旅路(ON A JOURNEY)

風に吹かれて此処彼処。
好奇心の赴く儘、
気の向く儘。
男はやとよ、
何処へ行く。

周防大島 沖家室島

2007年08月12日 06時50分58秒 | Weblog


緑色をした海面の彼方に青い四国が浮かんでいる。傾きかけた夏の太陽はまだ高く明るい。「釣るなら早朝か夕刻」の方程式にしたがって周防大島の南端にある沖家室島で釣リ糸を垂れた・・・といえば、なんとものんびりした光景である。あにはからんや、キスがたむろするであろう砂浜は海水浴場と化して釣りにならない。追いやられるようにこの小島まで足を伸ばさざるをえなっかったのである。好きな海を眺めながらのんびり釣りでもと諦め半分であった。

ところが釣り場では、初回からガチンと大きな当たりがあった。竿の先が海に向けて引き込まれる。慌ててリールを巻き込むと根がかりである。ある魚を直感した。三本の竿をたてる必要はない、相手は奴らだ。二投目、予想通り3匹まとめて奴らがかかっていた。いずれも20センチを上回っている。仕掛けに餌をつけて放りさえすれば奴らがあがる。入れ食い状態だ。

一時間余りが経過した。「引き三分、満ち七分」という。「夕まずめで満ち七分」ともなると釣れない方がおかしい。しかも、食いがたっている奴らが相手だ。釣れすぎてウンザリしてきた。既に、優に150匹はあがっている。奴らが嫌いなわけではない。味りん醤油に少々の砂糖を加えて煮るのもよし、塩焼きも悪くはない。から揚げだって芳しい。ところがどっこい、釣果と食欲とはまったく反比例するものなのだ。

100を優に越える釣果といえば、アジにサバ、ハゼにコチの経験しかない。大物狙いの船釣りが続いている。船で行っても100を越えることはめったにない。アジやハゼなら保存がきく。ところが奴らの保存は難しい。サバ並の生き腐りであるにも拘らず、血抜きを怠ってしまった。くーらーの中で、奴らのはらわたは腐り始めていることだろう。

後日、寄った魚屋で奴らが売られていた。100グラムが450円である。釣果は2キロ近かった。買えば1万円に近いというわけだ。それでもついにさばこうという気になれなかった。成仏した奴らを自然に帰してやることにした。思えばお盆が近い。なにか悪いことをしてしまったような気がしてきた。合掌。