旅路(ON A JOURNEY)

風に吹かれて此処彼処。
好奇心の赴く儘、
気の向く儘。
男はやとよ、
何処へ行く。

歴史哲学テーゼ

2009年05月31日 00時36分12秒 | Weblog
Ⅰ 「歴史の反実在論」
過去は客観的に実在するものではなくて、「想起」を通じて解釈学的に再構成されたものである。

Ⅱ 「歴史の現象主義」
歴史的な出来事と歴史的な叙述とは不可分であり、歴史的出来事は歴史的著述の内にのみ存在する。

Ⅲ 「歴史の物語論」
歴史叙述は記憶の「共同化」と「構造化」を実現する言語的制作にほかならない。

Ⅳ 「歴史の全体論」
過去は未完結であり、いかなる歴史著述も改定を免れない。

Ⅴ 「サントリーテーゼ」(「サントリークレスト12年」のコマーシャルコピー)

時は流れない。時は積み重なる。

Ⅵ 「歴史の遂行論」
物語りえないことについては沈黙せねばならない。

岩波講座 現代思想 「1 思想としての20世紀」
野家啓一著 「7 歴史哲学の可能性と不可能性」

「単なる記憶や想起ではなく『語られたり書かれたりした』記憶や想起こそが実在的な歴史の根拠なのである。したがって歴史の基礎単位は記憶や想起に支えられた『物語行為』にほかならないということになる。歴史の女神クレイオーが記憶の女神ミネーモシュネーを母として生まれたというギリシャ神話の伝承は、歴史の基底にかかわる看過できない重要な真実の一端をわれわれに告げ知らせている。」野家啓一(改竄引用)