マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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大谷町の伊勢講

2016年03月14日 09時23分49秒 | 楽しみにしておこうっと
大正三年・九年、昭和七年十月二十八日など伊勢講中が書き記した『伊勢講計算帳』がある。

ご厚意で拝見させてもらった大谷町の伊勢講は8軒。

かつては20軒、或は27軒、多いときには30軒もあったという。

それは新伊勢講を加えた軒数だった。

新伊勢講は昭和20年に解散されたが、10軒で営んでいた旧伊勢講は現在7軒。

2か月に一度はヤド家に集まって掛軸を掲げていると話す。

講中でもある畝火山口神社・大谷宮司家は前回がヤド家だった。

「申し送りはまだですので掛軸・講中綴りを見てください」と云われて拝見する。

ご厚意で撮らせてもらった掛軸は彩色豊かな雨宝童子像だった。

古びていたことから新調したそうだ。

軸箱は残されておらず時代は不明だ。

伊勢講の「講中綴り」はそれほど古くないのです」と話す宮司。

綴りを一枚、一枚拝見したら嘉永四年(1851)十二月吉日記の綴りが出てきた。



165年前である。



「はじめて知った」という宮司は驚きを隠せない。

なかには大正三年に記された『規約書』がある。

「専ラ天照大神ヲ尊敬・・将来ハ講中代参・・年請スルヲ目的トス・・」などが書かれてあった。



2歳児の孫さんは「これ見たらあかん」と思ったのか、手で隠す。

20年ほど前まではヤド家で「ハコゼン」と呼ばれる膳があった。

焼きもの、煮ものに吸いものを肴に酒を飲む。

いつしか膳は寿司になった。

それも取りやめて掛軸を掲げるだけになったという。

ちなみに畝火山口神社では2月28日にお田植祭が行われている。

神事に松苗を奉られる。

宮司は「その松苗は苗代に立ててください」と伝えているが、松苗どころかイロバナも立てることはないようだ。

そういえば飯高町区長が話していた「橿原市内では苗代あっても松苗・イロバナは見たことがない」である。

県内でオンダ祭が行われている地域は69カ所。

なかでも松苗・杉苗・稲苗・椿・サカキ・ウツギなどの模擬苗がある地域は54カ所。

私が実見した限りではあるが、すべての地域がされているわけではないことを付記しておく。

(H27. 5. 5 EOS40D撮影)


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