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マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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大塩のミトマツリ

2016年03月15日 09時03分03秒 | 山添村へ
明日に田植えをすると電話があった山添村大塩のKさん。

仕事を終えて急行した時間帯は午後をとおり過ぎていた。

田植えの場所は予め聞いていた。

所有する田んぼは平成24年6月に農休日に虫送りをされた処辺り。

住職に祈祷してもらった害虫退散五穀成就を願ったお札を川に流した処だ。

シシ除けを開けて田んぼに行く。



ご主人は田植えの真っ最中だった。

ここより数百メートルも下った地は奈良市月ヶ瀬の月瀬。



境界いっぱいに田んぼが広がる。

しばらくは今年はじめて植えるコシヒカリの田植え風景を撮っていた。



田植え作業を終えた男性。

「あんたが来るのを待ってたんや」と云いながらおもむろに取り出した自生のカヤの葉。

12本のカヤを田んぼの水口辺りに挿す。



旧暦閏年では13本挿す。

陽があたらないように農小屋に置いてあったフキダワラも12本。

太目の茎に大葉のフキの中身は大豆とご飯。

煎った大豆は皮を剥き、お米に混ぜて朝にご飯を炊いた。



できあがりホカホカ・アツアツのご飯をフキの葉に包んでタワラの形にする。

崩れないようにフキの軸で縛っている。



その場には若葉をつけたクリの木も立てる。

いわゆる「ウエゾメ」であるが男性は「ミトマツリ」と称していた。

今ではJAから苗を購入しているが、かつてはこの場で苗代の「ミトマツリ」をしていた。

当時は1本の杉の木を立てていた。

「水」を呼び込んで、水通しがよくなるということだと話す。

田植えは朝7時から長男としていた。



本来なら田植え初めに行われるミトマツリは時間を遅らして拝見させてもらった。

空になった苗箱は綺麗な水で洗っておく。

このころともなれば娘さんもやってきて水洗いをする。



「洗い」の在り方も民俗と思ってシャッターを押す。

本来ならミトマツリに花を飾る。

花は「オツゲ」と呼んでいるミツバツツジの花。

時期が合わずに花は終わっていたから飾ることはできなかった。

そうしてこうしてミトマツリに供えたフキダワラはケンズイに食べる。

その場で出てきた話題は「タウナギ」。

奈良市の今市辺りから池田町にかけての用水路。

池水を開けたら出てきたという長男さん。

「タウナギ」は切ったら真っ赤な血がでてくる。

そんな話をすれば娘さんは「気持ち悪い」の一言。

山添村では広瀬にもいるらしいが実物はまだ見たことがない。

ミトマツリに供えたフキダワラはケンズイに食べていた。



お昼の休息に食べるケンズイ食。

アツアツご飯を入れてからしばらくすればフキの葉が黒くなる。

それが食べごろの印し。



お米一升に1.5合の大豆を入れて炊いた。

多く作って近い親戚筋に配る。

大塩ではかつて全戸でしていたが今では2軒になったそうだ。

フキダワラの味わいは家で「食べてや」と云われて持ち帰る。

広げたらフキの香りがいっぱい。

染み込んだご飯が美味しかった。

ミトマツリを拝見した大塩住民。

5月末ころのキンズイ(ケンズイ)にホガシワメシを作って食べているという。

ミトマツリをするころにホオノハの若葉が生える。

それを採取しておいてキンズイのときにアツアツご飯にキナコを塗して食べるらしい。

フキは家で栽培している。

大きな葉であることからヤマブキではなく栽培用のフキである。

一般的には山野にある自生のフキなので小さ目。

ご飯の量は葉の大きさに合わせても少なくする。

とにかく炊きたてご飯をフキに乗せてくるくる包んで米俵の形にしたらできあがり。

食べごろは写真でも紹介しているように熱さで葉は黒ずんだときだ。

自生のフキの葉を採取する地域がある。

ミトマツリのフキダワラは天理市の中山田下山田や奈良市の日笠町藺生町、桜井市の小夫嵩方、山添村の切幡で拝見したが、ケンズイに食べているのは山添村の大塩や北野ぐらいのようだ。

奈良市・都祁南之庄や山添村・下津は中断しているものの、いずれも東部山間で行われている。

村内でも1軒か2軒ぐらいしかされていないケンズイの在り方。

探し当てたときは嬉しさがこみあげてくる。

(H27. 5. 6 EOS40D撮影)


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