマー病で自分が壊れてゆく恐怖におののく妻から懇願されて殺害、嘱託殺人の罪に問われた初老の警察官の犯罪がテーマである。横山秀夫の小説は読んでいない。確か2度目の鑑賞になる。ストーリーを全く覚えていないことに愕然とした。
担当の検事が母校の出身であるように設定されていたり、小説「半落ち」が直木賞の候補作となって受賞がほぼ確定した段階で、選考委員のひとりであるやはり同窓の(別に知り合いではありません。)北方謙三が、事実認識の肝心な部分に致命的な欠陥があることを指摘して横山の直木賞受賞が反故になった。
自分がドナーとなった青年が元気に働く姿を見て、新たな白血病患者のドナーになれる51歳の誕生日まで生きる決心をした梶(警察官)であるが、現実的には受刑者はドナーになれないので、実刑判決を受けた梶の生きる決心の動機が揺らぐことに誰ひとり気が付いていない。裁判官や検事、弁護士に警視正まで登場しているというのに、そりゃないだろうと北方センセがおっしゃったのである。
鴎外の「高瀬舟」も安楽死が主題である。時は江戸時代なので沙汰の方も明快である。平成の作家たちは、心が崩壊してゆくアルツハイマーやボケと取り組まなければならない。困難な作業である。この困難さがゆえに、現実的な法制度の検証を忘れていたでは済まされない。映画の後味が悪いのは、北方センセが指摘した行政法上の問題を避けて通ったからに違いない。
担当の検事が母校の出身であるように設定されていたり、小説「半落ち」が直木賞の候補作となって受賞がほぼ確定した段階で、選考委員のひとりであるやはり同窓の(別に知り合いではありません。)北方謙三が、事実認識の肝心な部分に致命的な欠陥があることを指摘して横山の直木賞受賞が反故になった。
自分がドナーとなった青年が元気に働く姿を見て、新たな白血病患者のドナーになれる51歳の誕生日まで生きる決心をした梶(警察官)であるが、現実的には受刑者はドナーになれないので、実刑判決を受けた梶の生きる決心の動機が揺らぐことに誰ひとり気が付いていない。裁判官や検事、弁護士に警視正まで登場しているというのに、そりゃないだろうと北方センセがおっしゃったのである。
鴎外の「高瀬舟」も安楽死が主題である。時は江戸時代なので沙汰の方も明快である。平成の作家たちは、心が崩壊してゆくアルツハイマーやボケと取り組まなければならない。困難な作業である。この困難さがゆえに、現実的な法制度の検証を忘れていたでは済まされない。映画の後味が悪いのは、北方センセが指摘した行政法上の問題を避けて通ったからに違いない。
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