歩きに出たついでに先ずは電気屋へと、行きつけの電気屋で寄ったのだが、生憎の臨時休業日で閉まっていた。
せっかく来たのにと思うと残念だったが、無駄足を踏んだと愚痴ってみたところで、店の都合の休みであれば仕方が無いことであった。
取りあえず歩きが先と、その歩く場所を何処にしようかと暫し迷ったが、今どき河畔であろうとまたは自転車道路や他の公園でも結局は同じことだろうと、思い直して店のすぐ近くの豊川公園に決めて向かった。
思ったとおり公園内で僅かに目を惹くのは、年から年中何処にでも蔓延っているタンポポぐらいにもので、枯れ色がかった広い草叢の中に点在する黄色い花と、風に揺れている白い綿毛のみだった。
先月あたりまで青々としていた木々は、それぞれ紅葉・黄葉をし始めていて、早々と初秋の佇まいをかもしだしていた。
公園内には、広場で幼児と遊んでいる親子と、犬連れの老人が数組がいるだけで、いたって閑散としていた。
曇り日ながら風も無いうえに、時おり薄日が差して来て程よい暖かさで、川風に吹かれ手が悴む河畔を歩くのとは、大きな違いだった。
しばらく何時ものブラブラ歩きを続けていると、道路わきの草叢の中に私と同年輩ほどの老人が、屈んで何かを探しているようであった。
「何か探し物ですか・・・」
と声をかけると、
「探し物と言えば・・・探し物だが・・・ぼりぼりキノコを探してんだよ」
なんとその人は、まだ青々と草が生えている草地の中で、ボリボリキノコを採っていたのです。
{ボリボリ}とは、北海道での呼び名で{落葉キノコ}のことだそうです。キノコと云えば、普通林や森の中に生えるものと思っていたのですが、意外やいがいこんな平地の草の中に生えるとは、まったく知りませんでした。
老人は、腰にさげていたレジ袋を開いて見せてくれました。その中には、黄色い色の見るからに柔らそうぼりぼりキノコが、半分ほどもありました。
そしてさらにひと言付け加えた。
「これは味噌汁にすると最高なんだよ」と、
老人の一言で、古い記憶がよみがえりました。
まだ子どもの時分、おふくろが作ってくれた、大根おろしを加えた熱いボリボリキノコの味噌汁を、フウフウと冷ましながら飲んだ、あの美味さを・・・。
豊川公園
紅葉1
紅葉2
紅葉3
ぼりぼりキノコ採り
別の一画でやはりキノコを探す老人たち
せっかく来たのにと思うと残念だったが、無駄足を踏んだと愚痴ってみたところで、店の都合の休みであれば仕方が無いことであった。
取りあえず歩きが先と、その歩く場所を何処にしようかと暫し迷ったが、今どき河畔であろうとまたは自転車道路や他の公園でも結局は同じことだろうと、思い直して店のすぐ近くの豊川公園に決めて向かった。
思ったとおり公園内で僅かに目を惹くのは、年から年中何処にでも蔓延っているタンポポぐらいにもので、枯れ色がかった広い草叢の中に点在する黄色い花と、風に揺れている白い綿毛のみだった。
先月あたりまで青々としていた木々は、それぞれ紅葉・黄葉をし始めていて、早々と初秋の佇まいをかもしだしていた。
公園内には、広場で幼児と遊んでいる親子と、犬連れの老人が数組がいるだけで、いたって閑散としていた。
曇り日ながら風も無いうえに、時おり薄日が差して来て程よい暖かさで、川風に吹かれ手が悴む河畔を歩くのとは、大きな違いだった。
しばらく何時ものブラブラ歩きを続けていると、道路わきの草叢の中に私と同年輩ほどの老人が、屈んで何かを探しているようであった。
「何か探し物ですか・・・」
と声をかけると、
「探し物と言えば・・・探し物だが・・・ぼりぼりキノコを探してんだよ」
なんとその人は、まだ青々と草が生えている草地の中で、ボリボリキノコを採っていたのです。
{ボリボリ}とは、北海道での呼び名で{落葉キノコ}のことだそうです。キノコと云えば、普通林や森の中に生えるものと思っていたのですが、意外やいがいこんな平地の草の中に生えるとは、まったく知りませんでした。
老人は、腰にさげていたレジ袋を開いて見せてくれました。その中には、黄色い色の見るからに柔らそうぼりぼりキノコが、半分ほどもありました。
そしてさらにひと言付け加えた。
「これは味噌汁にすると最高なんだよ」と、
老人の一言で、古い記憶がよみがえりました。
まだ子どもの時分、おふくろが作ってくれた、大根おろしを加えた熱いボリボリキノコの味噌汁を、フウフウと冷ましながら飲んだ、あの美味さを・・・。
豊川公園
紅葉1
紅葉2
紅葉3
ぼりぼりキノコ採り
別の一画でやはりキノコを探す老人たち